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謁見  2

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国王陛下を囲っている部下のものや護衛の者もハラハラし始める。


国王陛下の息子が玉座の前で裸になるなど他国に知れたらどうなるか心配し始める。

ロイは下着に手をかけ、見えるか見えないかまで下ろしたところで

「もう良い!そんなもの見て楽しいやつがいるか!」と国王陛下が声を荒げた。

「まだ完全に裸ではないですし、ひざまずいていません。これからです。」
とロイが驚いて突っ込むと


「お前の裸を見て誰が喜ぶのだ!」と真っ赤になって怒り始める。

「国王陛下が命令したんじゃないですか。」つい砕けた口調になってしまうロイ。

慌てて国王陛下の配下がロイに大きな布を被せる。

「貴方って人は、何を考えているのですか!?玉座の前ですよ!」と青くなった顔で言う。

「え?何が?」

(知らねえよ。あいつが脱げって言ったんだろ。カッコ悪いとかどうでもいいんだよ。
俺はリリアのために、みんなのために早く魔力を返して欲しいだけだ。)

ロイが不満そうに配下を見る。

そのやりとりを見て国王陛下が喋り始める。

「ロイーズよ。お前は、そなたの母に私がしたことを憎んで折るだろう?
魔力が戻れば次の標的は私になるのではないか?」

布で体を覆ったロイが答える。

「国王陛下を…あなたを確かに憎んでいました。

でも、俺に仲間ができました。
みんな必要とされない奴らばっかりだったけど、前を向いてます。
魔力があってもなくても必死に子供たちのために動いています。

俺、あんたを憎んでいたけど、一番憎むべきは自分ってわかりました。
だから変わりたいんだ。あいつらと一緒に前を向きたい。あいつらを守れる人になりたいんだ。
中途半端な王族としてじゃなくて、自分の持っている能力で守りたいんだ。」


ロイは必死に気持ちを伝える。

「どうしようもない貴族と言われた者たちの寄せ集めか。」

「そうだ。どん底を見た俺たちがどん底の地を変えるんだ。
子供たちのために。」国王陛下の目をしっかりと見る。

「くっくっく。なるほど。プライドも捨てたのだな。」

「そうだ。あの地が豊かになるならプライドなんかいらない。無駄だ。」

「それであの脱ぎっぷりか。くくくく。いいだろう。お前の魔力封じを外してやる。
ただし、妙なことに使うのなら、お前に国として対応するぞ。」
遠回しに処罰対象と言われていた。
母親のことがあったから周りくどく表現したのだろう。

「ああ。全く構わない。」

「ふう。やれやれ。自ら魔力を使うのは久しぶりだ。
どれ、脱いでいるからちょうど良い。お前の心臓部分を出してみよ。」

周囲がざわつく。

国王陛下の魔法を直に見る機会はほぼ無い。国の危機の場合くらいしか機会がないからだ。

「お前の魔力は強い。それが凶器になることをくれぐれも忘れるな。」

「ああ。もちろん。」

国王陛下はロイに直々に近づく。

配下や護衛は息を呑んで見守る。

国王は皆が聴こえないくらい小さい声でロイに話しかける。

「彼女、お前の母親が好きだった花はかすみ草だ。
なぜ昨日添えていたのはジャスミンの花とマーガレットなんだ?」

「そ、それしか花なんて知らねえんだよ。」

「まあ、どちらも良い花だ。」国王は少し笑った。

その時王が手をかざしたロイの左胸に強い金色の光が放たれた。

あまりにも眩しいので国王とロイ以外は目を瞑る。

やっと目を開けられた時には魔力封じは解除されていた。

「はあ。久々に魔法を使ってしまった。やはり疲れるな。これで謁見は終わりだ。」
国王は部屋に帰ろうとするので配下は慌てて目をしばしばさせならがついて行く。

「あ、ありがとうございます!」

ロイは布に包まれながらひざまずいた。

ロイが動いた時、明らかに何か体に巡るものを感じていた。



国王はロイに後ろ姿を見せながら

「すぐに仲間の元へ帰りたいだろうが、もうしばらくこの宮殿にいなさい。分かったな。」

「…。分かった。でも外出はさせてくれ。」

「好きにしろ。」

「ロ、ロイーズ様。客間を準備しております。服も用意しているのでこちらへ。」

係のものが伝えに来た。


冷静になると、魔力は戻ったが、ほぼ裸だ。

自分で自分がおかしくなり笑ってしまった。

「気持ち悪いからロイでいい。ああ。しばらく世話になるよ。よろしく。」

その時のロイの笑顔を見て、周囲は男だらけであったがキュンと胸を鳴らすものが多かった。


この方、王子だ…。と皆が思ってしまった。



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