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交渉です 3

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徒歩は危険すぎるので馬車をシスタージャスミンが手配してくれていた。

シスタージャスミンは現地で待っているとのことなので、ダンさんとリリアが馬車に乗る。


これから大切な正念場だ。気持ちを作るためお互い馬車の中では無言だった。

圧のある空気だが重苦しさや悲壮感はない。これから相手の戦地に乗り込む意気込みだ。

「背水の陣といったところかしら…。やってやろうじゃない。」

ポツリといったが、ダンはリリアの気持ちを崩さないよう無言でいてくれた。






ダンは考えていた。なぜオレがこの場にいるのだろう。

オレの役割はこのお嬢ちゃんの護衛か。

オレは暗殺専門で食ってきた。

今から会う『レディダーク』はオレの過去もある程度知っているはずだ。
お嬢ちゃんの味方になりきるような柄じゃねえ。

ったく。勘弁してくれよ。

でも、まあちょっと楽しみな気持ちもあるんだがな。
あのお嬢ちゃん、レディダークを相手にどう渡り合うか見ものだわ。



指定された場所に馬車が停まった。
シスタージャスミンが黒いローブを深く被り建物の前で待機していた。

リリアやダンを対応する。

「レディダークはもう中で待っています。
さあ、お二人とも中へ。リリア・アルバあなたは特に目立っています。早く来なさい。」

シスターは少し苛立った口調だ。



「あらあ、目立っているかしら?結構なことじゃない。フフフフ。
良い噂がたつといいわね。ふふふ。」

とリリアは手にしていた扇を優雅に広げ顔を隠しながらゆっくりと歩く。

夜の街に映えるようめかし込んだリリアは人相の悪い通行人の目にとまり少し騒ぎになりそうだった。

「おい、あの扇の女、チラッと見たが上玉だぜ。髪は男みたいに短いけどよ、色っぺえんだ。
イカれた貴族か?でも、あれはあれでいい女だなあ。」

「本当かよ。おっ!オレも見たぞ
確かに顔は隠しててよく見えねえけどこの界隈の女とはなんか違うな。」

「隣のジジイは時々この辺で飲んでる爺さんだ。
何だよ。あんないい女の横にいるなんてどういうことだよ。」

様々な男たちの会話が繰り広げられていた。




たまたまこの夜、普段の憂さ晴らしのためにロイがこの街にいた。

一杯酒をあおったが、いい気分にならず、むしろさらに気分が複雑になりそうだったので
それ以上酒は飲まず街をうろうろとしていたところだった。


男たちがある店の前で盛り上がっている。

何を見物しているのか確認する。
どうせ酔っ払いの喧嘩か男女の痴話喧嘩だろうと思っていた。

しかし、そこにいたのは修道院のあのジジイだ。普段よりまともな服を着ている。

その後ろから優雅に歩いているのは、誰だ?

個性的な格好をしているが見事に着こなしている。
真っ黒のドレスだが華やかさがあり程よい露出で品は保たれている。
立ち姿が綺麗な分さらにドレスが映える。
短くセットされている髪が活かされている。ん?女なのに髪が短い?この髪の色?この身長…。


リリア・アルバじゃないか!


なんでこんなところにいるんだ?

ジジイと何するんだ?この店は何なんだ!?
何で俺はいつも除け者なんだ!?


腹が立ってきた。


ロイは考えなしに勢いだけで店に入った。




シスタージャスミン、ダン、リリアは店奥の応接室に通された。
部屋に着くまでに何度も重厚な扉をくぐった。セキュリティーを重視しているのだろう。
最後の扉を開けると血の色のような赤いローズを被った人物がいた。
回転椅子に座っているようで、リリアから見ると後ろを向いている。
案内役の大柄な男にソファに座るよう促される。
シスタージャスミンとダンさんは部屋の端に用意された席を用意されている。
大柄な男が言った。
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