26 / 92
お隣さん
しおりを挟む
そして週末を迎えたが、葵からの連絡は何も無い。
たまたまずっと空き部屋になっていた隣の部屋にも誰かが引っ越してくる様で朝から引越し業者が荷物を運び込んでいる。
それにしても葵は一体どの辺に引っ越してくるんだろうか?
パーティでの活動を考えても、恐らくここから五百メートル以内ぐらいのマンションに引っ越してくるんだとは思うが場所は最後まで教えてくれなかった。
今後のパーティとしての活動も、駅前集合とかになるのだろうか?
正直ちょっと辛い。
お昼を迎えたが、葵からはまだ何の連絡も無い。
今日はもう連絡して来ないのだろうかと不安になって来たその時だった。
「ピンポ~ン」
滅多にならない俺の部屋のインターホンが鳴った。もしかして隣の部屋に引っ越して来た人かな。
変な人じゃなきゃいいけど。
「は~い」
俺は返事をして玄関に行き覗きに穴から覗いてみるが、誰も居ない。
? どう言う事だ?
不思議に思い少しだけ扉を開けて見たがやはり誰もいない。
まさか悪戯か?
「凛くん」
……今、俺の名前が聞こえた様な。
「凛~くん」
やっぱり聞こえる。
慌ててドアを開けて表を見るとドアの脇に葵が立っていた
「葵……どうしてここにいるんだ? よく場所分かったね。もう引っ越し終わったのか?」
「ふふっ。終わったよ」
「それは良かったけど、どの辺? 歩いて来れるぐらいのところ?」
「それはね~。私の新しいお家はここです」
「ん? どういう意味?」
「だからね、私の新しいお家はここです」
そう言って葵が指さしているのは俺の隣の部屋だった。
「………………本当に?」
「うん、本当です」
どうやら本当に葵は俺の隣の部屋に引っ越して来たらしい。
信じられない事だが、学校のアイドルである葵は今日から俺のパーティメンバーでお隣さんになるらしい。
「あ~良かったら中に入る? まだ部屋片付いてないでしょ」
「うん、お願いします」
俺は葵を部屋に案内したが、初めて部屋に入れた女の子が葵だとは少し前の俺では想像さえ出来なかっただろう。
特に何があるわけでもないが緊張して来た。
「へ~っ、やっぱり私の部屋と同じ間取りですね。しかも思ったよりずっと綺麗にしてるんですね」
「まあ、荷物があんまり無いから」
「本当ですね。TVも無いです。凛くんはTVとかは見ない人なんですか?」
「見ないと言うか……恥ずかしいんだけど、引っ越して来た時にTVを買うお金が無くてそのままずっと買ってないんだ」
「じゃあTVが嫌いとかでは無いんですか?」
「うん、そんなんじゃないよ。それよりお昼ご飯食べた?」
「いえ、荷物を出せてないのでまだです」
「よかったらカップ麺しかないけど食べる?」
「いいんですか?」
「うん、お腹が空くだろうから、よかったら食べてよ」
そう言って俺はカップ麺を2つ取り出してからお湯を沸かして作り始めた。
「引っ越しそばじゃないけど引っ越し麺ね」
「ありがとうございます。私ほとんどカップ麺って食べた事ないので楽しみです」
「じゃあ、普段何食べてるの!? 俺は、ほぼカップ麺ばっかりだけど」
「凛くん……それはダメです。たまにはいいと思いますが、毎日はダメです」
「い、いや。そう言われても俺何も作れないし……」
「…………分かりました。取り敢えず今日はカップ麺をいただきますね」
「うん、そうしよう」
それからすぐに沸かしたお湯を2人分のカップ麺に注いで、3分待ってから食べ始めた。
「たしかにこれは美味しいですね」
「そうだろ? だから……」
「ダメですよ」
葵が俺の主食にダメ出しをして来た。
一度は分かったと言ったはずなのにどうなってるんだ?
そもそもカップ麺がダメだと言われたら俺が食べる事が出来るものはこの家から無くなってしまう。葵は俺に餓死しろとでも言うのだろうか?
たまたまずっと空き部屋になっていた隣の部屋にも誰かが引っ越してくる様で朝から引越し業者が荷物を運び込んでいる。
それにしても葵は一体どの辺に引っ越してくるんだろうか?
パーティでの活動を考えても、恐らくここから五百メートル以内ぐらいのマンションに引っ越してくるんだとは思うが場所は最後まで教えてくれなかった。
今後のパーティとしての活動も、駅前集合とかになるのだろうか?
正直ちょっと辛い。
お昼を迎えたが、葵からはまだ何の連絡も無い。
今日はもう連絡して来ないのだろうかと不安になって来たその時だった。
「ピンポ~ン」
滅多にならない俺の部屋のインターホンが鳴った。もしかして隣の部屋に引っ越して来た人かな。
変な人じゃなきゃいいけど。
「は~い」
俺は返事をして玄関に行き覗きに穴から覗いてみるが、誰も居ない。
? どう言う事だ?
