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馬車がリオーネ家の領城へ入ります。
ガラッシア家ほどではありませんが、十二貴族の領主ともなると、その領都にお城を構えているのが基本です。
跳ね橋を渡り、ゆるやかな坂道を登り、主塔の正面広場で馬車は止まりました。
有事であれば、進軍前の騎士たちが居並び士気を高めるそこは、久しく戦火にないステラフィッサ王国の中、白い敷石の広がる、眩しいほどに調えられた庭園となっておりました。
結婚式には相応しい様相ですわね。
馬車の窓から、玄関前でわたくしたちを出迎えるために並んでおられる、レオナルド様とラガロ様、そして慎ましいドレスの女性が寄り添っているのが見えました。
あの方が、きっとラガロ様のお母さま、レオナルド様のご結婚相手でしょう。
「さあ、ティアちゃん」
お母さまがわたくしの手をとりました。
「背筋を伸ばして、顔をあげて、そう、ニッコリ。
大丈夫ですわ、あなたは世界一可愛いわたくしの、ガラッシアの娘です。よくって?」
言い聞かせるように、おでこをコツンと当てて、お母さまがわたくしを励ましてくださいました。
今回、結婚式にわたくしを同行させるか、お父さまは大変悩んだそうですが、お母さまがわたくしを出席させるべきだと譲りませんでした。
お父さまとお母さまはレオナルド様のご結婚の立会人として招待されておりますが、お兄さま、わたくし、ファウストについては、できれば出席してほしい、ということでしたから、わたくしたちは来ないという選択もできたのです。
けれど、それではダメよ、とめずらしくお母さまが強く仰いました。
わたくしの初恋を、お母さまはずっと温かく見守っていたように思います。
その終わりを、うやむやにしてはいけないと、お母さまはお考えのようです。
(結婚式にも出られず、お祝いも申し上げられない可哀想な恋の終わりにしてはいけませんものね)
わたくしの恋は、貴族中が知っていると言っても過言ではないのです。
ルクレツィア・ガラッシアとして、失恋に心を痛めて閉じこもるような、惨めな醜態をさらすことはできません。
堂々と、ご結婚されるお二人の門出を見届けてこその、公爵令嬢、ルクレツィア・ガラッシアなのです。
「ラファエロ、遠いところ、わざわざすまなかったな」
お父さまが降り立ち、お母さまの手をとって並ぶと、喜色を称えたレオナルド様が早速お父さまと熱い抱擁を交わしました。
「おめでとう、レオナルド。こんな日が来るとは、感慨深いよ」
お父さまとレオナルド様の友情は幼少の頃から、レオナルド様の辛い時期も側で知っていらっしゃるでしょうから、お父さまの言葉にも重みがございます。
(わたくしのことがなければ、きっともっと大手を振って喜んで差し上げたいのではないかしら。
それならやはり、お父さまのためにもわたくしがすることはひとつですわね)
「紹介するよ、セレーナだ」
レオナルド様の言葉に、セレーナ様は半歩前に出て、わたくしたちにお辞儀をいたしました。
貴族というよりは、使用人の動きが染み付いた所作です。
それでもわたくしたちが好感を持てたのは、それが、この方が精一杯生きてきた証だと知っているから。
セレーナ様は、ラガロ様と同じ黒髪の美しい方でしたが、簡素にまとめた髪は自然で、ドレスも品のいいものではありますが派手さはなく、慎ましいという言葉がしっくりときます。
公爵家を前に緊張をしているのをなんとか見せまい努力しているのが見てとれるのも、素直な心根の方なのだと感じられて、レオナルド様は確かな方を選ばれたのだわと納得もいたしました。
「セレーナさん、そんなに緊張なさらなくてもよろしいのよ。
旦那様が友人同士なのですもの、どうぞ私のこともお友だちと思って、仲良くしてくださいね」
ステラフィッサの女神は、今日も女神です。
お母さまに微笑みかけられたセレーナ様は頬を紅潮させて、恐れ多いとも、感極まったともとれるように首を縦に振ったり横に振ったりと忙しくなり、レオナルド様のお顔を見上げて少しだけ涙目になっておりました。
(可愛らしい方……)
それを愛おしそうに笑って見ているレオナルド様の、なんてお幸せそうなことでしょう。
「お心遣い、感謝申し上げる。
さあ、長旅でお疲れでしょうから、まずは客間にご案内しましょう。
ラファエロ、今日はこの後にフリオも着く予定だから、夕食で会えるだろう」
レオナルド様がフリオと呼ぶのは、オノフリオ・トーロ様、トーロ伯爵ですわね。
十二貴族のリオーネ家当主のご結婚式ですから、それは盛大に執り行われるかと思いましたが、招待客は立会人のガラッシア家、騎士団を代表してトーロ家、そのほかはリオーネ家ご一門の主だった家のみで、領城の礼拝堂で式を挙げましたら、招待客のみでのささやかな披露宴を行うだけで、あまり目立ったことはなさらないそう。
レオナルド様たってのご希望だそうですけれど、セレーナ様を守るためでもあるのではないかしら。
大勢を呼んでしまえば、ラザーレ家も呼ばなくてはならないですし、お話しだけ聞いても胸くその悪い、あら、言葉遣いが三十路に引きずられましたわ、ええと、クソ男?ああ、あんな最低な男のことをわざわざお上品に言い繕う語彙がありませんわ、クソヤローのラザーレ子爵なんて、顔も見たくありませんもの、おめでたい席ならなおさら、いらっしゃらなくて結構だわ。
それにセレーナ様の生い立ちについても口さがない方はいらっしゃるでしょうし、例え「ラガロの星」をお生みになられたからといって、一度ついた泥を蔑む方がいないわけでもないのです。
(この泥はあくまでも貴族として没落してしまった、ということであって、クソヤローにされたことは一切なんの落ち度でもありませんのよ!)
誰にするでもない言い訳を心でしてから、気が付きました。
(わたくし、すでにセレーナ様にかなり肩入れしていますわね)
初恋の想い人を射止めた女性だからといって、敵視する気持ちは湧きませんでした。
彼女の歩んできた道を知ってしまっているからかもしれませんが、それよりも、こんな、前世の三十路女の記憶があるなんてわけのわからない状態で、必死で公爵令嬢のフリをしている滑稽なわたくしには、きっとできない方法でレオナルド様をお幸せにできる方なのだと、完敗した気持ちがあるからかもしれません。
それでしたなら、セレーナ様にはぜひとも、生涯かけて、これでもかとレオナルド様とお幸せになっていただかないと。
「レオナルド様」
そこでようやくわたくしはレオナルド様のお名前を呼ぶことができました。
震える吐息も、張り裂けそうな心も、公爵令嬢ルクレツィア・ガラッシアは、ひとつも面には出しませんわ。
「ティアちゃん」
わたくしに向き直ってくださったレオナルド様は、いつものお優しい眼差しのようにも見えましたし、そこに少しの緊張が混じっているようにも見えたのは、わたくしの願望ですかしら?
