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転職成功なんですか?
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そして、数日が経っている。
馴れ馴れしい態度をとってしまったことをちゃんと謝罪しようとしても草野主任が忙しすぎてなかなか仕事以外の話題をふるタイミングがない。
気がついたら、例の社内交流研修会を迎えていた。
午前中はオリエンテーションで各自己紹介と部署がまんべんなく分けられたグループを作りミーティングを行う。
引率の先輩社員たちはそれぞれミーティングの様子を観察し必要であればグループに入りファシリテーターとして参加する。
俺のグループにはありがたいことに成美ちゃんが居てくれた。
ああ、助かる。彼女みたいに場を明るく和ましてくれる存在は貴重だ。
こんな時はギャルという存在に救われる。
俺のグループは成美ちゃんの他合わせて5人のグループになった。
1人1人所属部署と卒業大学を伝え在学中に熱中したものや入社してからの短期目標や長期目標の他に会社を存続し利益を得るにはどう今後展開していく必要があるかなどを話し合う。
ちなみに成美ちゃんの出身校は国立の女子大だった。
う~ん失礼だが人は見かけによらないなと思った。
そのグループの一人新卒の市川君と言う技術部配属の子が俺と同じ出身校で学部やゼミも同じだった。まあ、年が5個も離れているから初対面だ。
けど、初対面にもかかわらずすごく突っかかってくる。
「あのう、田上さんでしたっけ?あんた何でこの会社に今の時期に入ったんですか?おかしくないっすか?」
市川君はゴリゴリの理系に見えない流行を押さえた今どきの身なりだった。
俺みたいなウニクロのTシャツパンツ姿とは大違いだ。
市川君を見てると理系男子のジェネレーションギャップを感じてすごく新鮮だ。
「ああ、そうだね。確かに僕だけ異色だもんね。そう、僕は今28歳です。本当はこの会社にストレートで入りたかったんだけどちょうど就活中に体調を壊してしまって別の会社でお世話になってたんだ。
でも、日本ではこの会社がこの分野の一流って言われているところだからやっぱり後悔はしたくなくてエントリーしたら運よく入社させてもらったんだ。」
「…。」市川君は黙って睨んでくる。
あれ?何か空気重たくない?
「え~?涼ちん。だから転職組だったんだ~。何か年取ってもチャレンジする感じカッコいい~。」
場を和ませるためか成美ちゃんが明るい声で助け舟を出してくれた。
「りょ、涼ちん?」
「だって下の名前涼でしょ?だから涼ちん。」
「涼ちんはちょっと…。成美ちゃんなら良いけど他の人はせめて涼さんとかがありがたいかなあ。」
とかなんとか雑談して時間が過ぎるのを待とう。
「名前とかどうでも良いっしょ。あんたが入ってたゼミで俺は教授から推薦でこの会社にエントリーしたんですよ。あんたとは格が違う。」
「あ、そうなんだ。すごいね。あの教授気難しいから市川君すごく優秀なんだろうね。」
ええ~?この話まだ引っ張るの?めんどくさいなあ。ほら、他の子も発言させてあげなよ。
企画部の女の子結構可愛いしお近づきになるチャンスだよ?
