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12月24日のお誘い
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今思いつくのは、いつも俺のサポートをしてくれる葵に何か御礼をしたいという事ぐらいだ。
葵は何か欲しい物とかあるんだろうか?
ただEランクの葵は俺よりも遥かに収入があるはずなので、俺に買えるもので欲しいものなど無いかもしれないなと考えながら家路についた。
部屋の前について葵と別れる時に
「あ、あの……」
「うん、おやすみ」
「い、いえ、おやすみなさい。そ、それもですけど、凜くん、今週の金曜日ですが空いてますか?」
「えっ? 別にいつも通り空いてるけど、終業式の日だよね」
「そ、そうですよ。それじゃあ、夕方からは予定を空けておいてくださいね」
「うん。まあ特に何もないから、空けとくっていうか空いてる」
「わかりました。じゃあご飯も張り切って作るので楽しみにしておいて下さいね」
終業式の後か……
葵の感じがいつもと違う気がするけど何かあったかな。
まあ、いいか。そう思い、特に確認もせず葵と別れて自分の部屋に戻ったが、よくよく考えてみると毎日、晩ご飯を作りに来てくれているのに、わざわざ今週の金曜日に約束してきたのは何か意味があるんじゃないかと思い金曜日である十二月二十四日を端末のカレンダーを見てみたがどうやら特に祝日とかではないらしい。
この日は特に理由が分からずにそのまま寝てしまったが、次の日になって理由が分かった。十二月二十四日金曜日はクリスマスイブだった。
学園の教室でクラスメイトがクリスマスプレゼントがどうとか、誰を誘うとかというのが聞こえて来てようやく気がつくことが出来た。
今まで俺にとって十二月二十四日は普通の日、終業式の日でしか無かったので完全に頭から抜けていた。
俺が十二月二十四日にプレゼントをもらったりケーキを食べたりしたのは多分小学校二年生の時が最後だと思う。
それ以降は特に行事らしい事も無かったので俺の中でクリスマスというイベントが完全に抜け落ちてしまっていた。
ただ、俺にもこれが一般的では無いというのはわかっているので、クラスメイトの話を聞いて葵にとっては十ニ月二十四日がクリスマスイブだから約束してきたのだと言う事はすぐに理解出来た。
クリスマスといえばケーキとプレゼントだよな。
俺自身は、もう何年も縁の無い事だったが、今年は葵がいて、しかも晩ご飯の約束をしている。
流石に鈍感な俺でもここで何も用意しないという選択肢はない。
これは今までお世話になった分をお返しする絶好の機会だが、当然女の子にプレゼントなど買った事は無い上に学校以外は葵とほとんど一緒にいるので、一人で買いに行く時間が無い。
こういうのはサプライズがいいのかもしれないが、いろいろ考えてみた結果、こういった事への知識が皆無の俺が無理して頑張ってみても大変な事になりそうな気がするので葵自身に選んでもらおうと思う。
学校の授業が終わるといつもの様に葵が教室までやって来てくれた。
「凛くん。帰りましょう」
不思議なもので葵が教室に来るのも一緒に帰るのも、俺の中で段々と当たり前になってきている。
あれ程気になっていた周囲の視線もほとんど気にならなくなって来ている。
周りの視線が無くなった訳では無いと思うが、葵と話している方が楽しくて周りに意識がいかなくなった。
2人で並んで帰り道を歩きながら今日の学校での出来事を話すのが、日課になっているが、基本俺は何も無いのでいつも葵の話を俺が聞いている事がほとんどだ。
葵は何か欲しい物とかあるんだろうか?
ただEランクの葵は俺よりも遥かに収入があるはずなので、俺に買えるもので欲しいものなど無いかもしれないなと考えながら家路についた。
部屋の前について葵と別れる時に
「あ、あの……」
「うん、おやすみ」
「い、いえ、おやすみなさい。そ、それもですけど、凜くん、今週の金曜日ですが空いてますか?」
「えっ? 別にいつも通り空いてるけど、終業式の日だよね」
「そ、そうですよ。それじゃあ、夕方からは予定を空けておいてくださいね」
「うん。まあ特に何もないから、空けとくっていうか空いてる」
「わかりました。じゃあご飯も張り切って作るので楽しみにしておいて下さいね」
終業式の後か……
葵の感じがいつもと違う気がするけど何かあったかな。
まあ、いいか。そう思い、特に確認もせず葵と別れて自分の部屋に戻ったが、よくよく考えてみると毎日、晩ご飯を作りに来てくれているのに、わざわざ今週の金曜日に約束してきたのは何か意味があるんじゃないかと思い金曜日である十二月二十四日を端末のカレンダーを見てみたがどうやら特に祝日とかではないらしい。
この日は特に理由が分からずにそのまま寝てしまったが、次の日になって理由が分かった。十二月二十四日金曜日はクリスマスイブだった。
学園の教室でクラスメイトがクリスマスプレゼントがどうとか、誰を誘うとかというのが聞こえて来てようやく気がつくことが出来た。
今まで俺にとって十二月二十四日は普通の日、終業式の日でしか無かったので完全に頭から抜けていた。
俺が十二月二十四日にプレゼントをもらったりケーキを食べたりしたのは多分小学校二年生の時が最後だと思う。
それ以降は特に行事らしい事も無かったので俺の中でクリスマスというイベントが完全に抜け落ちてしまっていた。
ただ、俺にもこれが一般的では無いというのはわかっているので、クラスメイトの話を聞いて葵にとっては十ニ月二十四日がクリスマスイブだから約束してきたのだと言う事はすぐに理解出来た。
クリスマスといえばケーキとプレゼントだよな。
俺自身は、もう何年も縁の無い事だったが、今年は葵がいて、しかも晩ご飯の約束をしている。
流石に鈍感な俺でもここで何も用意しないという選択肢はない。
これは今までお世話になった分をお返しする絶好の機会だが、当然女の子にプレゼントなど買った事は無い上に学校以外は葵とほとんど一緒にいるので、一人で買いに行く時間が無い。
こういうのはサプライズがいいのかもしれないが、いろいろ考えてみた結果、こういった事への知識が皆無の俺が無理して頑張ってみても大変な事になりそうな気がするので葵自身に選んでもらおうと思う。
学校の授業が終わるといつもの様に葵が教室までやって来てくれた。
「凛くん。帰りましょう」
不思議なもので葵が教室に来るのも一緒に帰るのも、俺の中で段々と当たり前になってきている。
あれ程気になっていた周囲の視線もほとんど気にならなくなって来ている。
周りの視線が無くなった訳では無いと思うが、葵と話している方が楽しくて周りに意識がいかなくなった。
2人で並んで帰り道を歩きながら今日の学校での出来事を話すのが、日課になっているが、基本俺は何も無いのでいつも葵の話を俺が聞いている事がほとんどだ。
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