不思議に思い少しだけ扉を開けて見たがやはり誰もいない。
まさか悪戯か?
「凛くん」
……今、俺の名前が聞こえた様な。
「凛~くん」
やっぱり聞こえる。
慌ててドアを開けて表を見るとドアの脇に葵が立っていた
「葵……どうしてここにいるんだ? よく場所分かったね。もう引っ越し終わったのか?」
「ふふっ。終わったよ」
「それは良かったけど、どの辺? 歩いて来れるぐらいのところ?」
「それはね~。私の新しいお家はここです」
「ん? どういう意味?」
「だからね、私の新しいお家はここです」
そう言って葵が指さしているのは俺の隣の部屋だった。
「………………本当に?」
「うん、本当です」
どうやら本当に葵は俺の隣の部屋に引っ越して来たらしい。
信じられない事だが、学校のアイドルである葵は今日から俺のパーティメンバーでお隣さんになるらしい。
「あ~良かったら中に入る? まだ部屋片付いてないでしょ」
「うん、お願いします」
俺は葵を部屋に案内したが、初めて部屋に入れた女の子が葵だとは少し前の俺では想像さえ出来なかっただろう。
特に何があるわけでもないが緊張して来た。
「へ~っ、やっぱり私の部屋と同じ間取りですね。しかも思ったよりずっと綺麗にしてるんですね」
「まあ、荷物があんまり無いから」
「本当ですね。TVも無いです。凛くんはTVとかは見ない人なんですか?」
「見ないと言うか……恥ずかしいんだけど、引っ越して来た時にTVを買うお金が無くてそのままずっと買ってないんだ」
「じゃあTVが嫌いとかでは無いんですか?」
「うん、そんなんじゃないよ。それよりお昼ご飯食べた?」
「いえ、荷物を出せてないのでまだです」
「よかったらカップ麺しかないけど食べる?」
「いいんですか?」
「うん、お腹が空くだろうから、よかったら食べてよ」
そう言って俺はカップ麺を2つ取り出してからお湯を沸かして作り始めた。
「引っ越しそばじゃないけど引っ越し麺ね」
「ありがとうございます。私ほとんどカップ麺って食べた事ないので楽しみです」
「じゃあ、普段何食べてるの!? 俺は、ほぼカップ麺ばっかりだけど」
「凛くん……それはダメです。たまにはいいと思いますが、毎日はダメです」
「い、いや。そう言われても俺何も作れないし……」
「…………分かりました。取り敢えず今日はカップ麺をいただきますね」
「うん、そうしよう」
それからすぐに沸かしたお湯を2人分のカップ麺に注いで、3分待ってから食べ始めた。
「たしかにこれは美味しいですね」
「そうだろ? だから……」
「ダメですよ」
葵が俺の主食にダメ出しをして来た。
一度は分かったと言ったはずなのにどうなってるんだ?
そもそもカップ麺がダメだと言われたら俺が食べる事が出来るものはこの家から無くなってしまう。葵は俺に餓死しろとでも言うのだろうか?
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
共鳴のヴァルキュリア (全話再編集完)
成瀬瑛理
SF
「少年は愛するものを守るべく、禁断の力を手にする。その時、運命の歯車は大きく回り始める――!」
※アザゼルの突然の襲撃に混乱する第6宇宙拠点基地ラケシスのコロニー。敵の放った最新型のドールアームズ、アークの襲来にアビスで抵抗するラケシスのパイロット達。激闘が繰り広げられる中、さらなる嵐が巻き起こる。
第1話〜第6話編集完了。→第7話編集中。
前世の祖母に強い憧れを持ったまま生まれ変わったら、家族と婚約者に嫌われましたが、思いがけない面々から物凄く好かれているようです
珠宮さくら
ファンタジー
前世の祖母にように花に囲まれた生活を送りたかったが、その時は母にお金にもならないことはするなと言われながら成長したことで、母の言う通りにお金になる仕事に就くために大学で勉強していたが、彼女の側には常に花があった。
老後は、祖母のように暮らせたらと思っていたが、そんな日常が一変する。別の世界に子爵家の長女フィオレンティーナ・アルタヴィッラとして生まれ変わっても、前世の祖母のようになりたいという強い憧れがあったせいか、前世のことを忘れることなく転生した。前世をよく覚えている分、新しい人生を悔いなく過ごそうとする思いが、フィオレンティーナには強かった。
そのせいで、貴族らしくないことばかりをして、家族や婚約者に物凄く嫌われてしまうが、思わぬ方面には物凄く好かれていたようだ。
アスモディアンズは、カオスな仲間たち。
日向 ずい
ファンタジー
「ええい、やむおえん!お前らの意見など、聞いてられん!それっ!!ワープじゃー!!」
「えええ〜!!!!!」
このことから、俺たちアスモディアンズが誕生することとなったんだ。全く...あの魔法使い...今度あったらただじゃ置かねぇからな...。
この物語は、カオスな魔族の仲間達が人間界で生活しながら、世界を救うために奮闘する完全ファンタジーである。
契約に失敗した俺は……。
ど~はん
ファンタジー
時は西暦2445年。
世界はあらぬ方向に発展を遂げた。
天使または悪魔と契約できるようになったのだ。
人々は次々と契約し、天使や悪魔を新たな友達・家族のようにしていた。
しかし、そんな穏やかな何もない時など、続くはずもなかった……。
2450年。
それは起こった。
世界中で人々は天使や悪魔を使い、互いに争いを始めてしまった。
それから50年間、各国の政府や軍はその争いを静めようとした。
だが、天使や悪魔の力に軍の兵器などは通じるはずもなく、困難を極めた。
2501年
舞台は日本。
主人公は16歳になり、契約ができるようになった。
なんと…、失敗することのないはずなのに契約に失敗してしまった主人公。
少年の失敗が世界を救うかもしれない物語です。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
衣食住保障してください!~金銭は保障外だったので異世界で軽食販売始めます〜
桃月とと
ファンタジー
どこにでもいる普通の社畜OL漆間蒼はついにブラック企業に辞表を叩きつけた!
