1 / 134
私は貴族令嬢リリア・アルバ
しおりを挟む私は、リリア•アルバ16歳。
ノイズ王国の中堅貴族アルバ家の第二子。
7歳上(23歳)の長男はケント•アルバ。魔力・頭脳ともに優秀でゆくゆくアルバ家の領地を継ぐことが決まっている。
私たちの父親は健在だが、母親は私リリアが3歳の時不慮の事故で亡くなっている。
お父様は思慮深く人望も厚い人物だが、お母様を亡くしてから悲しみを打ち消すように
異常なほど仕事に打ち込んだ。
お母様が亡くなった頃、ケントお兄様は自身の状況を把握できる年齢だったので、母のことは記憶にある。現在、お兄様は仕事を通してなら父親と交流がある。
お父様は私を見るとお母様の面影を重ねてしまい、平常心が保てなくなるとメイドから聞かされた。
なので私はお父様と交流する機会は年に数回しかない。
お父様は仕事でこの屋敷を不在にしがちだ。
私は、物心ついた時から本宅ではなく離れにある屋敷に住んでいる。メイドの一人だけが私のお世話係だ。
ケントお兄様は何故か私リリアを毛嫌いしている。
お母様がが亡くなって13年間私の意見、容姿、人格、存在を否定するような発言ばかりだ。
「リリアお嬢様、注文していたドレスと宝飾品でございます。こちらに飾っておきます。身につける際はお呼びください。では失礼いたします。」
そう言ったのはメイドのデリスだ。
「ねえ、デリスこのドレス達は私のためにあるのよね。私は世界一美しいのよね?」
「はい、お嬢様。大輪のバラのようでございます。」
「そうよね。これは私ようの特注だもの。当たり前よね。」
「…。」
「デリス、今日のご飯はお肉たっぷりのものがいいわ。デザートはクリームがいっぱいのったケーキ。5個以上よ。この前少なかったからクッキーでしのいだのよ。やになっちゃう。」
「では、食事の準備に取り掛かります。失礼します。」
デリスが返答したが、リリアはドレスを鼻息荒く見ており、聞いていない様子だ。
厨房の前でデリスはモヤモヤしていた。
「何が大輪のバラよ。巨大なデブの間違いでしょ。馬鹿じゃないの。
デブ過ぎてドレスが入らないから特注なのよ。
脂っこいものばっかり食べるからニキビも大量。
体もなんだか臭いわ。貴族だからって甘やかされすぎなのよ。あんなヤツだいっきらい!」
「まあ、あと半年後にはおさらばね。清々するわ。」
とつぶやいて厨房に入った。
夕食後、ドレスを着たリリアが部屋ですごしていると、
「今日もお父様とお会いできなかったわ。新しいドレスをお見せしたかったのに…。」
「おい、入るぞ。」
「ケントお兄様!ど、ど、どうされたのですか…。」
「お前がまたしょうもない物を頼んだと聞いたからな。
ああ、全く似合っていないな。趣味が悪すぎる。生地の素材が台無しだ。
まあ、上品なデザインでもお前のその容姿なら何着ても醜い。
店は儲かっているだろうが、こちらは頭が痛いよ。」
「そこまで言わなくても…。」
「お前は自分が思っている以上に醜い。そして愚かだ。なにも知らない。
貴族らしく振る舞えるよう家庭教師をつけても全く身に入らない。
本来、早く嫁いで少しでもこちらの利益になるように動いてもらう予定も全く出来ない。
この家のお荷物って事だ。こんな女だれも縁談なんてこないはずだな。」
「そんな…。うっ、うっ、うっうえええええーーーん!」
「醜い顔が、更に醜くなった。しかもこの部屋体臭と香水の臭いで気分が悪くなる。
もう行くよ。半年後の心配でもしておくんだな。」
とケントは出ていった。
8
お気に入りに追加
285
あなたにおすすめの小説
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
【連載版】ヒロインは元皇后様!?〜あら?生まれ変わりましたわ?〜
naturalsoft
恋愛
その日、国民から愛された皇后様が病気で60歳の年で亡くなった。すでに現役を若き皇王と皇后に譲りながらも、国内の貴族のバランスを取りながら暮らしていた皇后が亡くなった事で、王国は荒れると予想された。
しかし、誰も予想していなかった事があった。
「あら?わたくし生まれ変わりましたわ?」
すぐに辺境の男爵令嬢として生まれ変わっていました。
「まぁ、今世はのんびり過ごしましょうか〜」
──と、思っていた時期がありましたわ。
orz
これは何かとヤラカシて有名になっていく転生お皇后様のお話しです。
おばあちゃんの知恵袋で乗り切りますわ!
