見知らぬ隣人さん

遭遇2

「ほな、私はイケメン達に囲まれたいとこやけどこの辺で失礼しますわ！」

おばさんである。無駄に大きめの声で愛想よくハキハキと言葉を吐き出し去って行った。

イケメン達？どうせ自分は入っていないと公介は思った。そもそも視界に入っていたかどうかも怪しい。
おばさんも山下颯太も小笠原星明も、放つ光の種類は違えど公介には眩しく見えた。

例えるなら、颯太は真冬の月明かり、星明は春の太陽、おばさんは、、、ダンプカーのヘッドライトの様な感じだろうか。

それに比べ公介は、豆電球だ。

考えても暗くなるばかりで嫌になるので、いっその事思考を投げ出してしまいたいがそれも出来ない。
この3人には悩みなんかないんじゃないかとまで思えてくる。

卑屈な思考はとどまることを知らない。

「さっきのおばさんってどの家の人か知ってるんすか？」

颯太はどちらにと言うわけでもなく空中に言葉を放り投げた。

「いやー、何回か喋ったことはあるんですが、そう言うたら名前も知りませんわ！三橋さん知ってますか？」

「僕も１回喋っただけで、」

「もう何ヶ月も経つのに意外と隣人さんのことよく知りませんよね。」

「そーすね、自分出張多くてほとんど家の周りとかも知らんくて息抜きに散歩でもしよかと思ってたとこなんすよ」