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あくまの胸のうち

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…ほんっと、…ちょろい。


ぐずぐずんなって、またトんじゃった女の子を見下ろしながら思う。
…かわいいんだけど、…ちょろいんだ、この子は、ほんとうに。


自分で仕掛けておいて、心配になるくらい。


……俺以外でもそうなのかなって。
想像するだけで頭んなかが嫉妬で埋まるからつい虐め倒しちゃうんだけど…
そんなことはさせないし、許さない。本人にだって、隙は与えない。



「……クリス、」



覆い被さって耳もとで呼んでも返事はない。

が、反応するだけだ。


腰が重くなる。


体液まみれ。籠る匂い。乱れた寝具。

つい昨日まで誰にもふれられていない身体を、自分が暴いたことは至福。


熱が止まない。醒めない。


俺がどれだけ浮かれているかなんて、この子は何も知らない。

今はそれでもいい。


そのうち嫌ってほど、わからせてあげるから。

何もかもわからなくなるくらい、俺でいっぱいにしてあげる。


 






クリスタは警戒心が強い猫みたいだった。
人見知りでひとりでいたがるくせに、寂しそうに周りの様子を伺って。
かまって、と素直に言えないで。
だから手懐けて、最初は反応を見てるのが楽しかった。

距離が近づく過程を観察するように過ごしていただけだったはずなのにいつからかそれが変わった。

俺だけに懐いていたはずだったのに、あっという間に警戒心を解いた。


そうしたのは俺なのに、無性に腹が立った。


俺以外に笑う。俺以外に触れる。

俺以外の、名前を呼ぶ。


ただの興味本位が執着に変わって、雁字搦めに囚われた。



核心に気づいたあとはもう、余裕はなくなった。



逃げようとするから、追いかけて。
逃げ出そうとするから追い詰めて。



そうしてやっと、手に入れた。







……コレは愛だよね、クリス。





涙のあとを舐めて、細い腰を掴み直す。
ゆるゆる動かせば、無意識にでも逃げようとするから呆れる。



「…すぐ、逃げようとするよね、お前は、」



逃げグセは、直さないと、ね。
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