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三章 葵虐め事件とライバル?

第38話( 他人の興奮状態って気持ち悪いな)※

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 失敗した。
両手の手のひらがずきずきして痛くなってきた。
今ここには私と暗と菫のいつもの三人と武器 (ナイフと包丁)を持って笑っている、円鏡さんと言い争いをしていた五人組が居る。
五人組の一人、前に円鏡さんを殴ろうとした奴が私の血が付いたナイフを何回も舐めて頬を染めて悦に浸っていた。
(うん、やっぱり気持ち悪いな。私の血を舐めて興奮してるの見ると)

「葵ちゃん!血、血が!」
「両手をやっただろ。早く手当てしないと」
「二人共、まだ動くな。あいつらともう少し距離を取るまではオレの後ろに居ろよ」

何でこんな事態に陥って居るかというと、偶然ある本を拾ってしまったからだ。
(まさかこんな事になるとは思わなかった)



一時間前

放課後になったのでいつもの様に暗といつもの教室に向かっていた。
今日は途中で菫に会ったので三人で向かっていたらある部屋のドアが開いていた。

「あれ?あそこのドア開いてない?」
「本当だ。物置に使ってるみたいだな」
「ん?ドアが開いてるっていうよりはあの本が間に挟まってるみたいだな。中に入れておくか」

私達は本を拾って部屋に入れようとしたが、タイトルを見て少し固まってしまった。

「、、私 (俺)達と」
「、、紅様達の」
「、、愛の性生活」
「「「、、、、。」」」

タイトルを声に出して読んだらインパクトが凄くてまた固まってしまった。
(え?何これ?どうしよう?)

「、、、妄想日記?」
「あー、多分それだ」
「複数でか?しかも性別も違うみたいだが」
「、、、中身を少しだけ見てみるか?良くない事かも知れないが、紅達の事が書かれているみたいだからな。変な事が書かれてないかだけでも確かめよう」
「ボクも暗の意見に賛成」
「、、、分かった。変な事が書かれてないかを見るだけだからな」

私がそう言うと暗は本を開いて読んだ。

「これ、五人で書いてるのか」
「女二人と男三人の妄想日記だな」
「妄想するだけなら自由だと思うけど、これは、、、」
「「「気持ち悪い」」」

声が見事に揃った。
だけどそれくらい気持ち悪かった。

「始めの奴、兄さんと鈴の兄さんが自分の兄だったらって書いてあるが、その後の妄想が気持ち悪い」
「うん、ぼくもそう思う。そいつドMなんじゃない?」
「そうだな。紅と鈴矢に代わる代わる虐めて欲しいって書いてあったしな」
「虐めの内容が死ぬ直前まで首を締めて欲しいとか自分のモノだっていう証 (紅の名前)を体に (ナイフで)刻んで欲しいとかだからな」

他にも鞭でとか踏んでとか書いてあったけど気持ち悪くて途中で読むのを辞めた。
しかも兄さん達がコイツの兄である必要は特に無かった。

「次の男は緑を弟にして自分以外を見ない様にしたいって書いてたな」
「好きな人の事だったら少しはそう思うだろうけど、その男は緑さんを監禁して自分以外と会わせないって書いてあったからね」
「監禁の内容が特に駄目だったな。最終的に洗脳して自分が居ないと何も出来ないようにしたいと書いてあったな」

この人は相手を依存させて自分が居ないと駄目になって欲しい人みたいだ。

「次は女二人で書いてあったね」
「黒と白銀にちやほやして欲しいって書いてあるけど、、、」
「こいつらの頭はお花畑なのか?」
「目覚めは二人のキスで、朝は二人の手料理をあ~んして私達に食べさせてくれて?」
「昼は我慢出来なくなった二人が私達をいっぱい優しく可愛がって?足腰が立たなくなった私達を優しく世話してくれて?」
「夜は今日私達に優しくした分だけ意地悪されて求められるって書いてあるな」

この二人は優しくされて我慢出来ないくらい求められる事に憧れてるみたいだ。
(あとこの二人は監禁して欲しい願望もあるみたいなんだよね)

「最後は男だな。紫さんを性奴隷にしたいって書いてたな」
「この妄想日記、最初と最後が一番キツいな」
「兄上の顔を快楽で歪ませたいって書いてあったけど」
「ほとんど調教日記 (妄想)だったな」
「キスだけでイける様にしたいって事からどんどんヤバくなってくるからな」

最後の男のやつも最初の人みたい気持ち悪くなったので途中で読むのを辞めた。
(ヤバかったな。露骨な表現が多過ぎて気持ち悪かったな)

「おい、お前ら」
「なんだ?」

後ろから呼ばれたので振り返るとそこには前に円鏡さんと言い争いをしていた五人組だった。
(何でこんな所にこの五人が?、、、ん?五人?、、、もしかして)

「あ!お前、紅様の弟!何でこんな所に!」
「お前らこそ、こんな所に何の用だ?」
「オレらは落とし物をしたから探してただけだ!」
「、、、その落とし物はこの本か?」

私は五人組に気持ち悪い妄想日記を見せた。
五人組は驚いて目を丸くさせた。

「な、何で、お、お前がそれを!」
「この部屋のドアの間に落ちていたんだ」
「返せ!」
「お前達の物なんだな?」
「そうだ!だから早く返せ!」
「分かったから落ち着け。ほらよ」

あまりに険しい表情をして迫って来るので少し距離があるが投げて渡した。
(何か分からないけど、近づくとヤバいような気がする)

「お前ら、これ読んだよな?」
「もう返したんだ、オレ達に用はないだろう?」
「読んだんだな」

私達が本を読んだと確信した男は他の四人を見て頷いた後、カバンの中を探っていた。

「二人共、帰るぞ」
「うん」
「ああ」
「ちょっと待てよ。これを読んだろう?それじゃあ、帰すわけにはいかない」
「、、、ちっ、二人共走れ!」

男はカバンの中からナイフを取り出して私達に近づいて来るので走って逃げた。

「くそ、あの五人組まだ追って来る」
「そこの教室に入って窓から逃げよう!」
“ガラガラガラ”
「っ!ここは、、」
「はぁはぁ、やっと追い付いた。ここには窓はないぜ?資料室だからな?」

追い付いた男が言ったようにこの部屋には窓が無かった。
私達は男と距離をとって奥のほうに入って行った。
そうしていると他の四人も部屋に入って来た。
(逃げられない!あ、他の四人も刃物持ってる)

「あの本の中身はな、オレ達の大事な大事な秘密が書いてあるんだぜ?」
「そんなに大事なら落とすなよ」
「しかも、その大事な物を見たのは紅様の弟だったんだもんな」
「オレの話を聞いてるのか?」
「弟、紅様の弟。お前が居なければ紅様はオレの事をもっと見てくれるのか?紅様は弟がこの世で一番大事だと言っていた。オレがお前を消せば紅様の弟にオレはなれるはずだ」

ぶつぶつ危ない事を言い出したので二人を庇って距離をとる。

「は、はは、そうだ、こいつが居なければオレは」
「そうだな。俺も紫様の弟を消したい」
「私達も黒先生の従兄弟ってのいらないわ」
「私、紅様の弟は他の方達に我が儘を言って困らせてるって聞いたわ」
「消した方が良い奴じゃん」
「そうだな、、、死ね」

そう言って私に向かって迫って来てナイフを振りかざした。
私が避けると後ろに居る二人が危ないので走って来た勢いを止める為、とっさにナイフの刃の部分を両手で掴んで止めた。
(ッ、、痛いっていうか熱い!)



現在


「ッ!二人共、もう少し奥に行けるか?」
「葵ちゃん!、、うん、行ける」
「葵も早くそいつから離れろ」

ナイフの刃を離して五人組と距離を取る。

「紅様の弟の血!これをオレに取り入れたら紅様の弟になれるかも知れない!」
「そんな少しじゃ駄目だろう?もっと貰わないと」
「はっ、紅様と同じ血!んっ、旨い!はぁはぁ、もっと舐めてぇ!はぁ、んっ、ふはぁ~」

そんな事を言いながら興奮した様子で息を荒くさせながら私の血が付いたナイフを舐めていた。
(気持ち悪い!鈴の兄さんはカッコいいのにこいつらは気持ち悪い!私の血で興奮するな気持ち悪い!)






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