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第4章『猫耳貴族を復興させる事にした』
エミの一言と勢いの膝枕
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ノアが突然『武舞変幻』を解除して人の形に戻った
ユート達は何かと警戒を強めるが…次の瞬間、予想外の事が起こる
「ほな、私らはこの辺で『ギブアップ』しときます~」
「ユートはん、おおきに~…また遊んでや~」
ユートとパサルは一瞬、何を言っているのか理解出来なかった
だが…確かにエミは…『ギブアップ』と言ったのだ
『え…えっ~と…これ良いんですか…え?ルール上は問題ない?確かにそうですけど~…はい…はい…わかりました…』
『え~…女王様がギブアップを受諾されたので…本戦一回戦目はユート率いるフローラの勝利でございます…』
クゥーちゃんのその言葉を聞いてようやく理解したユートはエミに詰め寄ろうとするが…いつの間にかどこかへ消えてしまっていた
「ふざけるな!!」「戦え~!!」「腰抜けが~!!」等の非難の嵐がコロッセオ内を満たしていた…地下で観戦していたアルカとゼロも鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている
パサルは呆気に取られて覚束無い足取りで地下の控え室に戻っていった
「……っ!!!」
ユートは言葉にならない声を出してコロッセオの地面の砂を蹴り上げる…コロッセオ内には砂を蹴り上げた時に出るような音ではなく…まるで地雷が爆発した時のような爆音が鳴り響いた
地下の控え室に戻ったユートはまだ苛立ちが収まっていなかった
アルカは試合に勝ったのだから良い事じゃないかと慰めに似た言葉を贈るが…ユートにとっては試合の結果はどうでも良いのだ
「…確かに…ゲームとしては勝ったんだろうが…」
「だがな…俺は一太刀浴びせられたのにも関わらず…何もやりかえせなかったんだ…その時点で俺は試合には勝っても…勝負には負けたんだ」
ユートはそう言って立ち上がり、また腹いせに控え室の壁に大きな穴を開ける…だが勿論その跡は『錬成士』を使って直した
「…最後に言ってた事も気にかかるわね」
パサルはそう言って立ち上がり悩んでいる姿勢をとる
「『頃合い』…それって単純に降参するタイミングの事なのかしら…私的にはそれだけじゃない様な気がするのよねぇ…」
パサルのその言葉にユートも一理あると思い二人で様々な考察をするが…所詮は(かもしれない)という話でしかない為、スグに止めることにした
「…こうなると…もう勝ちは確定だろうな」
「さっき他の参加者達のステータスを一通り『鑑定眼』で確認したが…正直に言って役不足も良いところだ…これは不戦勝と言っても過言では無いレベルでな…」
ユートはそう言ってベンチに座りアルカを手招きで呼んだ後、少し感覚を開けて隣に座らせ…横たわり姿勢を楽にする
「だが…だからと言って手を抜く事は断じてしない…圧倒的に、そして徹底的に勝利を掴むぞ!優勝まで後一勝だ!!!」
ユートはそう言って目を見開きパサル達に喝を入れる
だが…控え室の中にはいたたまれない空気が流れ…とてもでは無いがユートの言葉がまともに耳に入っている者はいなかった
その理由はその場にいる全員が言わぬ様に全力で口を閉じていたが…ユート以外の誰もが一人の女の性格を良く理解していなかった
「ねぇ、なんでユートちゃんはアルカちゃんの太股に頭を乗せて寝そべっているの?それって世間で言う膝枕ってヤツよね?ユートちゃんてば大胆ね~…」
パサルの存在を忘れていた…みんなが嫌がる様な事を率先して行い…みんなが作る空気をぶち壊す行為を率先して行う…パサルという女の事を全員が忘れていたのであった
「それは…あれだよ…意識してやるのは恥ずかしいから場の勢いに乗ってやれば恥ずかしくないかなと思ってだな…全員がそれを理解して黙ってくれていたのに…パサル…お前って奴は…」
ユートがそう言うと、パサルは口元を釣り上げてニヤニヤと笑いだし、次のアナウンスが入るまでユートをジー…っと見つめ続けたという…
ユート達は何かと警戒を強めるが…次の瞬間、予想外の事が起こる
「ほな、私らはこの辺で『ギブアップ』しときます~」
「ユートはん、おおきに~…また遊んでや~」
ユートとパサルは一瞬、何を言っているのか理解出来なかった
だが…確かにエミは…『ギブアップ』と言ったのだ
『え…えっ~と…これ良いんですか…え?ルール上は問題ない?確かにそうですけど~…はい…はい…わかりました…』
『え~…女王様がギブアップを受諾されたので…本戦一回戦目はユート率いるフローラの勝利でございます…』
クゥーちゃんのその言葉を聞いてようやく理解したユートはエミに詰め寄ろうとするが…いつの間にかどこかへ消えてしまっていた
「ふざけるな!!」「戦え~!!」「腰抜けが~!!」等の非難の嵐がコロッセオ内を満たしていた…地下で観戦していたアルカとゼロも鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている
パサルは呆気に取られて覚束無い足取りで地下の控え室に戻っていった
「……っ!!!」
ユートは言葉にならない声を出してコロッセオの地面の砂を蹴り上げる…コロッセオ内には砂を蹴り上げた時に出るような音ではなく…まるで地雷が爆発した時のような爆音が鳴り響いた
地下の控え室に戻ったユートはまだ苛立ちが収まっていなかった
アルカは試合に勝ったのだから良い事じゃないかと慰めに似た言葉を贈るが…ユートにとっては試合の結果はどうでも良いのだ
「…確かに…ゲームとしては勝ったんだろうが…」
「だがな…俺は一太刀浴びせられたのにも関わらず…何もやりかえせなかったんだ…その時点で俺は試合には勝っても…勝負には負けたんだ」
ユートはそう言って立ち上がり、また腹いせに控え室の壁に大きな穴を開ける…だが勿論その跡は『錬成士』を使って直した
「…最後に言ってた事も気にかかるわね」
パサルはそう言って立ち上がり悩んでいる姿勢をとる
「『頃合い』…それって単純に降参するタイミングの事なのかしら…私的にはそれだけじゃない様な気がするのよねぇ…」
パサルのその言葉にユートも一理あると思い二人で様々な考察をするが…所詮は(かもしれない)という話でしかない為、スグに止めることにした
「…こうなると…もう勝ちは確定だろうな」
「さっき他の参加者達のステータスを一通り『鑑定眼』で確認したが…正直に言って役不足も良いところだ…これは不戦勝と言っても過言では無いレベルでな…」
ユートはそう言ってベンチに座りアルカを手招きで呼んだ後、少し感覚を開けて隣に座らせ…横たわり姿勢を楽にする
「だが…だからと言って手を抜く事は断じてしない…圧倒的に、そして徹底的に勝利を掴むぞ!優勝まで後一勝だ!!!」
ユートはそう言って目を見開きパサル達に喝を入れる
だが…控え室の中にはいたたまれない空気が流れ…とてもでは無いがユートの言葉がまともに耳に入っている者はいなかった
その理由はその場にいる全員が言わぬ様に全力で口を閉じていたが…ユート以外の誰もが一人の女の性格を良く理解していなかった
「ねぇ、なんでユートちゃんはアルカちゃんの太股に頭を乗せて寝そべっているの?それって世間で言う膝枕ってヤツよね?ユートちゃんてば大胆ね~…」
パサルの存在を忘れていた…みんなが嫌がる様な事を率先して行い…みんなが作る空気をぶち壊す行為を率先して行う…パサルという女の事を全員が忘れていたのであった
「それは…あれだよ…意識してやるのは恥ずかしいから場の勢いに乗ってやれば恥ずかしくないかなと思ってだな…全員がそれを理解して黙ってくれていたのに…パサル…お前って奴は…」
ユートがそう言うと、パサルは口元を釣り上げてニヤニヤと笑いだし、次のアナウンスが入るまでユートをジー…っと見つめ続けたという…
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