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1 姉のお願い

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-きゃーーーーー!!!!!

大きなライブ会場、眩しいライト、大音量の音楽……。
そして、一番前のど真ん中の席。
ボサボサな前髪で隠れて見えない俺の顔はいわゆるチベットスナギツネのような虚無顔をしているだろう。
さて、俺は何故、こんな一生関わることのないと思ってたところに居るのかというと、遡ること一週間前。

---

「ねえねえ!来週の日曜日、暇?」

「暇。」

嫌な予感がする。姉がいきなり予定を聞いてくるときは、俺の望まない出来事が起きることが多い。

「良かったぁ~!」

嫌な予感が強まる。

「私の代わりに狙撃手´Sスナイパーズのライブに行ってきて!!」

嫌な予感が的中した。嫌だ。めちゃくちゃ嫌だ。例え、大好きな姉の頼みでも。

「嫌だ。自分で行けばいいじゃん。」

「急な用事ができちゃって行けなくなったのよ~。でも、推しのライブに空席なんて作りたくないし、かといってSNSとかで募集かけたくはない。てことでお願い!!ライブ中は最悪、本でも音楽でも好きにしてていいからぁ~!!」

---

そんなこんなで、誰に説明するでもないけど思い出してみた。
推しのライブに空席をあけなければ、何でもいいのか?と、思わなくもないが好きにしてていいと言われたので、本を読んでライブの時間暇潰しをしようと思う。
あのあと、好きにしてていいと言われはしたが、姉に引っ張られて聞きたくもない今日のライブのグループの曲を全て聞かされ、ライブ映像を全て見せられ、曲の振り付け、メンバーの公式プロフィールから出演したドラマ、映画等などメンバーに関するありとあらゆることを教えられた。

憂鬱な気分でいると、ライブが始まるというアナウンスがなる。それにより一層興奮に拍車がかけられファンの女性達が甲高い声をあげる。
うるさい。耳が痛い。

ドライアイスを使った煙幕から青いライトを浴びながら、静かに五人の男が出てきた。
会場には、今までの比じゃないくらいの歓声が響く。
うん、とてもやかましい。
この声、どこから出てるんだ?

つくづく、ヘッドフォンを持ってきて良かったと思う。
そんなことを思いつつ、本を開く。

30分後、読み終えた本を閉じ、鞄を開く。1巻をしまい2巻を取りだし、本を開こうとする。
ふと、視界に入ったステージの上にいるアイドル達を見上げる。
狙撃手´SスナイパーズのリーダーSYUNシュンが一番近くにいたので、暇潰しに少し観察してみることにした。
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