上 下
92 / 241
第3章『双子の少女を救出する事にした』

和食とカイトの迎え

しおりを挟む
翌朝
久しぶりに朝から体を動かす事が出来る

「おはよう主様、何故朝から準備体操などしているのじゃ?」
クローノは大あくびをしながら寝ぼけ眼を擦りながら目覚める

「いや…朝起きてすぐに体が動かせる実感を噛み締めたくてな」
それから数分の間、俺は手足をばたつかせたりその場で跳躍する

「ユート殿朝ごはんが出来ているぞ…朝から体を動かすとは珍しいな」
イリーナが俺を呼びに来た
その手には何故かフライパンを持っている

「これか?ユート殿がまだ寝ていたらこれで起こそうと思ってな」
「だがドーラ殿が来ていたらハンマーで起こすと言っていたぞ?」
おちおち寝てる暇もねぇ!


「はぁ~…やっぱりイリーナの紅茶は上手いなぁ…」
シオンと一緒に飲んだお茶も不味くは無かったんだろうが…流石に何時間も飲み続けたら飽きと吐き気により細かい味など覚えている訳ない

「ユート君、この娘のごはんは中々上手いじゃないか!良いお嫁さんを貰ったな」
ソプラノはご飯粒を飛び散らせながら俺に話し掛ける

「なんでソプラノがここにいるんだ…」
「いや…そんな事よりも…これは見る限り俺が知る和食じゃないか」
食卓に並んでいるのが日本の食卓の定番と言えるだろう『白米』『味噌汁』『焼き鮭』…いったいどういう事だ?

「あぁ、これはシオン殿が「ユート君が前まで食べていた物だからきっと驚くよ」と言って置いていったんだ」
あいつ…まぁ久しぶりの和食だ…ゆっくり堪能しよう

「あ!そう言えば」
アルカは食事を食べる手を止め俺に一通の封筒を持ってくる

「アルカ…この手紙はなんだ?」
まだ一口も食べていないんだが…

「朝に私とドーラで辺りの探索をして帰ってきた時に扉の前にユースティア王国騎士団の鎧を着た男の人がユートに渡してくれって預かったのですが」
王国騎士団の奴が持ってきた手紙か…

封筒を開けると一通の手紙が入っていた

『冒険者ユートに★Ⅸ黒龍ブラックドラゴンの討伐を命ず』

「遂に来ちゃったか…はぁ…もっとゆっくりしていたかったな」
仕方ない…これ食べたら行くか…

「あれイリーナ、俺の分は?」
今さっきまで俺の目の前にあったご飯は?

「あ…ユート殿…それが…」
イリーナは申し訳なさそうにソプラノを指さす
その先でソプラノは俺の分を美味しそうに頬張っていた

「早い者勝ちだぜユート君」
ソプラノは勝ち誇った顔で俺の顔を見る
ぶっ飛ばしてぇ…

「ほらほら、早く行ってきなよ外で迎えの奴が待ってるぜ?」
窓を見ると外には鎧を着た人達が待っていた

「はぁ…しょうがない…みんな、またしばらく行ってくるから留守番頼んだぞ」
俺は館を出る、すると俺は鎧の奴らに取り囲まれる

「待ってたよユートくん、さぁ行こっか」 
カイトも来ていたのか…随分と暇なんだな騎士団長様は

「暇なんかじゃないよ、僕も王様に強制的に駆り出されたのさ」
カイトの顔が引きつっている
こいつも大変だな

「ユート!気をつけるのですよーー!!」
アルカが二階から俺に飛び込んでくる
俺は服を錬成士アルケミストでモコモコの綿に変えてアルカを受け止める

「アルカ…無茶しすぎだ」
まぁ俺を信頼しているからこんな事が出来るんだろうな
嬉しい様な悲しい様な…

「あっ、ドーラとイリーナも来ますよ」
アルカは上を見上げ手を振る
すると二人が落下してくる

「こっちの方が早いと思ったっす!」
「ユート殿なら受け止めてくれると信じたからだぞ」
二人は誇らしげな顔をしている

「お・ま・え・ら~~!!」
俺は両手の骨をボキボキと鳴らす

はぁ…まったく…仕方の無い奴らだ
「行ってくるよ」
俺は三人を降ろしカイトの馬車に乗り込んだ



「そう言えば何でカイトが迎えに来たんだ?」
俺とカイトは馬車に揺られながら王城へ向かっている

「ユートくんなら逃げ出しかねないからって王様が寄越したんだよ」
カイトの額に青筋が入る
ごめん…本当にごめん…

「まぁでもユートくんが★Ⅸのクエストに行くって聞いた時は何考えてるんだあいつって思ったけど…ちゃんと理由があったんだね」
カイトは馬車の窓から外を見渡す

「俺だって行かなくて住むならそれに越した事は無いが仕方ないだろ?そうやって言っちゃったんだからさ…あ~あ…他の条件にしとけば良かったぜ」
二人でそんな会話を続けているとユースティアの国門が見えてきた

