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「そう、ですよね……。すみません、変なこと言って」
「ううん、変じゃない。変じゃないよ」
そう言って、真奈実さんは俺を抱きしめた。温かい温もりと心臓の鼓動が届いてくる。
「一樹君が告白してくれてすっごく嬉しい。でもね、残念だけど将来のことを考えたら難しいと思うんだ。
もし付き合ったとしても、一樹君には同学年の女の子が少なからずいて私は嫉妬しちゃうかもしれない。
社会人になったら一樹君の世界はぐっと広がって、新しい出逢いだってきっとある。そこで女の子と仲良くなるかもしれない」
「そんなことは……」
「あるよ。前にも言ったけどSEXが上手な男の子を女の子は離さないものだし。
恋人がいても飲み会の後にそういう雰囲気になることだってある。社会人になれば今以上に出逢いは来るよ」
「それは…………」
「一樹君は彼女だったりお嫁さんにそのテクニックで満足させてあげれば良いんじゃ無いかな」
「はい…………」
「ん、そういうことだからこれからもこの関係でいよ? 変な空気にしてごめんね。一緒にシャワー浴びよっか。ほらほら」
「ちょっ……!」
傷心中の俺はそのまま真奈実さんと一緒にシャワールームに入ってまた1発出した。気持ちよかった。
真奈実さんにフラれてからも何度も逢った。でも3年時になって数ヶ月経つと俺に彼女が出来た。それもあっさりと。
同系列の大学と合同で行われる講義の単位を選択して、そこでの課題でグループワークで一緒になった子だ。外国語学科に入学していることもあってすごく勉強になる。分かりやすく英語を教えてくれて論文を読む糧となっている。
そして、俺はその事を真奈実さんに伝えようと思う。彼女とセフレがいても良いって考える人は多いかもしれないけど、俺はなんか嫌だった。
数ヶ月前に告白したばっかって言うのにもう逢えないですって伝えるのはなんか勇気が必要で緊張する。俺はメッセンジャーアプリで真奈実さんを見つけて電話を掛けた。この時間なら良いって言ってたし。
「もしもし、一樹君? 急にどうしたの? 珍しく電話なんて」
「あの……」
「……なにかあった?」
「…………俺、彼女が出来ました」
「あ、そうなの? おめでと~!」
「ありがとう御座います……、それで…………」
「ん、これからは私が教えたことで彼女さんのことを悦ばせてね、頑張れ!」
「はい、それじゃあ……」
「今まで楽しかったよ。じゃあね」
「ありがとう御座いました! お元気で!」
「ん、ばいばい」
真奈実さんとの電話が切れる。
……分かっていたことだけど、真奈実さんの声色に動揺は無かった。土曜逢えますか? あ、うん。大丈夫だよ。そんな普段通りの会話だった。
結局の所、真奈実さんにとって俺はその程度の人間だったってことだ。
俺は苦々しい気持ちで真奈実さんの連絡先を消した。……さようなら、俺の女神様。
同じ年齢の綾乃と交際を続けながら大学生活を楽しんでいった。
プールとか海、キャンプ、ボルタリング、水族館、ボウリング……、大学生らしいつきあい方だ。時にしょうも無いことで喧嘩したり定期試験の時は一緒に勉強したり……、綾乃と付き合ってからは毎日が楽しい。
そして、綾乃は4年で卒業して、俺は院生になった。
教授や先輩から「彼女がいない奴は頑張れ、いる奴は逃がさないようにしろ」って言われ続けてたこともあって、俺は「一緒に生きていきたい」って言った。すると、綾乃は赤い顔で「私も」って言ってくれた。
そこからはもうトントン拍子だった。
俺達は綾乃のご両親に挨拶に行って、父さんと母さんにも綾乃のことを紹介した。
父さんと母さん、綾乃のご両親に支えられながら院生を過ごして婚約もして、優美と優介の双子にも恵まれた。
6年間成績優秀者に選ばれていた俺は教授のコネもあって滞りもなくM社に入社して仕事に追われている。……もしかしたら俺は教授の後を継いで研究室の先生になるかもしれない。
優美と優介は綾乃のお義母さんとお義父さんのところに遊びに行っている。なんだかこの家を広く感じた。
「どうしたの?」
「んー? いや、俺は幸せだなって」
「……頭ぶつけた?」
「ぶつけてねえよ!」
「そう?」
……俺は怒った。
頭を傾げてキッチンへ向かっている綾乃に音を出さないように後ろから近付いて、俺は抱きしめる。そして、妻のうなじと髪の毛の匂いを嗅いだ。太陽みたいな匂いで俺の大好きな匂いだ。
「きゃっ!? ……なによ、もう」
「あーやーのー」
「ちょっと! ちんちんスリスリしないで!」
「綾乃、好きだ、愛してる
綾乃、好きだ、愛してる
綾乃、好」
「恐い恐い! それ止めて!」
「あーやーのー」
「……せめてシャワー浴びさせて」
「じゃあ一緒に浴びよう!」
「ちょっと~!?」
一応抵抗だけする綾乃をズルズルと風呂場へと連れて行く。
3人目ってどうかな? って言ってたの聞いちゃったんだぜ、俺。
今日も一緒に楽しもう、ぐへへ。
◇◇◇
んーっと、明日は面接があるんだった。ちゃんと頑張れる子だと良いんだけど。
経営の方も挑戦してみない? ってオーナーに言われて働いてるけど、たまに何も知らない男の子を自分の思うようにしたいって気持ちもあるのよねぇ。まあ40代になって体力的にも厳しいんだけど。
……あ、今度気に入ったおちんちんとか女性器のオーダーメイドの1人エッチ用のオモチャとか提案してみようかな。
実は今でも一樹君とのSEXを思い出す。今まで相手してきた男性の中でもトップを争うくらいにテクニックを身につけて、若干名残惜しい。
んー、捨てたのもったいなかったかな。っていつまでも女々しいぞ、真奈美。
……もし、もしもあの時一樹君からの告白をOKしてたらどんな風に人生送ってたんだろう。
いつまでも未練がましい思い出に引きずられたまま私はこれからも生きていく。
「ううん、変じゃない。変じゃないよ」
そう言って、真奈実さんは俺を抱きしめた。温かい温もりと心臓の鼓動が届いてくる。
「一樹君が告白してくれてすっごく嬉しい。でもね、残念だけど将来のことを考えたら難しいと思うんだ。
もし付き合ったとしても、一樹君には同学年の女の子が少なからずいて私は嫉妬しちゃうかもしれない。
社会人になったら一樹君の世界はぐっと広がって、新しい出逢いだってきっとある。そこで女の子と仲良くなるかもしれない」
「そんなことは……」
「あるよ。前にも言ったけどSEXが上手な男の子を女の子は離さないものだし。
恋人がいても飲み会の後にそういう雰囲気になることだってある。社会人になれば今以上に出逢いは来るよ」
「それは…………」
「一樹君は彼女だったりお嫁さんにそのテクニックで満足させてあげれば良いんじゃ無いかな」
「はい…………」
「ん、そういうことだからこれからもこの関係でいよ? 変な空気にしてごめんね。一緒にシャワー浴びよっか。ほらほら」
「ちょっ……!」
傷心中の俺はそのまま真奈実さんと一緒にシャワールームに入ってまた1発出した。気持ちよかった。
真奈実さんにフラれてからも何度も逢った。でも3年時になって数ヶ月経つと俺に彼女が出来た。それもあっさりと。
同系列の大学と合同で行われる講義の単位を選択して、そこでの課題でグループワークで一緒になった子だ。外国語学科に入学していることもあってすごく勉強になる。分かりやすく英語を教えてくれて論文を読む糧となっている。
そして、俺はその事を真奈実さんに伝えようと思う。彼女とセフレがいても良いって考える人は多いかもしれないけど、俺はなんか嫌だった。
数ヶ月前に告白したばっかって言うのにもう逢えないですって伝えるのはなんか勇気が必要で緊張する。俺はメッセンジャーアプリで真奈実さんを見つけて電話を掛けた。この時間なら良いって言ってたし。
