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新学期
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昨日の夜は少しだけ前向きな気持ちになっていたが、学校へ足を踏み入れた途端以前の自分に戻ってしまったような錯覚を覚える。
実際には以前の自分に戻ったというよりも俺自身がそれほど変わっていないだけなのかもしれない。
ただ葵と並んで一緒に登校している事は2学期の当初とは明確に違う。
葵と別れてからクラスまで行き自分の席に座るが、やはりいつもと変わらない。
誰も俺に挨拶してくるわけでも無いし、俺も誰かに挨拶するわけでも無いので、座って始業時間を待つがまだ時間があるのでボ~ッと外の風景を眺めていると横から声が聞こえて来た。
「おぉ……」
俺にかけられた声では無いだろうと思い特に気にもかけなかったが、もう一度声がする。
「おぅ……」
二度目の声に反応して声の方を向くとそこには本田が立っていた。
「え? 俺?」
「あぁ、朝の挨拶だ」
「……挨拶。ああ、挨拶か……おぉ」
「おぉ。この前はありがとうな…… 」
「あ、うん」
「若葉さんに言われて考えてみたけど、俺最悪だったわ。山沖にも助けてもらってあの態度は無かった。すまなかったな」
「………別に気にして無いから」
「じゃあ、それだけだ」
「うん」
驚いた。あの本田が俺に謝罪とお礼を言って来るなんて想像もしていなかった。
突然の事に驚いてしまい微妙な対応になってしまったが、当然悪い気はしなかった。
今日は三学期初日なので午前中で下校となり、教室に葵が迎えに来てくれて帰ろうとしていると教室に来客があった。
「ああ、見つけた。二人とも三組だったか」
「相谷先輩に東山先輩」
「先日は世話になったな。少し早すぎるかとも思ったけど学校で挨拶しておこうと思って早速来てみたよ」
「こちらこそ先日はありがとうございました」
「二人とも同じクラスなんだね」
「いえ、俺は三組なんですけど葵は隣のクラスですよ」
「そうです。私は二組なんですけど、凛くんと一緒に帰るのでお迎えに来たところです」
「なるほど。そういう事か。確かに君達はお似合いだね」
「ありがとうございます。パートナーですから」
葵だけでは無く、どう見ても上級生である二人がやって来て俺と親しげに話しているので仕方の無いことではあるが、クラスメイトの視線を感じる。
「よかったらこの後一緒にランチでもどうかな」
「ランチですか。葵どうする?」
「私は凛くんが良ければ構いませんが」
「じゃあご一緒させてもらいます」
「そうか、それはよかった。じゃあ僕達がよく行く店があるんだけど、そこでもいいかな」
「はい、お願いします」
そこから、二人に連れられてお洒落なカフェみたいなところに入ってランチをとる事になった。
もちろん俺はそんなお店で食事をするのは初めてだったので緊張してしまい食べ方が少しぎこちなくなってしまったが、ランチはおいしかった。
二人とも打ち解けて結構話す事が出来たと思う。
朝登校する時は何も変わっていないと思ったけど、やっぱり俺の周りは少し変化して来ているようだ。
実際には以前の自分に戻ったというよりも俺自身がそれほど変わっていないだけなのかもしれない。
ただ葵と並んで一緒に登校している事は2学期の当初とは明確に違う。
葵と別れてからクラスまで行き自分の席に座るが、やはりいつもと変わらない。
誰も俺に挨拶してくるわけでも無いし、俺も誰かに挨拶するわけでも無いので、座って始業時間を待つがまだ時間があるのでボ~ッと外の風景を眺めていると横から声が聞こえて来た。
「おぉ……」
俺にかけられた声では無いだろうと思い特に気にもかけなかったが、もう一度声がする。
「おぅ……」
二度目の声に反応して声の方を向くとそこには本田が立っていた。
「え? 俺?」
「あぁ、朝の挨拶だ」
「……挨拶。ああ、挨拶か……おぉ」
「おぉ。この前はありがとうな…… 」
「あ、うん」
「若葉さんに言われて考えてみたけど、俺最悪だったわ。山沖にも助けてもらってあの態度は無かった。すまなかったな」
「………別に気にして無いから」
「じゃあ、それだけだ」
「うん」
驚いた。あの本田が俺に謝罪とお礼を言って来るなんて想像もしていなかった。
突然の事に驚いてしまい微妙な対応になってしまったが、当然悪い気はしなかった。
今日は三学期初日なので午前中で下校となり、教室に葵が迎えに来てくれて帰ろうとしていると教室に来客があった。
「ああ、見つけた。二人とも三組だったか」
「相谷先輩に東山先輩」
「先日は世話になったな。少し早すぎるかとも思ったけど学校で挨拶しておこうと思って早速来てみたよ」
「こちらこそ先日はありがとうございました」
「二人とも同じクラスなんだね」
「いえ、俺は三組なんですけど葵は隣のクラスですよ」
「そうです。私は二組なんですけど、凛くんと一緒に帰るのでお迎えに来たところです」
「なるほど。そういう事か。確かに君達はお似合いだね」
「ありがとうございます。パートナーですから」
葵だけでは無く、どう見ても上級生である二人がやって来て俺と親しげに話しているので仕方の無いことではあるが、クラスメイトの視線を感じる。
「よかったらこの後一緒にランチでもどうかな」
「ランチですか。葵どうする?」
「私は凛くんが良ければ構いませんが」
「じゃあご一緒させてもらいます」
「そうか、それはよかった。じゃあ僕達がよく行く店があるんだけど、そこでもいいかな」
「はい、お願いします」
そこから、二人に連れられてお洒落なカフェみたいなところに入ってランチをとる事になった。
もちろん俺はそんなお店で食事をするのは初めてだったので緊張してしまい食べ方が少しぎこちなくなってしまったが、ランチはおいしかった。
二人とも打ち解けて結構話す事が出来たと思う。
朝登校する時は何も変わっていないと思ったけど、やっぱり俺の周りは少し変化して来ているようだ。
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