見知らぬ隣人さん

岩石の扉

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遭遇

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「あ」
「あ」

三橋公介と山下颯太の声が重なった。

「こんにちは」

「どうも」

そういえば近所なのに2人が会うのは山下夫妻が引っ越してきたあの日以来のことだった。

2人はそれ以上の会話をする気はなく、公介はまたうつむき加減で、颯太は目的地であるコンビニの方向へ向かって歩みを始めようとしたその時、7区画の分譲地から公道に出るコの字型の空いている部分のところに、中年女性と若い男が立ち話をしていた。

若い男の方は、小笠原星明せいめいだった。

公介は緑地公園で、一度星明に会っていた。

以前見かけた時には奥さんと子供を連れて公園で少し話した程度ではあるが。

「あ、小笠原さん、こんにちは!」

「あー山下さん、こんにちは!」


公介が星明に声をかけようと決意し、喉の奥まで言葉を運んできた頃に颯太が先にその声を届けた。

シャープな印象の颯太と爽やかな星明。
公介は、月と太陽のように見える2人に密かに嫉妬した。

仏頂面の公介に三橋さんもこんにちはと星明が声をかけた。

年頃は近いはずなのにこうも人間性に差があるものかと思うと声も出ない。

気力を振り絞って平静を装い今度こそ声を出そうとした時、邪魔が入った。
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