一人じゃないぼく達

あおい夜

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三章 嫌われ者達とぼく

自己紹介くらいはちゃんとさせて欲しかった

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 始めに自己紹介してくれたのは最初にぼくに話しかけて来たこの子達のリーダーみたいな男の子だ。

「俺は佐藤 拓己(さとう たくみ)高校一年だ。一応みんなのまとめ役をしている。よろしくな」
「よろしく拓己」

次の子は足首を掴まれてた元気の良さそうな男の子だ。

「オレは鈴木 兼太(すずき けんた)同じく高校一年。ムードメーカーだぜ!よろしくな!」
「うん、よろしく兼太」

次の子は引きずり込まれたと言ってた女の子だ。

「私は小林 一華(こばやし いちか)この二人と同じクラスの高校一年生よ。あるバカがバカをしない様に見張るわね?よろしく」
「よろしく一華」
「誰がバカだって?」
「あら?私誰とも言って無いわよ?バカ」
「やっぱりオレの事じゃねぇか!」

二人がケンカしているけど無視をしてもう一人の混乱していた女の子の自己紹介を聞いた。

「わ、私は菅原 水希(すがわら みずき)その、中学三年生です。よろしくね?」
「よろしく水希」

最後は美人で冷静だった男の子だ。

「僕は小池 雪夜(こいけ ゆきや)その子と同じクラスの中学三年生だよ。よろしく」
「よろしく雪夜」

みんなが静かにぼくを見たのでぼくも自己紹介をする。

「ぼくは、、、青天。年は十、」
“バンバンバンバン”

ぼくが最後まで言い切る前に窓から凄い音がしたのでそちらを見てみた。
(あー、、、小さい子供の手の跡がついてる。しかも血で。これは確か)

「テンプレじゃん!ナニコレナニコレ!こわっ!」
「兼太うるさい!」
“ゴツ”
「いっ!イッテェー!殴る事ねぇだろ!この暴力女!」
「小さな青天ちゃんが居るのにあんたがうるさく騒ぐからでしょ!このバカ!」

またケンカしている二人をスルーしてさっきから視線が感じる出入口のドアの方を見た。
(うん、まぁ、その、うん、居るだろうなって思ったけどアレは気持ち悪いな。この子達はアレ見ても大丈夫かな?ぼくは感覚が麻痺してる所があるからアレ見ても大丈夫だけど、、、気持ち悪いけど)

「雪夜」
「ん?なに?」
「出入口の所の隙間、、、あんまり凝視しないでアレに見た事をバレない様に見てくれるか?そうじゃないとアレは襲ってくるから」
「アレ?、、、ッ!うっ、、、何アレ?」

一番冷静そうな雪夜に見てもらったのは正解らしい。
(アレ見て叫ばないだけ凄いと思うけど)

「(かなり強い悪霊かな?けど目があったり自分を見たって分かったら襲って来るモノだと思うよ。だからみんなにそれとなく知らせてからこの教室を出て全力で走って逃げて何処かに隠れないと。それと離ればなれになるのが一番ダメな事だから慎重に知らせないといけないけど)」
「(分かった。知らせるのは僕が何とかするよ)」

雪夜は最初に拓己に近づいて耳もとで何か(多分、アレの事)を話した。
拓己も一瞬だけ出入口の方を横目で見て顔を真っ青にしてから静かに頷いた。
水希も同じ様にしていたが少し泣きそうになってる。
そしてケンカしてる二人にはどうするのかと思ったらケンカしてる二人以外をアレが居るのとは反対側の出入口に集めて拓己がぼくの事を抱き上げてからドアを開けるのと同じタイミングでケンカしてる二人に言う。

「二人共!早くこっちに来て下さい!早く走って逃げますよ!」
「へ?何か分からないけど分かったわ!走って逃げれば良いのね!」
「何?逃げんの?雪夜がそう言うんなら逃げる!」

拓己はぼくを抱き上げたまま走ったのでぼくは後ろから追いかけて来るアレがどんな姿なのか見てしまった。
ケンカしてた二人はあとから来たはずなのにもう一番前の拓己に追い付いた。
(足が速いから二人には何も言わなかったのか)

「兼太、一華、そのままの速度で後ろ見れたら見てみて、見れば何で走って逃げてるのか分かるよ」

ぼくがそう言うと二人は速度を落とさずに後ろを見て顔を真っ青にしてから叫んだ。

「ナニアレ!キモい!怖い!キモい!」
「いやぁ!気持ち悪い!怖い!気持ち悪い!」

二人共同じ事を言いながら少し混乱してるけど走ってる速度は変わらない。
(やっぱり怖いよりアレは気持ち悪いよね?)

後ろからぼく達を追いかけて来るモノは全体が真っ黒な少し髪が薄くなってきたくらいの普通のオジサンの顔をしているモノだ。
最初見た時は血走った真っ赤な目を転がり落ちそうなくらい大きく開いてじっとこっちを見ていた。
そして今は天井を這いずりながらぼく達を追って来ている。
(関節が全て反対になってるクモ見たい)

「何であいつあんなに速いの!?両手足反対に曲がってるのに!」
「そんな事言ったら首も反対に曲がって背中の方に顔があるじゃない!しかも気持ち悪い笑顔を浮かべながら私達を追いかけて来てるわよ!」
「二人共何でそんなにはっきり見てんだよ!良いから走れ!次の角の近くの部屋に隠れるぞ!」

拓己がそう言って角を曲がりって、直ぐ側にあったドアを開けてそこに入った。


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