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第3章『双子の少女を救出する事にした』

二人きりのベッドと急な任命

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「ユート君…ユート君…」
レイカは昔の修行の日々を思い返していた
初めてあった時から…終わりの時までの全てを思い返していた

この世界にやって来て数年…色々な冒険をしてきた…
そんな中でも…ユートの事を忘れた日は一度もなかった
そんな時にユートとまた再開した…シチュエーションは良いものとは思えなかったがレイカの人生にまた意味ができたかのように思える程晴れやかになった

だが…始まりがあれば終わりがある
今度は『ユートの死』によって終わりを迎えた
その原因が目の前にいる…目の前でユートが死んだのに…沖田そいつは目の前で平然と生きている
そんな事が何よりも許せなかった…だからレイカは…全身全霊を賭けて沖田そいつを殺そうとした

そしたら誰かに止められ…その後に何か…何かが起きたのだがそれを思い出そうとした時に目を覚ました

「夢…もうユート君はいないのに…なんて夢見てるんだろ…」
レイカは未練タラタラな自分に嫌気が差しながらも目を開くと…目の前には予想打にしない光景が飛び込んできた

目の前に…死んだはずのユートの顔があったのだ
「なっ!…ユートく…」

レイカはつい叫びそうになったがその衝動を必死に押し殺し目の前にいるユートの顔をまじまじと見つめる
するとレイカはとある事が頭に浮かんだ

(男女がベッドで二人きり…これはチャンスね…)
レイカは静かに恐る恐るユートの顔に近づいていく…ゆっくりと…まるで時間が止まっているかのように感じる程に…

ユートの唇まで後数cmという所まで迫った時…ユートは突然唸りだし動き出す
レイカは当然距離を置こうとするがユートがレイカの腰に手を回し遠くへ行けなくなった

(ユート君…大胆だよぉ…)
レイカの顔が赤く染まったのは言うまでもないだろう
そんな時…ユートはさらにレイカの方へ動きそのままレイカの胸へと飛び込む

レイカはユートが起きない程度に慌てふためくが…ユートはとある寝言を呟いた

「レイカ…もう俺から離れないでくれよ…」
ユートのその呟きを聞いた途端…レイカは顔から湯気が吹き出しまた気絶してしまった…



次にレイカが目を覚ました時には目の前にユートの姿は無かった
「……私ったらなんて夢を…恥ずかしい」

レイカは起き上がり辺りを見渡すがそこには誰もいなかった
そんな時、隣の部屋から話し声が聞こえてくる
レイカはそっと足音を立てないように扉に近づき聞き耳を立てる

「……だから……お前も…」
「そっ……だ…俺には……ある」
扉越しに聞こえてくる声は途切れ途切れで細かな内容がわからなかった

もっと鮮明に聞くためにさらに耳を扉に押し当て聞こうとすると…扉が開きそこにいた人達の視線が一心に集まった

「いや…あの…これは…その…」
レイカは何か不味い事をしたと思い必死に言い訳を言おうとした時に…一人が立ち上がりレイカに手を差し伸べる

「よぉレイカ、やっと起きたか…気持ちよさそうに寝てたから起こすに起こせなくてな…何か良い夢でも見てたのか?」

その男の正体はユートであった
心地よいその声にレイカは酔いしれ何度でもリピートして聞きたい程の声であった

「そんな女の事はどうでも良い!」
ユートと対談していた女がテーブルを強く叩きながら立ち上がる

「お前しか頼める奴がいないんだ!頼む旦那様!魔族の大軍を退けるのを手伝ってくれ!」
梨華はユートに歩み寄り迫りながら頼んでるとは思えない態度でとんでもない事を頼む

「だから何度も言ってるようにな…別に協力するのは構わないが報酬としてと何度も言っているだろうが」

「だからそんな事できる訳がない!俺はこの国の巫女として国を支える義務がある!」
二人の論争はまさに水掛け論となって決着が付きそうになかった

「お兄さんはそもそも何で梨華お姉ちゃんが欲しいの?報酬なら他でも良いんじゃない?」
No.02は出されたお茶を啜りながら冷静にユートに尋ねる

「ん?だってもう梨華は俺の嫁なんだろ?」
「俺は魔族を退けた後は勿論帰る…その時に嫁である梨華をここに置いていく訳にはいかないだろ?それが嫌なら離婚するか?」

「離婚…それは嫌だ!巫女の血筋が廃れてしまう!」
先程からこの調子で互いの主張を取り下げない為かれこれ二時間あまり討論を繰り広げている

「《提案》ならばユートの種子を風習通り残した後にユートはこの国を出ていけば良いのでは?」
No.01のその意見に梨華は何故か反対する

「ダメだ!旦那様には他にも伴侶がいる…ならば嫁として一番になりたいのだ!それに…今後旦那様の様な男が来るとは限らない…今までとは状況が違うのだ!それを解っていない蘭華姉ぇはそこで大福を食べていろ!」
梨華はNo.01の意見を完全否定しテーブルの上に置いてある大福の山を食べているように促す

「…じゃあいっその事…巫女を辞めて誰かに国を納めるのを任せるとか…」
レイカの少し考えた後に出たその案にユート達は納得した

「それは良いな、そうすれば互いの意見を尊重できるしな…良し梨華!誰かに王位を継承しろ!」

「無理だ!それに継承するにしてもそれに見合う者はこの国には…」
梨華がそこまで言った時にまた扉が開き中に土方歳三が入ってくる

「梨華様、会議は一旦中断して食事にしては?…この空気はなんでしょう?大事な所でしたか?」
土方は部屋にいるユート達の視線を一心に浴びる
急に視線を集めた土方も流石に動揺し始め退室しようとすると梨華に呼び止められる

「…強さも申し分ない…経済力もそこそこ…度胸もあるしカリスマ性も…うん…」
梨華は土方の肩に手を置き一言こう告げた

「土方歳三、汝を新たなパルテノン皇国の殿の資格を継承する…精進しなさい」
ユート達はそれを聞いて万雷の拍手を土方に贈る

「え…えーっと…はい?」
土方は急な任命にもはや思考が追いついてはいなかった
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