見知らぬ隣人さん

新生活3

颯太はまた出張を繰り返し、2ヶ月ぶりに自宅にいた。
またしても洗車をしているとおばさんが現れた。デジャブかと思い軽く苛立ったが愛想の良い挨拶に機嫌を直した。

「お休みの日はいつも洗車してるん？」

「いつもってわけじゃないけど最近はそうなりますね」

「今日は奥さんさっき出ていきはったけどお休みの日に夫婦で別行動するん？うまいこといってへんの？」

無礼なおばさんだと思った。名前も知らない近隣住民に何故家庭の内情を話さねばならないんだ。
そもそも不仲ではないが。

おばさんは特に気にする様子もなく続けた。

「山下さんの奥さんと三橋さんの奥さんなんか雰囲気似てるよね？見たことある？」

「ないです。僕出張多くてご近所さんのことあんまり知らんくて」

「そうやんな！車もたまにしか見かけへんし、見かけたと思ったら洗車してはるし」

何がおかしいのか分からないがおばさんは笑いながら言い放った。

「たまの休みに愛車の洗車をするのが楽しいんですよ」

颯太も負けじと笑いながら言い放った。