遊ぶ時間などなかったおかげで懐には余裕がある。
家にはいつかやろうと揃えていたお料理グッズにキャンプ用品、あれやらこれやらが溢れたまま。
現実逃避が具現化した品々である。
「……これを片付けたら海外旅行でもしようかな!」
収入は途絶えたが蒼には時間がある。
有限だが、しばらくは働かなくても生きていけるだけの蓄えも。
なんとも晴れやかな……いや、それどころではない!
浮かれてルンルン気分でこれからの生活を想像していた。
だがそれも長くは続かない。
「あおいねーちゃんっ!!!」
「しょうくん!!?」
コンビニからの帰り道、隣に住む好青年、桐堂翔がなにやら神々しい光に包まれていたかと思うと、
足元には怪しげな魔法陣が……そのままゆっくりと沈むように吸い込まれている翔を助けようと
手を繋ぎ踏ん張るも、あえなく蒼の体も一緒に魔法陣の中へ。
「え!? なんか余計なのがついてきた……!?」
これまた荘厳な神殿のような場所に転がった蒼の耳に、
やっちまった! という声色で焦り顔の『異世界の管理官』が。
残念ながら蒼は、予定外の転移者として異世界に召喚されたのだ。
「必要ないなら元の世界に戻してくれます!?」
「いや〜〜〜残念ながらちょっと無理ですね〜」
管理官は悪びれながらも、うんとは言わない。
こうなったら蒼はなんとしてもいい条件で異世界で暮らすしかないではないかと、
しっかり自分の希望を伝える。
「じゃあチート能力ください!」
「いや〜〜〜残念ながらそれもちょっと……」
「ちょっと偉い人呼んできて!!!」
管理官に詰め寄って、異世界生活の保障をお願いする。
なりふり構ってられないのだ。
なんたってこれから暮らしていくのは剣と魔法と魔物が渦巻く世界。
普通のOLをやっていた蒼にとって、どう考えても強制人生ハードモード突入だ。
「せめて衣食住保証してください!!!」
そうしてそれは無事認められた。
認められたが……。
「マジで衣食住だけ保障してくれとるっ!」
特別な庭付き一軒家は与えられたが、異世界で生活するにも『お金』が必要だ。
結局蒼は生きていくために働く羽目に。
「まだ有給消化期間中だってのに〜!!!」
とりあえず家の近くに血まみれ姿で倒れていた謎の男アルフレドと一緒に露天で軽食を売りながら、
安寧の地を求めるついでに、前の世界でやりのこした『旅行』をこの異世界で決行することにした。
「意地でも楽しんでやる!!!」
蒼の異世界生活が始まります。
サ終手前の元覇権ゲームを極めた俺、再ブームした世界で無双する。
蒼
ファンタジー
世界初!
圧倒的グラフィック!
高性能AIによる生きているかのようなNPC!
脳波を読みとるヘッドギアが織りなすリアルと遜色ない操作性!
どう成長するかはプレイヤー次第の自由成長システム!
キミを待つのはゲームじゃない。もう一つの世界だ。
な〜んて謳い文句で世界中のゲーマーを虜にし、大ヒットを記録したのは過去の栄光であり、過疎も過疎、運営すらも匙を投げたVRMMORPG【Another verse online】。
そんなゲームを共に遊ぶフレンドすら失ったにも関わらず、飽きずにソロで周回する毎日だった主人公。
大規模アップデートをする!と大々的に告知されてから丸2年。アプデに対して黙りこくっていた運営がとある発表をした日から、世界は大きく変わることとなる…
カクヨム様でも投稿しています。
伯爵家の次男に転生しましたが、10歳で当主になってしまいました
竹桜
ファンタジー
自動運転の試験車両に轢かれて、死んでしまった主人公は異世界のランガン伯爵家の次男に転生した。
転生後の生活は順調そのものだった。
だが、プライドだけ高い兄が愚かな行為をしてしまった。
その結果、主人公の両親は当主の座を追われ、主人公が10歳で当主になってしまった。
これは10歳で当主になってしまった者の物語だ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる