見知らぬ隣人さん

岩石の扉

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新生活

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引っ越してから3ヶ月程経ったが、颯太は3分の1も家に居なかった。
出張が続きたまに家に帰るのは着替えを取りに帰るのと、お土産を持ち帰るだけだった。

新プロジェクトも落ち着きを見せ、今回は引越し後初めての連休だった。

年末から年度末にかけては忙しい年が多いが今年は激務と言う以外に表現が見つからないほど身を粉にして働いた。
社畜と言われようが、ブラック企業だろうが、成功するような人間は、高給を貰い好きな車に乗り好きな服を着る。

出張先では、洗車機ではなく人の手によって執り行われる洗車を何度か依頼した。

激務ゆえに、自分ではなかなか出来なかったからだ。
それでも、車だけは綺麗にしておきたかった。

今日と明日は休み。幸いやる事も特にない。
そう思いガレージから車を出し洗車をしていると、中年の女性が話しかけてきた。

「ここのご主人?奥さんは見かけたことあるけど!最近温なってきたけどまだ水触るには寒いんちゃう?」

「手先は冷えますね。せやけどできる時にやっとかんとすぐ汚れますからね」

「偉いわ!ピカピカやもんね!新車?」

「そうです!まだ1年も経ってへんくらいです」

「へー、ええ車やし大事にせなね!ほな私買い物行くからまたお話しましょ!」
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