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人形
しおりを挟むいつもと同じ帰り道
視線を感じて、無意識に気配を追う。
―人形。
ピノキオだろうか?
最近の流行のキャラクターかもしれない。
目線が絡んだ―ように感じた。
「キモッ。」
ぼそりとつぶやいてその場を去った。
その日の夜、夢を見た。
ひどく低い視線からぼやけた空を見ている。
人が足早に通っていく。
私の目線は、彼らの足元から始まっているようだ。
視界は不明瞭で、すぐに途切れそうになる。
体を動かそうとして、声にならない悲鳴を上げた。
指の一本も動こうとしない。
体に意思は届かず、私はただぼんやりと見ることだけが許されている。
もがいていると、意思でさえ、持っていかれそうになる。
私は私を感じたまま消えてしまいそうになる。
急にピントが合った。
見覚えのある姿。
私の視線を感じたのだろう、立ち止まり、振り返る。
―そこにあったのは、見慣れた私の顔だった。
水中から浮かび上がるような感覚。
私は私になり、布団を握っていた。
心臓の音が、自分の意思と関係なく早鐘を打っていた。
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