「そろそろ着きそうだね…御者さん、もっとスピード早めてくれ」

「了解ですカイト様!」
御者はカイトに命令されるや全速力で街の中を突っ切っていく

「おいカイト…街の中でこのスピードは危険じゃないか?」
普通に50kmは超えてるが…

案の定、道の角から子どもが飛び出してきた
「おい!子どもを轢き殺すつもりか!」
しかしカイトは口にしたのは

「関係ない、行け」
どうしたんだカイト…まるで某吸血鬼みたいじゃあないか!このままだとあの子が死ぬぞ

「俺が何とかしろってかよ!」
俺は窓から身を乗り出し子どもに向かって魔法を唱える

『ー空気の鎧エアバックー』
風属性魔法
使用者や対象者に空気で作った鎧をまとわせる
その強度は弾丸さえも跳ね返す

「その魔法だとこの馬車が弾き飛ばされるじゃないか」
カイトがそう言い指を弾くと空気の鎧エアバックが四方に散っていった

「何やってんだカイト!」
子どもに衝突する!

………あれ?ぶつかった感触無いぞ?

俺は窓から後ろを見ると子どもは元気にボールを追いかけている

「あははは…いや~ユートくんがテンパってる所を見れるなんてレアだね」
カイトは腹を抱えて笑っている

「いやぁあはは…この馬車はね、誰かがこの馬車の中に入ってる間は生物をすり抜けるんだ」
「まぁ正確に言えば生物がこの世界に入ると三次元から四次元に移動してそれから…」
カイトの長話が始まりそうな所で城が見えてきた

「あ…あー!着いたぞ!いやー残念だなぁもっと聞きたかったのになぁ!」
俺は話を逸らす事にした

「そうか…残念だ、それじゃあこの話はまた後で」
カイトがそう言うとちょうど馬車の扉が開く

「それじゃあ行くか…ぱぱっとこんなディオニスとの話を終わらせてぱぱっとクエストをクリアさせるか」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

無能を装って廃嫡された最強賢者は新生活を満喫したい!

えながゆうき
ファンタジー
 五歳のときに妖精と出会った少年は、彼女から自分の置かれている立場が危ういことを告げられた。  このままではお母様と同じように殺されてしまう。  自分の行く末に絶望した少年に、妖精は一つの策を授けた。それは少年が持っている「子爵家の嫡男」という立場を捨てること。  その日から、少年はひそかに妖精から魔法を教えてもらいながら無能者を演じ続けた。  それから十年後、予定通りに廃嫡された少年は自分の夢に向かって歩き出す。  膨大な魔力を内包する少年は、妖精に教えてもらった、古い時代の魔法を武器に冒険者として生計を立てることにした。  だがしかし、魔法の知識はあっても、一般常識については乏しい二人。やや常識外れな魔法を使いながらも、周囲の人たちの支えによって名を上げていく。  そして彼らは「かつてこの世界で起こった危機」について知ることになる。それが少年の夢につながっているとは知らずに……。

異世界でのんきに冒険始めました!

おむす微
ファンタジー
色々とこじらせた、平凡な三十路を過ぎたオッサンの主人公が(専門知識とか無いです)異世界のお転婆?女神様に拉致されてしまい……勘違いしたあげく何とか頼み込んで異世界に…?。  基本お気楽で、欲望全快?でお届けする。異世界でお気楽ライフ始めるコメディー風のお話しを書いてみます(あくまで、"風"なので期待しないで気軽に読んでネ!)一応15R にしときます。誤字多々ありますが初めてで、学も無いためご勘弁下さい。  ただその場の勢いで妄想を書き込めるだけ詰め込みますので完全にご都合主義でつじつまがとか気にしたら敗けです。チートはあるけど、主人公は一般人になりすましている(つもり)なので、人前で殆んど無双とかしません!思慮が足りないと言うか色々と垂れ流して、バレバレですが気にしません。徐々にハーレムを増やしつつお気楽な冒険を楽しんで行くゆる~い話です。それでも宜しければ暇潰しにどうぞ。

【TS転生勇者のやり直し】『イデアの黙示録』~魔王を倒せなかったので2度目の人生はすべての選択肢を「逆」に生きて絶対に勇者にはなりません!~

夕姫
ファンタジー
【絶対に『勇者』にならないし、もう『魔王』とは戦わないんだから!】 かつて世界を救うために立ち上がった1人の男。名前はエルク=レヴェントン。勇者だ。  エルクは世界で唯一勇者の試練を乗り越え、レベルも最大の100。つまり人類史上最強の存在だったが魔王の力は強大だった。どうせ死ぬのなら最後に一矢報いてやりたい。その思いから最難関のダンジョンの遺物のアイテムを使う。  すると目の前にいた魔王は消え、そこには1人の女神が。 「ようこそいらっしゃいました私は女神リディアです」  女神リディアの話しなら『もう一度人生をやり直す』ことが出来ると言う。  そんなエルクは思う。『魔王を倒して世界を平和にする』ことがこんなに辛いなら、次の人生はすべての選択肢を逆に生き、このバッドエンドのフラグをすべて回避して人生を楽しむ。もう魔王とは戦いたくない!と  そしてエルクに最初の選択肢が告げられる…… 「性別を選んでください」  と。  しかしこの転生にはある秘密があって……  この物語は『魔王と戦う』『勇者になる』フラグをへし折りながら第2の人生を生き抜く転生ストーリーです。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

処理中です...