見知らぬ隣人さん

岩石の扉

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容疑者の家族

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電話があった。
妻が逮捕されたが、容疑を否認している。取り調べもろくにできないほど余計なことを喋る。一度落ち着かせるために来て欲しい。

という内容のものだった。
始めはいたずら電話かとも思ったが、話を聞いているうちにそうではないと分かった。
だが、喋りすぎるなんて言われても人違いではないかと思うほど、妻とは長い間普通に会話すらしていないためにわかに信じがたかった。

夕方警察署へ行くと逮捕されているのは確かに自分のよく知る人物ではあるが、たかが外れたかのごとく口を動かし続け、取調べをしている警察官につゆをとばしていた。

長年連れ添った自分の女房なのかと目を疑うような早口で捲し立てるその女を見て少し気が重くなった。

昔から口数の少ない方ではなかったが、穏やかで最近はまともに会話すらしていない。
あれはストレスでも溜まっていて頭がおかしくなってしまったのだろうか。

警察官に、あれが自分の妻で間違いないということと、普段はあんなに乱暴な言葉で捲し立てたりはしないと告げると、恐らく興奮しているのだろうと言われた。

「少しだけ奥さんと話して貰えますか」

と選択肢を与えられることなく、廊下で少し待つように言われた。

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