「あんた、何で営業部なんかに配属になってんだよ?そんなんで転職成功って言えるんですか?」
営業部配属に今のところ不満はない。営業であっても商品の設計図に目は通せるしその分売り込む視点も人よりは多く持っていると自負している。
今までお世話になった中堅の企業は技術も企画も営業も販売も人がいない分全部せざるを得なかった。
それが今の俺の力になっている。
社会人なりたての彼に今何言っても通じないだろうから言わないでおこう。
めんどくさいし。
「そうだね。僕はこの会社に入社出来てすごく嬉しいよ。営業部のスピーディな動きもものすごく勉強になる。これから現場も出させてもらえるから期待しかないな。」
これは本音だ。
「だから!そうやってへらへらしてっから技術部に来れないんじゃないかって言ってんですよ!」
おいおい、声が大きいよ市川君。
隣の可愛い企画部の子がびびってるじゃん。
君はこんなかわいい子がいるのに俺みたいなおっさんにつっかるなんて視野が狭いぞ。
これくらいは言ってやろうか。
そう思っていた時、草野主任が俺たちのグループに参入した。
馴れ馴れしい態度をとってしまったことをちゃんと謝罪しようとしても草野主任が忙しすぎてなかなか仕事以外の話題をふるタイミングがない。
気がついたら、例の社内交流研修会を迎えていた。
午前中はオリエンテーションで各自己紹介と部署がまんべんなく分けられたグループを作りミーティングを行う。
引率の先輩社員たちはそれぞれミーティングの様子を観察し必要であればグループに入りファシリテーターとして参加する。
俺のグループにはありがたいことに成美ちゃんが居てくれた。
ああ、助かる。彼女みたいに場を明るく和ましてくれる存在は貴重だ。
こんな時はギャルという存在に救われる。
俺のグループは成美ちゃんの他合わせて5人のグループになった。
1人1人所属部署と卒業大学を伝え在学中に熱中したものや入社してからの短期目標や長期目標の他に会社を存続し利益を得るにはどう今後展開していく必要があるかなどを話し合う。
ちなみに成美ちゃんの出身校は国立の女子大だった。
う~ん失礼だが人は見かけによらないなと思った。
そのグループの一人新卒の市川君と言う技術部配属の子が俺と同じ出身校で学部やゼミも同じだった。まあ、年が5個も離れているから初対面だ。
けど、初対面にもかかわらずすごく突っかかってくる。
「あのう、田上さんでしたっけ?あんた何でこの会社に今の時期に入ったんですか?おかしくないっすか?」
市川君はゴリゴリの理系に見えない流行を押さえた今どきの身なりだった。
俺みたいなウニクロのTシャツパンツ姿とは大違いだ。
市川君を見てると理系男子のジェネレーションギャップを感じてすごく新鮮だ。
「ああ、そうだね。確かに僕だけ異色だもんね。そう、僕は今28歳です。本当はこの会社にストレートで入りたかったんだけどちょうど就活中に体調を壊してしまって別の会社でお世話になってたんだ。
でも、日本ではこの会社がこの分野の一流って言われているところだからやっぱり後悔はしたくなくてエントリーしたら運よく入社させてもらったんだ。」
「…。」市川君は黙って睨んでくる。
あれ?何か空気重たくない?
「え~?涼ちん。だから転職組だったんだ~。何か年取ってもチャレンジする感じカッコいい~。」
場を和ませるためか成美ちゃんが明るい声で助け舟を出してくれた。
「りょ、涼ちん?」
「だって下の名前涼でしょ?だから涼ちん。」
「涼ちんはちょっと…。成美ちゃんなら良いけど他の人はせめて涼さんとかがありがたいかなあ。」
とかなんとか雑談して時間が過ぎるのを待とう。
「名前とかどうでも良いっしょ。あんたが入ってたゼミで俺は教授から推薦でこの会社にエントリーしたんですよ。あんたとは格が違う。」
「あ、そうなんだ。すごいね。あの教授気難しいから市川君すごく優秀なんだろうね。」
ええ~?この話まだ引っ張るの?めんどくさいなあ。ほら、他の子も発言させてあげなよ。
企画部の女の子結構可愛いしお近づきになるチャンスだよ?
「あんた、何で営業部なんかに配属になってんだよ?そんなんで転職成功って言えるんですか?」
営業部配属に今のところ不満はない。営業であっても商品の設計図に目は通せるしその分売り込む視点も人よりは多く持っていると自負している。
今までお世話になった中堅の企業は技術も企画も営業も販売も人がいない分全部せざるを得なかった。
それが今の俺の力になっている。
社会人なりたての彼に今何言っても通じないだろうから言わないでおこう。
めんどくさいし。
「そうだね。僕はこの会社に入社出来てすごく嬉しいよ。営業部のスピーディな動きもものすごく勉強になる。これから現場も出させてもらえるから期待しかないな。」
これは本音だ。
「だから!そうやってへらへらしてっから技術部に来れないんじゃないかって言ってんですよ!」
おいおい、声が大きいよ市川君。
隣の可愛い企画部の子がびびってるじゃん。
君はこんなかわいい子がいるのに俺みたいなおっさんにつっかるなんて視野が狭いぞ。
これくらいは言ってやろうか。
そう思っていた時、草野主任が俺たちのグループに参入した。
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