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貴族からの依頼、そして冒険者ギルドへゴー

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「私の家はこの国で王家の次に大きい家の内の一つです」

「それはさっき聞いたな。四大貴族だったか?」

「はい。ですが今私の家、領地が危険にさらされているのです」

 侯爵家って事は家として持ってる戦力も結構な物のはずだ。
 だがその戦力で撃退できる危機ならばそれはこの次女が王都に出て来る理由にならない。

「ここからは私、リオンが説明させていただきます」

「そうね。お願い」

「はい。まず領地に迫る危機についてです。それは軍隊と魔物の大群です。マリテノール家の領地はこの国の一番外側、国境となる場所にございます。まずはそこに向けて魔物の集団が突如大移動を始めました。すると、それに便乗する形で隣国テスタルが軍隊を編成しはじめました」

「何故、魔物が大量に湧いたんだ?」

「恐らくは魔王軍です」

 魔王?
 確か何百年も前に勇者に討伐された災厄だよな。

「魔王は240年前に勇者により討伐されましたが、近年復活しました」

「それは大変だな」

 勇者、僕が一番嫌いな奴だ。
 神の恩恵が人一倍強い者が名乗れる称号を持つ人物。
 運も運命も嫌いだ、見放された物に死ねと宣う神の恩恵なんてシステムは必要無い。
 全員に同じ物を与える、それでも平等とは言えないかもしれないが、見た目だけでも平等を尊重するべきだ。
 僕はそう考える。
 ま、今話している事とは大して関係ないな。
 僕の目的を僕が再確認しただけだ。
 そして、その目的に近づく一歩、名声の確保にはうってつけのイベントだ。

『目的確認。神の恩恵『ソーシャルゲーム』がイベントが発生を確認。クエスト名『マリテノール侯爵家に恩を売り、名声を稼げ』を受諾しました。特別報酬魔石500』

 こんな方法でも魔石を稼げるのか。
 なら、やらない理由は無いな。

「その危機を救う事、僕が請け負った」

「本当ですか!?」

「ああ、僕は約束を意味なく破る奴は嫌いなんだ」

 勿論、利益があるなら僕だって喜んで約束を破るが。

「それでは私共は王都に滞在する腕利きの者達を雇いますので、その間はカガミ様はこの別荘にお止まり下さい。魔物がマリテノール家の領土に侵入するのはペースを考えて7日後です。なので王都を発つのは3日後とさせていただきます」

 はあ、来たばっかなのにたった3日で戻るのかよ。

「まあ、了解した」

「はい明日明後日はどうぞ王都をご堪能下さい」

「そうさせてもらうよ。それと1つ気になるんだがいいか?」

「はい?」

「どうして僕が馬車に乗ってるって気が付いたんだ?」

「それですか……出発する前に言っておこうと思っておりましたがカガミ様、貴方様は透明能力を十分に使えていませんでした。宝の持ち腐れ、隠れるつもりであるのならばもっと他人の視線や感情を読み取る力をつける事をオススメします」

「視線や感情ね。気をつけてみるよ」

 僕は聴くことはもう無いので今度こそ扉を開けた。
 まずは冒険者登録からだな。

 だけど、ギルドに行く道中で気づいた。

「そういやあの付き人、結局俺を見つけた方法言ってなくね? まんまとって事か……年の功って奴かな」

 四十は行ってそうだったし。


 冒険者ギルドは簡単に言えば魔物討伐を生業とする者達が依頼を受ける為に集まる場所である。
 特徴は規則が緩い事と、日給効率がどの職業よりも高くなる可能性がある事だ。
 冒険者にはランクが存在し、それが高くなるほど多くの依頼を受ける事が出来、それは信頼と実力の証明となる。
 規則は緩い理由は脳筋が多いからとでもいえばいいか。
 勿論ここでも神の恩恵とやらは重要で、Sランク冒険者の殆どはこれを持っている。
 中には個人で複数の神の恩恵を持つ者までいるとか。
 自分以外の存在から得た力を私利私欲に使い果たす……好きにはなれそうにない。
 冒険者ギルドはパーティーを組むことを推奨していると聞くが、組む気にはなれないな。

 冒険者ギルドに着くと迷わず職員に声を掛けた。
 建物に入った瞬間に幾つかの視線を感じた。
 さっきの今で視線には敏感になっているのかもしれない。
 リオンの言葉が蘇る、視線と感情を読む力。
 ガチャで出るのを待つ予定だったが、僕自身が神の恩恵に頼り過ぎる訳にも行かない。
 意識はしてみるとしよう。

「冒険者に登録したい」

 短く簡潔に言葉を告げる。

「では、こちらの書類に必要事項を記入してください」

 適当な対応だ。
 まあ、綺麗な対応をされても困るけど。
 名前、性別、年齢、戦闘スタイル、恩恵、魔術適性。
 記入項目は最低限の物のみ。
 これを記入する事で得られるメリットとデメリットを考え、名前、性別、年齢のみを記入した。

「これで頼む」

 書き終わった紙を受付の女に渡す。
 受付は座っていて見上げる体制なはずなのだけど、僕を見下ろすような視線をぶつける。
 読み取れる感情は、見下すような軽侮的感情。
 まあ、15の子供に向ける反応としては模範解答だ。
 周りの冒険者たちが向ける視線と大差ない。
 用紙を渡すまで感情を表に出さなかったことを考えると、恩恵の有無を確認する必要があったのだろう。
 恩恵の欄に何か記入しておけばぶつけられる感情も変わったのかもしれない。
 ま、恩恵などと言う個人以外の要因で人を判断するような人物に僕が好意的な感情を向ける事などないとは思うが。
 正直、こんな愚か者どもになんと思われようが気にするだけ無駄だと結論が出ている。
 そもそも冒険者なんて職種が非効率過ぎる。
 魔物が出るなどと言ってないで、さっさと人間の領土を拡大するべきだ。
 だから文明が何年たってもそう変わらないんだ。
 はあ、これじゃあただの愚痴だな。

 僕は何件かの依頼を受けて王都の外に出た。
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