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生活が始まった 3

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「そうだ。ズボンをカズに服を売ってもらったらいいわね。」


翌日、身長が変わらないカズに服を譲ってもらった。

「ジーナ、僕の服はボロばかりだよ。それに男の服を着るなんて…。

ジーナは髪も切っちゃったし、男になりたいの?」

「男性になりたいわけではないのよ。ただ、今の服装は不便なのよ。
鎌やくわを使う時はこの服が一番よ。」とリリアは笑った。


「でも、シスターや子供たちがこの姿見たらびっくりしちゃうし、
ジーナが怒られるかもしれないよ。」

「そうかもね。そんな時はジーナは変人だからしょうがないってなれば良いのよ。」

「変人って…。ははははははは!ジーナってすごいな。こんな女の子初めてだ。素敵だよジーナ。」


「ありがとうカズ。あなたも私を受け入れてくれるなんて素敵な男性になるわ。
今のおおらかなカズでいてね。」リリアはカズを生徒を見るように尊い目で見ていた。


「まあいけない!そろそろダンさんが庭に来る頃だわ!私行くわね!カズありがとう!」

リリアは慌ただしく去っていった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ダンさん、この薬草なんですが、元気がないんです。
肥料が足らないのでしょうか?それとも特別な魔法を必要としているのでしょうか。
本を調べても載ってないんです。」


「ああ?この生えてるの回復の薬草じゃねえか。お嬢ちゃん高価なタネ持ってんな。
ああ、いけねえ、こいつは花が咲く直前は水をやっちゃいけねえんだ。
ちょっと乾いた土持ってこい。」


「はい。すぐに。」リリアはダン爺さんに土を渡すと優しい手つきで薬草の周りを土で囲った。

「薬草ってのはな、繊細で気分屋なんだ。そんでもって魔法嫌いな奴が多い。
手間がかかるんだよ。だから作りたがる奴はいないんだ。治療師に頼めば済む事も多いしな。」

「でも、治療師は数が少ないと聞きました。」

「王都にはゴロゴロいるんだよ。金持ち相手が一番儲かるからな。でもな、滑稽なもんだぜ。
魔法で治せるのは大体魔術で負った傷や呪いだ。
でもな、そんなもん自分の体に入れた時点で体が弱るんだ。
魔法で治療しても根っこの自分の体が回復できないと戻らねえんだよ。」

「では、薬草が有効な場合もあるのですか?」

「まあな。でもな、上手く体が回復しなかったら、もっと金を払っ治療したくなるのが狙いだよ。
金持ちはせっかちな奴が多いからな。


「おっと、この話をお嬢ちゃんにしちゃ不味かったな。絶対言うなよ。
治療師の集団に狙われるからな。オレの言うことなんか話半分にしとけ。信用するな。」

「絶対言いません。目の前の欲や便利さを消費することで世の中回ってるのは誰のせいでもありません。
人間の煩悩ですものね。わざわざ私が出しゃばる話ではないです。
でもダンさんの話は本当にためになります。私の大切な師です。いつも感謝しています。」


「よせ。オレはそう言われるような人間じゃねえ。けっ。薬草の話だったんじゃねえのかよ。もう行く。」
とダン爺さんは去ってしまった。

「やはり、どの世も年長者に教わることは多いですね。」リリアはポツリと言った。



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リリアが庭で薬草を育て始めてからしばらくすると、『ジーナが男の格好をして庭で不気味なことをしている。』
という噂をロイは耳にした。

「短髪女、次は短髪男女(おとこおんな)になるのか。
一体何を考えてるんだ。庭に何があるんだよ。」とロイは文句を言いながら庭に向かう。




ロイが庭についた時、ちょうどダン爺さんとリリアが庭全体を見渡せる場所で休憩をとっていた。


ロイには遠くて二人が何を言っているかわからない。

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