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番外編 バーガンディの日常
倒れたトラはアンデッドとなる
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日本のお正月が大好きだった僕のお願いで、シェフがおせちみたいに縁起を担いだ食材でたくさんの料理を作ってくれた。
それ以外にも食べきれない程の料理やつまみの数々に頭がおかしいぐらいのお酒を用意して、今日はバーガンディの新年会。大きなホールに所狭しと人が溢れ賑やかな宴がはじまった。
アベニアとラフは、朝から発動した転移陣でカマーフィールドへと出かけて行った。今から2ヶ月、寒さのピークを過ぎるまでは温暖なカマーフィールドで過ごすのだ。
昔は1ヶ月くらいだったのに、もっともっととねだるアビーに根負けして年々延びていったらこうなった。
バーガンディの冬は厳しく外ではとても遊べない。
言葉より先に身体が動くアビーにはバーガンディの冬は退屈過ぎて可哀想だから何年か前からそうしてるのだ。孫の相手を存分に出来てお母様も大満足だ。
「ジョッシュさん飲んでるー?」
「こいつはすでに出来上がってます。アデル様は今日も飲まないんですか?」
「あー、グラナダ様から禁止令出てるから」
「そうでしたね」
マカフィーさんが遠い目をして過去の出来事を思い出す。
あぁ、あの時はジョシュさんにも散々迷惑かけたっけ。
そう、あれは確か3年前の事だった……
「グラナダ様ー、新年会とかしましょうよ。」
「新年会…響きでどんなものかは想像つくが…必要なのか?それは。」
「必要です。だってさっきから次から次へと年始めの挨拶だってやって来て、その度に呼び出されて落ち着かない!こんなのが1月いっぱい続くんでしょう?一度に集めて一気に挨拶して、それで良いことにしましょうよ」
「ふむ、一理あるな。よかろう、トマスに手配させる」
こうして1月も半ばの、日本だったらお粥を食べる日に、その新年会は開催された。
バーガンディ領主のグラナダ様のところには挨拶したい関係者各位で長蛇の列が出来ている。
そして僕の目の前にも…
しまった…僕はバーガンディ広報部のトップだった。
「アデル様、今年こそ我がマスキュリアンに第四部隊を派遣していただかねば。ささ一杯」
「あまり飲めないから少しだけね。うーん派遣したいのは山々だけどスケジュールがねぇ」
「アデル様、さーさー、私の酒もぜひ。競馬場にうちの商会から出店する件はどうなっておりますかな?ぜひとも一枚かませていただきたいものですわい」
「その件はセオドアさんに。あー、それぐらいで…ストップストップ、あぁ……」
イケメンからは程遠いおっさん達のノミニュケーションにつかまって、たとえ手にしているのがお猪口サイズのコップでも塵も積もれば山となって…………
「ジョッシュさーん、飲んでる~?あれぇ~マッキーは?相棒のマッキーはどこなん?」
「げっ、アデル様相当酔ってます?マッキーって誰、ああ、マカフィーのことか。あいつならとっくに潰れて寝てますよ。それよりコップかしてください。あーあー、飲めない癖にこんなに飲んで」
「イーからほら、ダーリンのとこ行くよ。ぼくも新年のあいさつしなくちゃ~」
「ダーリンって…閣下の事ですか?毎日顔見てて何あいさつするんです、あ、ちょっと、アデル様待って」
ジョッシュさんを引き連れてグラナダ様のとこまで行ったのはなんとなく覚えてる。
グラナダ様は隣の領のヒックマイン伯爵と随分長く話し込んでてつまらなかったのも覚えてる。
そんな気持ちが爆発したのか、後から聞いたら、僕はたいそう絡んだらしい…
「グラナダさま~♡あいさつ終わりましたか~?もう僕のことほっといてはくしゃくたちとばっか、僕泣いちゃう」
「アデル…酔っているのか?」
「酔ってませんよ、そーやって誤魔化そうったってダメですならね。グラナダ様!ぼくとヒックマインのご当主、どっちが大事なの~わあぁぁん」
「絡み酒か、面倒な。誰だ!アデルに飲ませたの、あっ、コラ」
「面倒って言った!グラナダ様のばかっ!うそっ!グラナダ様~すきすき大好き~♡グラナダ様も言って!」
「アデル…嬉しいが人前で撫で回すでない。ったく、好きだとも、決まっておる」
「どこが好き?100個言って!」
「それは二人きりで朝まででも言ってやるから」
「言えないの!うわぁぁぁん」
「………ジョッシュ、なんとかしろ」
「ここで振る!」
「ダーリン!ちゅーして!」ぶっちゅぅぅ…どん!