義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます
富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。
5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。
15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。
初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。
よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。
闇黒の悪役令嬢は溺愛される
葵川真衣
恋愛
公爵令嬢リアは十歳のときに、転生していることを知る。
今は二度目の人生だ。
十六歳の舞踏会、皇太子ジークハルトから、婚約破棄を突き付けられる。
記憶を得たリアは前世同様、世界を旅する決意をする。
前世の仲間と、冒険の日々を送ろう!
婚約破棄された後、すぐ帝都を出られるように、リアは旅の支度をし、舞踏会に向かった。
だが、その夜、前世と異なる出来事が起きて──!?
悪役令嬢、溺愛物語。
☆本編完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
【完結】余命三年ですが、怖いと評判の宰相様と契約結婚します
佐倉えび
恋愛
断罪→偽装結婚(離婚)→契約結婚
不遇の人生を繰り返してきた令嬢の物語。
私はきっとまた、二十歳を越えられないーー
一周目、王立学園にて、第二王子ヴィヴィアン殿下の婚約者である公爵令嬢マイナに罪を被せたという、身に覚えのない罪で断罪され、修道院へ。
二周目、学園卒業後、夜会で助けてくれた公爵令息レイと結婚するも「あなたを愛することはない」と初夜を拒否された偽装結婚だった。後に離婚。
三周目、学園への入学は回避。しかし評判の悪い王太子の妾にされる。その後、下賜されることになったが、手渡された契約書を見て、契約結婚だと理解する。そうして、怖いと評判の宰相との結婚生活が始まったのだが――?
*ムーンライトノベルズにも掲載
【完結】殺されたくないので好みじゃないイケメン冷徹騎士と結婚します
大森 樹
恋愛
女子高生の大石杏奈は、上田健斗にストーカーのように付き纏われている。
「私あなたみたいな男性好みじゃないの」
「僕から逃げられると思っているの?」
そのまま階段から健斗に突き落とされて命を落としてしまう。
すると女神が現れて『このままでは何度人生をやり直しても、その世界のケントに殺される』と聞いた私は最強の騎士であり魔法使いでもある男に命を守ってもらうため異世界転生をした。
これで生き残れる…!なんて喜んでいたら最強の騎士は女嫌いの冷徹騎士ジルヴェスターだった!イケメンだが好みじゃないし、意地悪で口が悪い彼とは仲良くなれそうにない!
「アンナ、やはり君は私の妻に一番向いている女だ」
嫌いだと言っているのに、彼は『自分を好きにならない女』を妻にしたいと契約結婚を持ちかけて来た。
私は命を守るため。
彼は偽物の妻を得るため。
お互いの利益のための婚約生活。喧嘩ばかりしていた二人だが…少しずつ距離が近付いていく。そこに健斗ことケントが現れアンナに興味を持ってしまう。
「この命に代えても絶対にアンナを守ると誓おう」
アンナは無事生き残り、幸せになれるのか。
転生した恋を知らない女子高生×女嫌いのイケメン冷徹騎士のラブストーリー!?
ハッピーエンド保証します。
破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました
平山和人
恋愛
転生したと気付いた時から、乙女ゲームの世界で破滅ルートを回避するために、攻略対象者との接点を全力で避けていた。
王太子の求婚を全力で辞退し、宰相の息子の売り込みを全力で拒否し、騎士団長の威圧を全力で受け流し、攻略対象に顔さえ見せず、隣国に留学した。
ヒロインと王太子が婚約したと聞いた私はすぐさま帰国し、隠居生活を送ろうと心に決めていた。
しかし、そんな私に転生者だったヒロインが接触してくる。逆ハールートを送るためには私が悪役令嬢である必要があるらしい。
ヒロインはあの手この手で私を陥れようとしてくるが、私はそのたびに回避し続ける。私は無事平穏な生活を送れるのだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる