大天使様に溺愛されて

第一話

ここはマルタ大陸にある王国の都市ユーゲリア。
マルタ大陸は歴史がとても古く、ヨーロッパに宗教を伝えた大陸されている。
とくに都市ユーゲリアは地球上で最も大きな大聖堂を持つ都市として神聖な場所とされている。

カレンは幼い頃に母を亡くし、父と2人きりで暮らしている。
家は特別貧しいわけではないけど、裕福なわけでもない。父はこの日も仕事で役所へ出かけている。今日は少し帰りが遅いな。

コンコン

「カレンさん、ゲールです…!!」

ゲールは父の同僚で、プライベートでも親しい存在だ。

「ゲールさん、こんばんは。ごめんなさい、父はまだ帰ってきてないの。」

「はぁはぁ…カレンさん。落ち着いて聞いてくださいね。」

ゲールはとても急いで来たようで、息が乱れていた。父に何かあったのだろうか？

「セインが仕事中に倒れて病院に運ばれた。
意識あるが、数日は検査が必要で家に帰れないらしい。一緒に病院へ行こう！」

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病院へ着くと、白いベッドに横たわった父が医師と話していた。

「…お父さん！！」

「カレン…。ゲールが連れてきてくれたのか。
実は、深刻な病を患ってしまったようでな。良くてあと半年生きられるかどうかだそうなんだ。」

「え…」

父は今朝まで元気そうだった。
私が知る限り体調を崩したことはなく、本人も身体の丈夫だけは誰にも負けないと豪語してたほどだ。

「先生、何か方法はないんですか？」

「われわれの今の技術で出来ることはありません。」

そんな…
母を幼い頃に亡くし、父も余命半年…
これ以上家族を失うなんて…
いや、きっと何か方法はあるはずだ。