一人じゃないぼく達

あおい夜

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一章 家族は一緒が良い

ぼくが空の家族と初めて会った時

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 ぼくが空の家族と初めて会ったのは空の家に来て一ヶ月たった時だ。

「青天、今日のおやつは“ぱんけーき”という食べ物にしたぞ」
「パンケーキ、ぼくも作りたいから空、一緒に作ろう?」
「もちろんだ!一緒に作ろう!」
“コンコン”
「っ!」
「空?」
「青天はココで待っていてくれ。直ぐに戻る」

そう言って空は玄関に向かった。
ぼくは玄関に居る空を部屋の中から顔を出して見ていた。

「帰れ」

聞いた事が無い空の冷たい声を初めて聞いた。

「ドアくらい開けてくれても良いんじゃない?」
「ちっ」
“ガラガラガラ”
「おじゃまします」
「勝手に入ってくるな。帰れ」
「久しぶりに会ったお兄ちゃんに向かってそれは無いんじゃない?」
「今日はお前一人か?」
「ああ、弟達は用事が合って来れないんだ。悪いな」
「会いたいなどとは言ってないだろう、もう良いから早く帰れ」

玄関にいる人の姿は空がいて見えないが、お兄ちゃんと言っていたのと訪問者が限られている空の家に来た人という事で前に空が話してくれた空の兄的存在の天狐だと分かった。
(思っていたのと違うな。何か、、、軽い?)

「分かったよ、お前がそこまで言うなら今日はこれで帰るよ。ただ、今日はお前に子供が出来たって噂を聞いて見に来ただけだからな」
「オレの子供?、、、お前達には関係無いだろう。帰れ」
「へー。空、お前に子供が居るっていうのは本当みたいだな?」
「っ!」

次の瞬間、天狐の威圧感が増した。
ぼくは部屋の中に引っ込んだ。
(部屋に居るのにまだ凄い威圧感が感じる)

「お前いつの間に生ませたの?いや、お前の事だから無理矢理、生まさせられた?」
「、、、そういうものでは無い。もう良いだろう?早く帰ってくれ」
「ふーん、、、無理矢理じゃないみたいだし、まぁ良いか。今度はみんなで来るな」
「来るなと言っている!」
「じゃあ、またな」

どうやら天狐は帰って行ったみたいだ。
玄関を覗くと空が悲しそうな泣きそうな顔をして天狐が帰って行った方を見ていた。

「空、後悔してる?」
「ああ、いつもこうなんだ。優しいあいつらに冷たい言葉を吐き追い返してしまう」
「ぼくと一緒に大丈夫になろう?空、ぼくの事は怖くないんだよね?」
「ああ、青天には初めて会った時から何故か怖くなかったな」

ぼくは落ち込んで座った空の頭を撫でて言った。

「なら、次に来る時はみんなで来るって言ってたからその時にぼくの事を紹介して?ぼくが一緒なら少しは前みたいに出来るかも知れないでしょ?」
「、、、分かった。だが、青天は怖くないのか?さっき兄さんの威圧感を感じただろう?」
「うん、威圧感を感じた時は怖かったけど、空の為に怒ってたみたいだから大丈夫だよ。それにぼくも空の家族に紹介して欲しいんだよ?」
「そうなのか?」
「ぼくのお父さんの兄弟にちゃんとぼくも空の家族だって知って欲しいんだ」
「そうか!分かった!頑張って紹介するな!」
「うん」

最後には嬉しそうに満面の笑顔で空は笑っていた。
その後、空と一緒に初めてパンケーキを作って一緒に食べたら胸が温かくなった。



空の家族と初めてちゃんと会ったのは空が少し家を空けていて、ぼくが庭(結構広い)で花に水やり(範囲が広いので大変)をしていた時だった。

“しゃー”
「これで終わりだ、、、ん?」
「~、、、でっさー、あいつ本当に子供が居るみたいなんだよ」

声が聞こえたので庭から玄関の入り口の方を見た。
(あ、空の家族だ)

ぼくが見た人達の先頭の人は狐の耳と (もふもふで分かりにくかったけど)4本の尻尾があり、その後ろには多分だけど犬の耳と尻尾の人で、その後ろに居る人は猫の耳と2本の尻尾があって、一番後ろの人には鬼の角が生えていた。

ぼくは被っている帽子を顔が分からないくらい深く被り、バレる前に家に入ろうと庭に繋がってる家のドアに向かおうと思ったら、誰かに後ろから抱き上げられた。
(誰?空の家族?)

「おい、、、、幼子」
「、、、ぼく?」
「お前だ。何故この家に居る?」
「兄さん!」
「ん?なんだ?」
「この子、微かに妖怪かな?そんな匂いがする」
「、、、幼子、お前は誰の子供なんだ?」
「ぼ、くの、今の親は、空、だけ、だよ」
「お前が空の子供?羽根は?烏天狗じゃないのか?」
「兄さん、ちょっと待って」

色々質問してくる天狐を止めたのは鬼の人だった。
(空、早く帰って来ないかな?空の家族だって知ってるけど、大人の人はやっぱりまだ怖い)

実はぼくは大人が怖いのだ。
小さい子どもは直接言ってきたり、態度に表して気持ち悪いとか言ってきたりする (傷つくけどトラウマになるほどでは無い)けど、大人は親切にしてくるが手が震えていたり、影で悪口を言っていたり、目で気持ち悪いと思っている事が分かるので初めから苦手だった。
それに、実験の事もあるからか大人が近くにいると怖くて堪らなくなった。
なので、ぼくは空以外の大人がぼくの近くに居ると体が震えて動けなくなる。

「この子震えてる。怖がってるんだよ」
「本当だ。可哀想だから離してあげなよ兄さん」
「あー、悪い怖がらせるつもりは無かったんだ」

ぼくを降ろして謝ってきたのでぼくは首を振って否定した。
(空の家族だからかな?普通の大人の人よりは怖くない)

「怖がってるのはあなたのせいじゃないから謝らないで良い」
「だけど震えてただろ?」
「ぼくは空以外の大人が怖いだけなんだ」
「空以外の?お前は空の子供なんだよな?」
「うん、けど」

その時、凄い風が吹いてきてぼくの帽子が飛んでいった。
(あ、空に貰った帽子)

「お前ら、オレの子に何をしている!」
「空?」
「何もして無いぜ?ただ、子供がこんな所に居たからどうしたんだろうって思っただけで」

空がぼくの帽子を持って降りてきた。
鬼の人がぼくの顔を見て驚いている。
(なんだろう?ぼくの顔に何かついてるのかな?)

「君の目の色、、」
「あ?どうした、、、」
「うわー、空兄さんと同じだ!」
「青い目、、、」

どうやらぼくの青い目に驚いていたらしく、他の兄弟もぼくの目を見て驚いている。
(青い目ってアヤカシでも珍しいのかな?)

ぼくはこの時、ぼくの目を見て空の兄弟達が勘違いした事に気がつかなかったんだ。




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