見知らぬ隣人さん

株式会社 麒麟不動産

車に揺られる事10分。
山内さんの勤める＜株式会社 麒麟不動産＞の駐車場に着いた。

そこには大型のワゴン車が7台とコンパクトカーが2台空きスペースが3台ほどあった。

山内のあとを公介、唯香、羽衣音の順に、某超大作RPGゲームのように続いて歩いた。
階段を上り、大きなガラスのドアを開け、中に入ると白を基調にしたシンプルで清潔感があり、天井から植物が吊るされていたり、壁の所々がカントリー調のオフィスとなっていた。

4人掛けの商談用の様なパーテーションで仕切られたテーブルに案内され、事務の女性が笑顔で飲み物のメニューを持ってきてくれた。
「失礼いたします。お飲み物は全て暖かいものと冷たいものを用意しております。お子様にはオレンジとリンゴのジュースがございます。商談中は、お子様が退屈するかと思いますので、キッズスペースで子供向けのアニメとおもちゃがありますので、気軽にお申し付け下さい。」

恐らく年齢20後半くらいだと思うが、優しい笑顔と話し方で大人っぽく見えた。

普段グレーの作業服でリフォームの営業に回っている公介も営業職ではあるが、親しみやすい言葉遣いを心掛けているのでここまで丁寧には話さない。

家の事をそれなりに理解しているつもりで来ていたものの、少し雰囲気に飲まれそうになった。