見知らぬ隣人さん

岩石の扉

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容疑者の家族4

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「子供出来たみたい」


「え?は?」

「だから、子供が出来たみたい。あんたの子供が」

「嘘やろ。なんで俺やねん。」

「三ヶ月くらい前にその、したやん?そん時はなんも思ってへんかってんけど、ちょっとして生理けーへんからおかしいなと思いながらもいつもきっちり来るわけちゃうし気にしてへんかってん。せやけど三ヶ月くらいけーへんからおかしいやん?だから調べたら出来てた。」

「そんなん知るか。俺以外ともやってんちゃうんか。」

「やってへん」

「そんなん信じれるか。」

「信じれるかってなんなん。自分やる事やってんやろ。責任取ってや!」

「でかい声出すなや、俺は知らん。」

「ほなあんたの親に会わせて!無責任な大人に育てた親に!ほんで産んで育てるためのお金用意して。
出来ひん言うたらあんたに無理矢理犯されて妊娠した言うて警察言ったる。」

彼女
堂々としていた。まだ若いのにもう既に母親になる覚悟ができているようにみえる。
こういう時に男というのは意気地がない。
突然の事で、ましてや長い付き合いであれば自然の流れとも言えるが、頭が着いてこなくて反論も出来ない。
挙句の果てに責任逃れ。言い訳も出来ずそっぽを向くしかない。

情けないがどうすることも出来ない。
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