「この度はご結婚、心よりお祝い申し上げます。末永いお二人のお幸せを、切に願っておりますわ」
湧きあがる些細な幻想を捨て、わたくしは一世一代のカーテシーと笑顔を見せました。
お母さまゆずりの、わたくしの身に宿るすべての美しさを総動員して、朝焼けの水平線に太陽の道ができるように、輝かしいその道を二人が歩けるように、渾身の言祝ぎですわ。
レオナルド様は一瞬目を見張り、それから破顔して、最大限の紳士の礼で返してくださいました。
そこに多少の安堵が混ざっていたこと、その様子をラガロ様が金の眼でじっと見つめていらしたこと、そのどれも、必死なわたくしには気付きもしませんでしたわ。
ガラッシア家ほどではありませんが、十二貴族の領主ともなると、その領都にお城を構えているのが基本です。
跳ね橋を渡り、ゆるやかな坂道を登り、主塔の正面広場で馬車は止まりました。
有事であれば、進軍前の騎士たちが居並び士気を高めるそこは、久しく戦火にないステラフィッサ王国の中、白い敷石の広がる、眩しいほどに調えられた庭園となっておりました。
結婚式には相応しい様相ですわね。
馬車の窓から、玄関前でわたくしたちを出迎えるために並んでおられる、レオナルド様とラガロ様、そして慎ましいドレスの女性が寄り添っているのが見えました。
あの方が、きっとラガロ様のお母さま、レオナルド様のご結婚相手でしょう。
「さあ、ティアちゃん」
お母さまがわたくしの手をとりました。
「背筋を伸ばして、顔をあげて、そう、ニッコリ。
大丈夫ですわ、あなたは世界一可愛いわたくしの、ガラッシアの娘です。よくって?」
言い聞かせるように、おでこをコツンと当てて、お母さまがわたくしを励ましてくださいました。
今回、結婚式にわたくしを同行させるか、お父さまは大変悩んだそうですが、お母さまがわたくしを出席させるべきだと譲りませんでした。
お父さまとお母さまはレオナルド様のご結婚の立会人として招待されておりますが、お兄さま、わたくし、ファウストについては、できれば出席してほしい、ということでしたから、わたくしたちは来ないという選択もできたのです。
けれど、それではダメよ、とめずらしくお母さまが強く仰いました。
わたくしの初恋を、お母さまはずっと温かく見守っていたように思います。
その終わりを、うやむやにしてはいけないと、お母さまはお考えのようです。
(結婚式にも出られず、お祝いも申し上げられない可哀想な恋の終わりにしてはいけませんものね)
わたくしの恋は、貴族中が知っていると言っても過言ではないのです。
ルクレツィア・ガラッシアとして、失恋に心を痛めて閉じこもるような、惨めな醜態をさらすことはできません。
堂々と、ご結婚されるお二人の門出を見届けてこその、公爵令嬢、ルクレツィア・ガラッシアなのです。
「ラファエロ、遠いところ、わざわざすまなかったな」
お父さまが降り立ち、お母さまの手をとって並ぶと、喜色を称えたレオナルド様が早速お父さまと熱い抱擁を交わしました。
「おめでとう、レオナルド。こんな日が来るとは、感慨深いよ」
お父さまとレオナルド様の友情は幼少の頃から、レオナルド様の辛い時期も側で知っていらっしゃるでしょうから、お父さまの言葉にも重みがございます。
(わたくしのことがなければ、きっともっと大手を振って喜んで差し上げたいのではないかしら。
それならやはり、お父さまのためにもわたくしがすることはひとつですわね)
「紹介するよ、セレーナだ」
レオナルド様の言葉に、セレーナ様は半歩前に出て、わたくしたちにお辞儀をいたしました。
貴族というよりは、使用人の動きが染み付いた所作です。
それでもわたくしたちが好感を持てたのは、それが、この方が精一杯生きてきた証だと知っているから。
セレーナ様は、ラガロ様と同じ黒髪の美しい方でしたが、簡素にまとめた髪は自然で、ドレスも品のいいものではありますが派手さはなく、慎ましいという言葉がしっくりときます。
公爵家を前に緊張をしているのをなんとか見せまい努力しているのが見てとれるのも、素直な心根の方なのだと感じられて、レオナルド様は確かな方を選ばれたのだわと納得もいたしました。
