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グランドタートル
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俺がモンスター狩りに没頭していたある日
「リュートさん、おはようございます」
久しぶりに朱音が声をかけて来た。
「ああ、何か用か?」
「はい、実はグランドタートルって言うモンスターが暴れているみたいで、他に誰もいないので私が行こうと思ってるんです。でも私だけだと不安なのでリュートさんにも一緒に行って欲しいと思いまして」
「何で俺が一緒に行くんだよ」
「街の人達に迷惑がかかっているみたいですし、初めて聞くモンスターなのでリュートさんと一緒に行きたいと思って」
「ちょっと意味がわからないな」
「ですから、リュートさんに手伝って欲しいんです」
「…………」
大分ここでの生活にも慣れたのか以前よりも随分押しが強くなっている気がする。
「お前、友達とかいないのか?」
「この世界でですか?」
「ああ」
「え~っとリュートさんですかね」
「俺は、お前の友達じゃ無い」
「酷いです」
こいつと一緒にいるとペースを乱されてしまう。
「勇者の仲間はいないのか?」
「いませんね」
「勇者同士は仲良く無いのか?」
「はい、もともと全くの他人ですから。たまたまこの世界に喚んでこられただけなので、特に仲の良い人はいません」
てっきり勇者同士は、勇者連合的なグループの集まりなのかと思っていたが、そうでは無いのか?
だから、勇者が減っても誰も騒ぐ事がないのだろうか?
「じゃあ、早速行きましょう」
「俺は行くとは言ってないぞ」
俺は了承していないのに、何故か朱音に無理やり連れて行かれる形でグランドタートルの討伐に同行する事になってしまった。
目的地に向けて二人で進んで行くと巨大な亀が街道沿い迄出てきており、途中にあった建物はなぎ倒されている。
「あれか? でかいな」
「亀というより怪獣ですね」
「あれ、どうやって倒すつもりだ?」
「魔法をぶつけてみるしかないですよね」
「そうか、じゃあがんばれ」
「リュートさんも手伝ってくださいね。とりあえず私がやってみますね。いきますよ『ファイアブリッド』」
以前見た炎の塊を打ち出す魔法だが、明らかに前より威力が増している。
大きな火球がグランドタートルに命中して燃え上がり、巨大な亀が暴れ始めたが、甲羅の一部が黒く焼け焦げているものの防ぎ切られたようだ。
。
「リュートさん、お願いします」
「は~、相変わらずだな『アイスジャベリン』」
氷の刃が甲羅に突き刺さるが、まだ動きを止める様子はない。
「硬いな……」
「リュートさんも魔法使えるじゃないですか」
「使えないとは一言も言ってないと思うが」
「そうですか、わかりました。倒せるまでいきますよ」
朱音はそう言いながら再び『ファイアブリッド』を放つ。
俺も念のために一緒に『アイスジャベリン』を発動しておく。
動きが鈍く的が大きいので、数度の発動を繰り返すと流石のグランドタートルも動きを止めた。
「おい、これどうするつもりだ?」
「どうするとは?」
「こんな奴の魔石をどうやって取り出すつもりなのかと聞いている」
「う~ん、私には無理ですね」
「…………」
「リュートさん、おはようございます」
久しぶりに朱音が声をかけて来た。
「ああ、何か用か?」
「はい、実はグランドタートルって言うモンスターが暴れているみたいで、他に誰もいないので私が行こうと思ってるんです。でも私だけだと不安なのでリュートさんにも一緒に行って欲しいと思いまして」
「何で俺が一緒に行くんだよ」
「街の人達に迷惑がかかっているみたいですし、初めて聞くモンスターなのでリュートさんと一緒に行きたいと思って」
「ちょっと意味がわからないな」
「ですから、リュートさんに手伝って欲しいんです」
「…………」
大分ここでの生活にも慣れたのか以前よりも随分押しが強くなっている気がする。
「お前、友達とかいないのか?」
「この世界でですか?」
「ああ」
「え~っとリュートさんですかね」
「俺は、お前の友達じゃ無い」
「酷いです」
こいつと一緒にいるとペースを乱されてしまう。
「勇者の仲間はいないのか?」
「いませんね」
「勇者同士は仲良く無いのか?」
「はい、もともと全くの他人ですから。たまたまこの世界に喚んでこられただけなので、特に仲の良い人はいません」
てっきり勇者同士は、勇者連合的なグループの集まりなのかと思っていたが、そうでは無いのか?
だから、勇者が減っても誰も騒ぐ事がないのだろうか?
「じゃあ、早速行きましょう」
「俺は行くとは言ってないぞ」
俺は了承していないのに、何故か朱音に無理やり連れて行かれる形でグランドタートルの討伐に同行する事になってしまった。
目的地に向けて二人で進んで行くと巨大な亀が街道沿い迄出てきており、途中にあった建物はなぎ倒されている。
「あれか? でかいな」
「亀というより怪獣ですね」
「あれ、どうやって倒すつもりだ?」
「魔法をぶつけてみるしかないですよね」
「そうか、じゃあがんばれ」
「リュートさんも手伝ってくださいね。とりあえず私がやってみますね。いきますよ『ファイアブリッド』」
以前見た炎の塊を打ち出す魔法だが、明らかに前より威力が増している。
大きな火球がグランドタートルに命中して燃え上がり、巨大な亀が暴れ始めたが、甲羅の一部が黒く焼け焦げているものの防ぎ切られたようだ。
。
「リュートさん、お願いします」
「は~、相変わらずだな『アイスジャベリン』」
氷の刃が甲羅に突き刺さるが、まだ動きを止める様子はない。
「硬いな……」
「リュートさんも魔法使えるじゃないですか」
「使えないとは一言も言ってないと思うが」
「そうですか、わかりました。倒せるまでいきますよ」
朱音はそう言いながら再び『ファイアブリッド』を放つ。
俺も念のために一緒に『アイスジャベリン』を発動しておく。
動きが鈍く的が大きいので、数度の発動を繰り返すと流石のグランドタートルも動きを止めた。
「おい、これどうするつもりだ?」
「どうするとは?」
「こんな奴の魔石をどうやって取り出すつもりなのかと聞いている」
「う~ん、私には無理ですね」
「…………」
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