上 下
19 / 92

一対五

しおりを挟む
五体のモンスターを相手にするのは初めてだが、彼女さえ逃げてくれれば俺も適当なところで離脱する事も有りだ。
だが何故か彼女は逃げ出そうとしない。
「若葉さん早く逃げろ!」
「で、でも…………」
「いいから早くしろ!」
彼女も追われて気が動転していたのかもしれないが、五体のモンスターを前に俺も一切の余裕が無かったので普段よりも強い口調になってしまった。
依然彼女は逃げようとはしなかったが、何度も大声を上げたせいで五体のモンスターのターゲットは完全に俺へと移った様でモンスターが一斉にこちらに向かって走り出した。
『ライトニング』
俺は向かって来たモンスターのうちオークの一体に向かって雷を放つ。
続け様にもう一体にもお見舞いする。
『ライトニング』
俺が瞬殺で二体のオークを消し去ったので、残りの三体は足を止めてこちらに警戒を示した。
だが一撃で倒せる手段はこれで打ち止めだ。後の三体は残りのスキルでどうにかするしかない。
残るは、二体がホブゴブリンで一体がゴブリンだが今の俺ならゴブリンは問題無く捌ける。
とにかくホブゴブリン二体をどうにかしないといけない。
『ファイアボール』 『ファイアボール』 『ファイアボール』
俺は『ファイアボール』を連発して敵モンスターを足止めし自ら距離を詰める。
距離を詰めながら再度『ファイアボール』を連発するが『ファイアボール』の使用上限回数が来てしまったのですぐ様『アイスジャベリン』に切り替える。
俺の『アイスジャベリン』小型とはいえ氷の槍が直接的な殺傷能力を持つので近距離から叩き込めばホブゴブリンといえども無傷では済まない。
『アイスジャベリン』 『アイスジャベリン』 『アイスジャベリン』
至近距離から『アイスジャベリン』の三連発でようやくホブゴブリンの一体を倒すことが出来た。
残るは二体。
間髪入れずに二体目のホブゴブリンに向けて『アイスジャベリン』を放つが残念ながら2発では消滅まで至らなかった。
『ウェイブブレイド』
ダメージを負ったホブゴブリンに肉薄して『ウェイブブレイド』で胴体を滅多刺しにして消滅させる。
「はぁ、はぁ、はぁ………」
これで四体。残るはゴブリン一体だがこちらには『ウェイブブレイド』しか残っていない。
今までゴブリンと『ファイアボール』の牽制無しで戦った事は無い。
戦っている時間はまだ数十秒しか経過していないが、初めて相手にする数の敵を前に、目に見えて精神力、体力共に急激にすり減っているのが自分でも分かる。
長引けば不利になるが『ウェイブブレイド』だけでいけるか?
俺は身につけていたサバイバルナイフを左手で一本抜き二刀流を試みる事にした。
『ウェイブブレイド』
右手にブレイドを発生させてゴブリンに向かって行く。
勿論武術の心得など無い俺は二刀流など試した事は無い。
ぶっつけ本番だが、残念ながら『ウェイブブレイド』だけで勝てるイメージが全くといって湧かなかったのでやるしかない。
「うおおおおおおおお~!」
自分を奮い立たせるべく雄叫びを上げてゴブリンに向かって走り出す。
ゴブリンが棍棒で殴りつけてくるのをクロスしたナイフとブレイドで受け止める。
「ぐうぅうう~!」
すごい力だ。
やはりモンスターであるゴブリンの身体能力は俺を完全に凌駕している。
なんとか耐えられているのはレベル6になり俺の身体能力も以前より上がっているからなのだろう。
「がああああ~!」
やばいこのままではやられてしまう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る

電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。 女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。 「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」 純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。 「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

【R18 】必ずイカせる! 異世界性活

飼猫タマ
ファンタジー
ネットサーフィン中に新しいオンラインゲームを見つけた俺ゴトウ・サイトが、ゲーム設定の途中寝落すると、目が覚めたら廃墟の中の魔方陣の中心に寝ていた。 偶然、奴隷商人が襲われている所に居合わせ、助けた奴隷の元漆黒の森の姫であるダークエルフの幼女ガブリエルと、その近衛騎士だった猫耳族のブリトニーを、助ける代わりに俺の性奴隷なる契約をする。 ダークエルフの美幼女と、エロい猫耳少女とSEXしたり、魔王を倒したり、ダンジョンを攻略したりするエロエロファンタジー。

俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~

つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。 このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。 しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。 地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。 今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。

18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした

田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。 しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。 そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。 そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。 なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。 あらすじを読んでいただきありがとうございます。 併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。 より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!

男女比崩壊世界で逆ハーレムを

クロウ
ファンタジー
いつからか女性が中々生まれなくなり、人口は徐々に減少する。 国は女児が生まれたら報告するようにと各地に知らせを出しているが、自身の配偶者にするためにと出生を報告しない事例も少なくない。 女性の誘拐、売買、監禁は厳しく取り締まられている。 地下に監禁されていた主人公を救ったのはフロムナード王国の最精鋭部隊と呼ばれる黒龍騎士団。 線の細い男、つまり細マッチョが好まれる世界で彼らのような日々身体を鍛えてムキムキな人はモテない。 しかし転生者たる主人公にはその好みには当てはまらないようで・・・・ 更新再開。頑張って更新します。

処理中です...