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後編

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「嫌ぁぁぁぁ!?」
「のわっ!? 何だ、地震か!?」

 ドン!!
 そんな音が聞こえつつ、私はガバリと身体を起こす。荒い呼吸をしながら周りを見渡すと私達の家の寝室だ。さっきの男なんてどこにもいないし、ちゃんとルームウェアを着ている。
 ……あれ、今のって…………。

「いってぇ……。紫音、大丈夫か?」
「貴之…………?」

 私の絶叫で驚いてベッドから落ちてしまった貴之がのそりと立上がった。貴之の顔は痛そうだけど私を心配してくれていて。
 とどのつまり。

「ゆ゛め゛か゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」
「おわっ!? ……大丈夫か?」

 こういうことだった。
 私は夢を見ていたようだ、しかも妙に現実的な。

「た゛か゛ゆ゛き゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!! こ゛わ゛か゛っ゛た゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」
「おーしおし、もう大丈夫だ」

 貴之に抱きついて顔を埋める。寝汗のせいか、ボディソープと汗の匂いが混じっているけどとても安心する。狂乱寸前の私を受け止めて髪の毛と背中を撫でて落ち着かせてくれた。貴之の心臓の鼓動も加わって次第に落ち着いてくる。

「……大丈夫か?」
「…………うん、だいじょぶ。ありがと」
「夢?」
「そー、拘束されて無理矢理されそうだった」
「…………」

 心なしか貴之の力が強くなった気がする。「ぎゅっ」だった力が「ぎゅぅぅぅ!」に変わった。
 嫉妬? 征服感とかなら嬉しい。

「ちょっと痛い」
「あ、悪い! ……風呂のバススライムが駄目だったのかもな。止めとくか」
「う~ん、かもぉ?」

 そうだ、夜は一緒にお風呂に入って、バススライムでヌルヌルぐちょぐちょになって遊んで……。でも、めっっっっちゃ楽しかったけどなぁ。
 2人してウンウン唸っていると、どこからか別の声が流れてきているのに気がついた。アニメみたいだ、よく当麻が見ているヒーローもののアニメ。

『オーホッホッホッホ! ワタクシと戦おうなんて100年早いザマス!!』
『そんなこと無い! 僕はお前を倒して世界の平和を取り戻すんだ!』
『生意気言ってくれますねぇ! 死んでいった奴らの元に送って差し上げましょう!!』
『それは僕の台詞だ! 覚悟しろ! てりゃぁぁぁぁ!!』

 金属の擦れる音や魔法が飛び交う音が聞こえてくる。貴之も好きなアニメだ。って言うか…………。

「ねえ、貴之」
「お? どうした?」
「このアニメの悪人の真似してみて?」
「いきなり何? まあ良いけど。……『いぃひっひっひ、ワタクシの研究の成果、とくとご覧あれ!』」
「貴様の仕業かぁ!」
「おわぁっ!?」

 貴之の胸をポカポカ殴りつける。冷静になって夢を思い出すと、あの男の声と貴之の声はそっくりだ。それにこの悪人ムーブ。つまり、私は悪人になった貴之に虐められる夢を見ていたことになる。

「貴之ぃ! あんたのせいで変な夢見ちゃったじゃ無い!」
「ごめんって、ほら」
「んむ」

 はぁ……、貴之とキスすると落ち着くなぁ……。…………じゃなくって!!

「私はチョロくなーい!!」
「いつもはこれで治るのに……」
「もぉーー!」

 私は貴之の胸をポカポカ殴りつける。私も貴之もじゃれているだけなので痛みは感じないはず。人きしり叩いて満足したので上目遣いで貴之を見る。

「ねぇ、貴之?」
「んー?」
「私はとってもとぉっても恐かったです」
「おう」
「なので、私のお願いを聞いて下さい」
「はい」
「……2人目作らない?」
「!!」
「ほらー、私も貴之も一人っ子じゃないじゃん? 兄弟姉妹って煩わしいこともあるけど、なんだかんだで友達とか学生の頃の同級生とかとは違うじゃん? 当麻も4歳になったし子育てにも慣れてきたしどうかなーって……」

 思わず尻すぼみになる。新婚当初は私も貴之も働いていたし、今も特別生活に余裕があるって訳でもない。子育てを出来なくなるってほど貧しいわけじゃ無いけど。
 何も反応が無い貴之が若干不安だ。目を瞑ったまま考え込んでいる。あんまり乗り気じゃ無いかもしれない。
 あ、やっぱ何でも無い。そう言おうとした私は口を開きかけて、でもその瞬間に貴之は目を開けて話し出す。

「実はな、昇級が決まったんだ」
「えっ!?」
「役職に付くことになったんだ。だから給料も増える」
「それじゃあ!」
「余裕が出るはずだ。それに、紫音は手先が器用だろ? 前からやってたハンドメイドの作品で少しでも収入増やせればパートとかしなくても大丈夫だ。嫌いだろ?」
「そうだねぇ……」

 若いからって重い物持たせようとしてくるババァとか胸とかお尻とか見てくるジジィとか。ホント大っ嫌い。私の身体は貴之のものだ!

「でも良いの?」
「? 何が?」
「ほら、貴之にばっか負担かけちゃって」
「いや、お互い様でしょ。俺は子種を与えることしか出来ないし、その分働く。紫音は家のことやりつつ、でも命を賭けて出産する。均等に釣り合ってるか? って言われたら微妙だけど夫婦なんだしさ。それに……」
「それに?」
「子育て抜きにして紫音とSEXしたい。中に出したい!」
「おぉう……」

 真剣な表情で私を求めてくれて、その格好良さに思わず私の秘部がキュンキュンなる。濡れたのが分かった。それに、今までは半分くらい硬くなってた貴之の局部が最大まで硬くなって私の内股をグイグイ押す。夢の男のモノは気持ち悪かったのに、貴之のモノは愛おしい。男のモノなのに、どうしてこんなに違いがあるのだろうか。

「……さっき見た夢を忘れられる位、グチョグチョにシて?」
「ああ! 紫音は俺の女だ!! 誰にも渡さない!!」

 私が痛くなるくらい、でも貴之にとってはそこまで強くない微妙な力加減で抱きしめられて。当麻が産まれたことでこういうことを出来る機会はぐっと減ってしまって。男女から夫婦に変わってしまってどこかマンネリも感じられてしまって……。
 でも、私はこうして貴之とイチャイチャしたかったんだなぁ、と思い知った。保育園のお泊まり回があって助かった。貴之とSEXしたいからって実家とか御両親に当麻を預けるにはなんというか、ねぇ……。

「貴之のおっきくなってる」
「紫音だってもう濡れてるよ?」
「えっ!?」

 暗がりの中自身の下半身を見ると秘部の周辺に染みが出来ているのが分かった。ズボン越しですら分かる。夢と貴之の愛情に触れて勝手に身体の準備は終わっていたようだ。

「恥ずかしい……」
「まあまあ」
「……そう言うんなら私のクリにスリスリしないでよ」
「えー?」

 そう、さっきから貴之は自分の局部をズボン越しに私のクリトリスにすり寄せては気持ちよさそうにしている。いや、私も気持ちいいんだけど。

「ほら、ズボンと下着脱いでよ」
「……今日は随分積極的だな」
「当麻がいるとなかなかHなこと出来ないしねー、それに身体が疼いてしょうが無い」
「……エッロ」
「うるさい……」

 結婚して6年だし、お互いに30歳を超えている。となると、恥じらいはあるけれど、学生の頃よりは男性の性欲とかにも受け入れられるようになった。年を取っただけかもしれないけど。
 お互いにズボンと下着を脱ぐと、"男"の匂いと"女"の匂いが寝室に充満した。塩素みたいな匂いと花を煮詰めたような匂い。貴之のモノは天井を向くほど硬くなっていて、私の秘部もトロトロに蕩けている。2人して苦笑した。
 貴之はあぐらをかくように座っては私を引き寄せ、貴之の太ももの上に座った。直接貴之のモノが私の秘部に触れて水音が鳴る。

「今日は座ってするの?」
「うん、最近ハグも出来なかったからなぁ。この体勢だと出るまでじっくり出来るし」
「貴之は変態?」
「……好きな女を好きなようにシたい。駄目か?」
「駄目じゃ無い」

 貴之は私をもっと引き寄せて、貴之のモノは2人の間ににょきっと生えた。私のおへその下に先端部分が付いて湿る。小刻みに腰を動かすと貴之は逃げようとする。

「……それされると出ちゃいそうなんだけど」
「出して良いじゃん」
「ただでさえ早いんだから、俺」
「その分回復も早いでしょ? 今日は何回出せるかな?」
「……本当に積極的だな、じゃあ挿れるぞ?」
「はーい」

 そう言った貴之は私の腰を持って少し浮かす。私も貴之の負担を掛けすぎないように両手で貴之の膝に手を掛けて少し腰を浮かした。そのまま貴之は自分のモノに私の秘部を宛がうと、少しずつ下に降ろしていく。私の秘部に貴之のモノが吸い込まれていく。異物が入ってくる拒絶感と性感帯を刺激される快感が全身に届けられる。

「……ふぅ、……ふぅ」

 さっきまでと違って余裕を失ってしまった。貴之のモノはどんどん私の中に入ってきて開発済みの奥へと目指している。気持ちよさでを我慢出来なくて貴之に力いっぱい抱きつく。
 私には貴之の耳元でよがることしか出来ない。私の余裕が無い声を聞いて貴之のモノは少し大きくなった気がした。

「全部入った」
「…………そう? ……貴之とHなことするの好き。大好き」

 あ、またおっきくなった。
 でも、それを指摘しようとしても私には余裕が無くて。動かされると理性は崩壊してしまう。それに、貴之の呼吸もすぐ側で聞こえてきて、こそばゆいけど貴之の存在を感じられて愛おしい。
 当麻の前では母親としての振る舞いをしないといけないけど、こうして2人きりだったら"女"でいたい。

「触るぞ」
「……ぅん」

 私の許可を得た貴之は私の上半身のルームウェアの中に手を入れてきてまっすぐ胸へと到達する。そして、ブラを上にずらした。ルームウェアが勃っている乳首の形になったのが見えた。少しだけ浮き出る。

「……んっ」

 貴之はそのまま私の乳首を人差し指でひっかく。そのせいで快感が産まれて、全身に快楽が届けられる。
 もっと気持ちよくなりたい。でも、始まったばかりで理性が本能を押さえつけている。そんな私を貴之は愛おしそうに、でも嗜虐的に見ては乳首への愛撫を続ける。

「んっ……、はぁ…………。ふぅ……」
「……痛くないか?」
「だいじょーぶ、きもちぃ」
「そっか」

 貴之は、さっきの私みたいに腰を小刻みに動かし出す。貴之のモノが入ったり出たりして私の秘部に快感を与えてくる。乳首と秘部、両方から与えられる快楽に心地よさを感じてしまって仕方が無い。
 私は貴之の首に腕を回してただただ快感に耐えることしか出来ない。

「んっ……、んっ……、んっ……、んっ……」
「はぁ……! はぁ……!」

 私はよがり、貴之は私の声を聞いて更に興奮しては腰を振る。座ってシているから他の体勢に比べてそこまで大きく動けるわけじゃ無い。だからこそイくのが早い私達にとっては他の体勢より長く繋がっていられる。

「あ、出そうだ。ごめん」
「だしていーょ?」
「そう? って締め付けないでくれよ」
「ぃーのぃーの。ほら、ぎゅ~」
「うっ……」

 快感の中、意識して秘部に力を加える。貴之のモノが膨らんだ気がする。
 貴之は私の乳首をひっかくスピードを速めて、腰を振る速度も上げる。自身の性欲をぶつけては私を求める。私はもっと貴之の性欲を引き出すために貴之の左耳たぶを軽く食む。慣れない行為に戸惑いつつも貴之は更に動き、ベッドが軋む。

「ご、めん……! もう!」
「あん……、イっちゃえ! たかゆき!」
「しおん、……でる!! …………あ゛あ゛!!」

 貴之も私と同じように私の背中に手を伸ばして強く私を抱きしめる。そして、貴之のモノが膨らんだかと思ったら、全身がピクピク動いては力が抜けていく。

「あかちゃんできるといーね」
「……ああ、だな…………。さてと」
「え? もう?」
「久々でまだまだ元気だぞ、俺は」

 貴之の言葉通り、1回精を放った貴之のモノは小さくなったと思ったら再び硬さを取り戻す。早いけど何度も復活出来る貴之とのSEXは3回が最低ラインだ。

「とは言っても昔ほど出来ないからな。家事とかあるし、明日には当麻を迎えに行かないといけない」
「だねー、当麻がいて嬉しいけど、男女の仲から夫婦に変わってきちゃったし。前みたいに『パパとママ、プロレスごっこしてるー!』とか言って乱入されても、ねえ?」
「保育園でバラしてないと良いけど」
「ふふ、だね」
「さて、今度は紫音の番だ」
「うん!」

 貴之は私の腰を持ち上げて固定する。貴之の負担にならないように私も膝と足指で踏ん張る。更に、貴之はルームウェアの上から私の左乳首を含んで腰を動かし出す。
 乳首にはフワフワな布が擦れる感触と貴之の唇の感触が。秘部には入り口付近の弱点と奥の弱点が。そして、貴之の下の毛が私のクリトリスへと快感を与える。貴之が放った精が潤滑剤となって滑りをよくする。
 貴之が突くタイミングで私の腰は下ろされ、貴之が腰を離すタイミングで腰を持ち上げられ、貴之のモノが2倍以上大きくなったんじゃ無いかって錯覚するほど性的快感を与えられる。逃げ場が無い私は貴之に蹂躙されてしまう。

「あっ! あっ! あっ! あっ!」
「はぁ! はぁ! はぁ! はぁ!」

 さっきまでの貴之の動きは自分が気持ちよくなろうとする動きだったけど、今度は私を満足させてくれようとする動きに変えてくれて私の弱点を的確に抉ってくる。気持ちよすぎて天国へと昇ってしまいそうだ。
 私の秘部からは水音と精が混じった音も聞こえてきて、それも興奮へ導いていく。

「あっ! あぁんっ! まっ、ってっ!?」
「待たない! イけ!!」
「あ……、イっ、ぐぅ!? ……はぁ!!」

 ビクビク!!
 性的快楽の臨界点を超えた私の身体は勝手に跳ねる。私の弱点だけじゃ無くてシーツと擦れる膝からの刺激さえも快楽に変えてしまって心地が良い。
 必死に酸素を求めて吸い込む。普段無意識にしていることでも意識的に呼吸をしないと酸欠になってしまいそうだ。身体の制御を失った私は貴之にもたれ掛かってぐったりとする。どこか遠い世界にでも連れて行かれたように感じられている私にとっては貴之の体温や息づかい、抱きしめられている感覚だけが現世に留められている要因だ。

「あぁ……、うぅ……」
「派手にイったな」
「誰のせいよ……」

 ようやく心と身体が1つになって、荒い呼吸をしていることが分かるようになった。

「あぁー、気持ちよかった」
「……ごめん、家事とか当麻のことは俺がやるからさ、もっとシていいか?」
「……全くもう、ぃぃょ」
「悪いな」

 そう言って、貴之は再び腰を動かし出す。正直なところ、私もたかがはずれてしまったせいでもっと貴之とシたくなっていた。明日のことは明日の私がなんとかするだろう。そう思って今は貴之との愛を深めようと思う。
 そう、私は母親だけど、1人の"女"でもあるんだ。ってね! 
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