「もしもし、一樹君? 急にどうしたの? 珍しく電話なんて」
「あの……」
「……なにかあった?」
「…………俺、彼女が出来ました」
「あ、そうなの? おめでと~!」
「ありがとう御座います……、それで…………」
「ん、これからは私が教えたことで彼女さんのことを悦ばせてね、頑張れ!」
「はい、それじゃあ……」
「今まで楽しかったよ。じゃあね」
「ありがとう御座いました! お元気で!」
「ん、ばいばい」
真奈実さんとの電話が切れる。
……分かっていたことだけど、真奈実さんの声色に動揺は無かった。土曜逢えますか? あ、うん。大丈夫だよ。そんな普段通りの会話だった。
結局の所、真奈実さんにとって俺はその程度の人間だったってことだ。
俺は苦々しい気持ちで真奈実さんの連絡先を消した。……さようなら、俺の女神様。
同じ年齢の綾乃と交際を続けながら大学生活を楽しんでいった。
プールとか海、キャンプ、ボルタリング、水族館、ボウリング……、大学生らしいつきあい方だ。時にしょうも無いことで喧嘩したり定期試験の時は一緒に勉強したり……、綾乃と付き合ってからは毎日が楽しい。
そして、綾乃は4年で卒業して、俺は院生になった。
教授や先輩から「彼女がいない奴は頑張れ、いる奴は逃がさないようにしろ」って言われ続けてたこともあって、俺は「一緒に生きていきたい」って言った。すると、綾乃は赤い顔で「私も」って言ってくれた。
そこからはもうトントン拍子だった。
俺達は綾乃のご両親に挨拶に行って、父さんと母さんにも綾乃のことを紹介した。
父さんと母さん、綾乃のご両親に支えられながら院生を過ごして婚約もして、優美と優介の双子にも恵まれた。
6年間成績優秀者に選ばれていた俺は教授のコネもあって滞りもなくM社に入社して仕事に追われている。……もしかしたら俺は教授の後を継いで研究室の先生になるかもしれない。
優美と優介は綾乃のお義母さんとお義父さんのところに遊びに行っている。なんだかこの家を広く感じた。
「どうしたの?」
「んー? いや、俺は幸せだなって」
「……頭ぶつけた?」
「ぶつけてねえよ!」
「そう?」
……俺は怒った。
頭を傾げてキッチンへ向かっている綾乃に音を出さないように後ろから近付いて、俺は抱きしめる。そして、妻のうなじと髪の毛の匂いを嗅いだ。太陽みたいな匂いで俺の大好きな匂いだ。
「きゃっ!? ……なによ、もう」
「あーやーのー」
「ちょっと! ちんちんスリスリしないで!」
「綾乃、好きだ、愛してる
綾乃、好きだ、愛してる
綾乃、好」
「恐い恐い! それ止めて!」
「あーやーのー」
「……せめてシャワー浴びさせて」
「じゃあ一緒に浴びよう!」
「ちょっと~!?」
一応抵抗だけする綾乃をズルズルと風呂場へと連れて行く。
3人目ってどうかな? って言ってたの聞いちゃったんだぜ、俺。
今日も一緒に楽しもう、ぐへへ。
◇◇◇
んーっと、明日は面接があるんだった。ちゃんと頑張れる子だと良いんだけど。
経営の方も挑戦してみない? ってオーナーに言われて働いてるけど、たまに何も知らない男の子を自分の思うようにしたいって気持ちもあるのよねぇ。まあ40代になって体力的にも厳しいんだけど。
……あ、今度気に入ったおちんちんとか女性器のオーダーメイドの1人エッチ用のオモチャとか提案してみようかな。
実は今でも一樹君とのSEXを思い出す。今まで相手してきた男性の中でもトップを争うくらいにテクニックを身につけて、若干名残惜しい。
んー、捨てたのもったいなかったかな。っていつまでも女々しいぞ、真奈美。
……もし、もしもあの時一樹君からの告白をOKしてたらどんな風に人生送ってたんだろう。
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