「セレーナさん、そんなに緊張なさらなくてもよろしいのよ。
旦那様が友人同士なのですもの、どうぞ私のこともお友だちと思って、仲良くしてくださいね」
ステラフィッサの女神は、今日も女神です。
お母さまに微笑みかけられたセレーナ様は頬を紅潮させて、恐れ多いとも、感極まったともとれるように首を縦に振ったり横に振ったりと忙しくなり、レオナルド様のお顔を見上げて少しだけ涙目になっておりました。
(可愛らしい方……)
それを愛おしそうに笑って見ているレオナルド様の、なんてお幸せそうなことでしょう。
「お心遣い、感謝申し上げる。
さあ、長旅でお疲れでしょうから、まずは客間にご案内しましょう。
ラファエロ、今日はこの後にフリオも着く予定だから、夕食で会えるだろう」
レオナルド様がフリオと呼ぶのは、オノフリオ・トーロ様、トーロ伯爵ですわね。
十二貴族のリオーネ家当主のご結婚式ですから、それは盛大に執り行われるかと思いましたが、招待客は立会人のガラッシア家、騎士団を代表してトーロ家、そのほかはリオーネ家ご一門の主だった家のみで、領城の礼拝堂で式を挙げましたら、招待客のみでのささやかな披露宴を行うだけで、あまり目立ったことはなさらないそう。
レオナルド様たってのご希望だそうですけれど、セレーナ様を守るためでもあるのではないかしら。
大勢を呼んでしまえば、ラザーレ家も呼ばなくてはならないですし、お話しだけ聞いても胸くその悪い、あら、言葉遣いが三十路に引きずられましたわ、ええと、クソ男?ああ、あんな最低な男のことをわざわざお上品に言い繕う語彙がありませんわ、クソヤローのラザーレ子爵なんて、顔も見たくありませんもの、おめでたい席ならなおさら、いらっしゃらなくて結構だわ。
それにセレーナ様の生い立ちについても口さがない方はいらっしゃるでしょうし、例え「ラガロの星」をお生みになられたからといって、一度ついた泥を蔑む方がいないわけでもないのです。
(この泥はあくまでも貴族として没落してしまった、ということであって、クソヤローにされたことは一切なんの落ち度でもありませんのよ!)
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(わたくし、すでにセレーナ様にかなり肩入れしていますわね)
初恋の想い人を射止めた女性だからといって、敵視する気持ちは湧きませんでした。
彼女の歩んできた道を知ってしまっているからかもしれませんが、それよりも、こんな、前世の三十路女の記憶があるなんてわけのわからない状態で、必死で公爵令嬢のフリをしている滑稽なわたくしには、きっとできない方法でレオナルド様をお幸せにできる方なのだと、完敗した気持ちがあるからかもしれません。
それでしたなら、セレーナ様にはぜひとも、生涯かけて、これでもかとレオナルド様とお幸せになっていただかないと。
「レオナルド様」
そこでようやくわたくしはレオナルド様のお名前を呼ぶことができました。
震える吐息も、張り裂けそうな心も、公爵令嬢ルクレツィア・ガラッシアは、ひとつも面には出しませんわ。
「ティアちゃん」
わたくしに向き直ってくださったレオナルド様は、いつものお優しい眼差しのようにも見えましたし、そこに少しの緊張が混じっているようにも見えたのは、わたくしの願望ですかしら?
「この度はご結婚、心よりお祝い申し上げます。末永いお二人のお幸せを、切に願っておりますわ」
湧きあがる些細な幻想を捨て、わたくしは一世一代のカーテシーと笑顔を見せました。
お母さまゆずりの、わたくしの身に宿るすべての美しさを総動員して、朝焼けの水平線に太陽の道ができるように、輝かしいその道を二人が歩けるように、渾身の言祝ぎですわ。
レオナルド様は一瞬目を見張り、それから破顔して、最大限の紳士の礼で返してくださいました。
そこに多少の安堵が混ざっていたこと、その様子をラガロ様が金の眼でじっと見つめていらしたこと、そのどれも、必死なわたくしには気付きもしませんでしたわ。
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