「アデル?」
「うう、吐く…」
「ジョッシュ!何か持て!」
「アデル様こっち、あぁっ、ぎゃぁぁぁ!!」
「目を覚まして二回戦に突入してたら、こいつの叫び声が聞こえて」
「うん」
「汚物まみれのこいつと、アンデッドみたいな、アデル様が居て」
「言わないで」
「なんでだか閣下に「何故飲ませた!」ってとばっちり受けて」
「スミマセン」
「いやはや、なんと仲が良いことかと感心しておったのですよ」
「ヒックマイン伯爵!」
「私などにヤキモチ妬くとは、奥方様はなんともお可愛らしい」
「その節は本当にごめんなさい…穴があったら入りたい」
「いえいえ、また春になったら我が領へも遊びにいらしてくださいね」
二つ返事で約束をしてグラナダ様の姿を探す。
みんなが酔えると言うことは、平和であると言うことなわけで。
「グラナダ様ー!」
ダッシュして飛び付く僕を軽々と抱き抱えてくれるグラナダ様と見せつけるようなキスをして……今年の新年会も無事過ぎて行った事を心から幸せに思うのだった。
それ以外にも食べきれない程の料理やつまみの数々に頭がおかしいぐらいのお酒を用意して、今日はバーガンディの新年会。大きなホールに所狭しと人が溢れ賑やかな宴がはじまった。
アベニアとラフは、朝から発動した転移陣でカマーフィールドへと出かけて行った。今から2ヶ月、寒さのピークを過ぎるまでは温暖なカマーフィールドで過ごすのだ。
昔は1ヶ月くらいだったのに、もっともっととねだるアビーに根負けして年々延びていったらこうなった。
バーガンディの冬は厳しく外ではとても遊べない。
言葉より先に身体が動くアビーにはバーガンディの冬は退屈過ぎて可哀想だから何年か前からそうしてるのだ。孫の相手を存分に出来てお母様も大満足だ。
「ジョッシュさん飲んでるー?」
「こいつはすでに出来上がってます。アデル様は今日も飲まないんですか?」
「あー、グラナダ様から禁止令出てるから」
「そうでしたね」
マカフィーさんが遠い目をして過去の出来事を思い出す。
あぁ、あの時はジョシュさんにも散々迷惑かけたっけ。
そう、あれは確か3年前の事だった……
「グラナダ様ー、新年会とかしましょうよ。」
「新年会…響きでどんなものかは想像つくが…必要なのか?それは。」
「必要です。だってさっきから次から次へと年始めの挨拶だってやって来て、その度に呼び出されて落ち着かない!こんなのが1月いっぱい続くんでしょう?一度に集めて一気に挨拶して、それで良いことにしましょうよ」
「ふむ、一理あるな。よかろう、トマスに手配させる」
こうして1月も半ばの、日本だったらお粥を食べる日に、その新年会は開催された。
バーガンディ領主のグラナダ様のところには挨拶したい関係者各位で長蛇の列が出来ている。
そして僕の目の前にも…
しまった…僕はバーガンディ広報部のトップだった。
「アデル様、今年こそ我がマスキュリアンに第四部隊を派遣していただかねば。ささ一杯」
「あまり飲めないから少しだけね。うーん派遣したいのは山々だけどスケジュールがねぇ」
「アデル様、さーさー、私の酒もぜひ。競馬場にうちの商会から出店する件はどうなっておりますかな?ぜひとも一枚かませていただきたいものですわい」
「その件はセオドアさんに。あー、それぐらいで…ストップストップ、あぁ……」
イケメンからは程遠いおっさん達のノミニュケーションにつかまって、たとえ手にしているのがお猪口サイズのコップでも塵も積もれば山となって…………
「ジョッシュさーん、飲んでる~?あれぇ~マッキーは?相棒のマッキーはどこなん?」
「げっ、アデル様相当酔ってます?マッキーって誰、ああ、マカフィーのことか。あいつならとっくに潰れて寝てますよ。それよりコップかしてください。あーあー、飲めない癖にこんなに飲んで」
「イーからほら、ダーリンのとこ行くよ。ぼくも新年のあいさつしなくちゃ~」
「ダーリンって…閣下の事ですか?毎日顔見てて何あいさつするんです、あ、ちょっと、アデル様待って」
ジョッシュさんを引き連れてグラナダ様のとこまで行ったのはなんとなく覚えてる。
グラナダ様は隣の領のヒックマイン伯爵と随分長く話し込んでてつまらなかったのも覚えてる。
そんな気持ちが爆発したのか、後から聞いたら、僕はたいそう絡んだらしい…
「グラナダさま~♡あいさつ終わりましたか~?もう僕のことほっといてはくしゃくたちとばっか、僕泣いちゃう」
「アデル…酔っているのか?」
「酔ってませんよ、そーやって誤魔化そうったってダメですならね。グラナダ様!ぼくとヒックマインのご当主、どっちが大事なの~わあぁぁん」
「絡み酒か、面倒な。誰だ!アデルに飲ませたの、あっ、コラ」
「面倒って言った!グラナダ様のばかっ!うそっ!グラナダ様~すきすき大好き~♡グラナダ様も言って!」
「アデル…嬉しいが人前で撫で回すでない。ったく、好きだとも、決まっておる」
「どこが好き?100個言って!」
「それは二人きりで朝まででも言ってやるから」
「言えないの!うわぁぁぁん」
「………ジョッシュ、なんとかしろ」
「ここで振る!」
「ダーリン!ちゅーして!」ぶっちゅぅぅ…どん!
「アデル?」
「うう、吐く…」
「ジョッシュ!何か持て!」
「アデル様こっち、あぁっ、ぎゃぁぁぁ!!」
「目を覚まして二回戦に突入してたら、こいつの叫び声が聞こえて」
「うん」
「汚物まみれのこいつと、アンデッドみたいな、アデル様が居て」
「言わないで」
「なんでだか閣下に「何故飲ませた!」ってとばっちり受けて」
「スミマセン」
「いやはや、なんと仲が良いことかと感心しておったのですよ」
「ヒックマイン伯爵!」
「私などにヤキモチ妬くとは、奥方様はなんともお可愛らしい」
「その節は本当にごめんなさい…穴があったら入りたい」
「いえいえ、また春になったら我が領へも遊びにいらしてくださいね」
二つ返事で約束をしてグラナダ様の姿を探す。
みんなが酔えると言うことは、平和であると言うことなわけで。
「グラナダ様ー!」
ダッシュして飛び付く僕を軽々と抱き抱えてくれるグラナダ様と見せつけるようなキスをして……今年の新年会も無事過ぎて行った事を心から幸せに思うのだった。
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