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決断の時編

何でもはわからない

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今日もアベニアのなぜなぜ攻撃が止まらない…

「どーちてー?どーちてかあたまはちったいの?」
「どーちてじょすのかみはみどりなの?」
「どーちてまふぃはすわらないの?」
「どーちてとうたまはかあたまのてにぎにぎちてるの?」

「うう…だれか…助けて…」

「どーちてそらにしろいのがあるの?」
「どーちてとりはあるかないの?」
「どーちて!ねぇどーちて!かあたまおちえて!」

「やめて…お願い…」

「あっあっ、アベニア様。ラフとあちらへ行きましょう?タカ舎で鳥をみせてもらいましょうね」
「頼んだぞラフよ。アベニアが聡明なのは嬉しい事だが身重のアデルが参っておる。」

大人が…大人が何でも知ってると思ったら大間違いなんだから!

2歳を過ぎたアベニアは言葉も行動も普通の子より成長が早いみたい。
バーガンディの後継としては良い事なんだろうけど全部に付き合うのはとっても大変。

「そうは言いますが、アデル様にそっくりですよ?思い立ったらすぐ動くとことか、好奇心旺盛なとことか」
「う~ん、あの激しいとこは閣下に似たんでしょうかね?」
「ほっほ、末頼もしい事ではございませぬか」

「とにかく少しお昼寝させて。夕べもアビーが乱入して来てほとんど眠れなかったんだから」
「独り寝が嫌とは…ううむ、母と眠りたいのはわかるが、これも教育であるからな」



みんなのご厚意に甘えて久しぶりに離宮の部屋で眠ることにした。ここならそうそう追ってはこない。
ごめんねアビー。ちょっとだけ…むにゃ…

少し眠って目が覚めた。うん、けっこう頭がスッキリした。
2時間ぐらい眠ってたのかな?陽はまだ落ちてない。

こんな静かな時間は久しぶりだ。せっかくだから時空間の魔法について考えてみる。

あのときグラナダ様は、鏡は身体がないから過去を視れないって言ったけど、なら身体の残ってる僕には過去、いや元の世界が覗けるってことだよね?

でもそれには聖魔力が必要で…

聖人様の聖魔法…。それはお願いしたら分けてもらえるようなそんな簡単なもんじゃない。
生誕珠だって、乱発を防ぐため高額なお布施をって言う事になってるけど、やっぱりそれだけじゃなくて、聖人様の負担を考えてっていう部分もあるんだよ。
それほどの神聖力を注がなければ奇跡なんて起こせっこない。

聖魔法…聖魔法…僕がどれほど魔法の才に恵まれいてもさすがに発現出来ない聖魔法…
おかしな属性なら持っているのに…おのれ…どうしていいか分からない。

急ぐわけではないけれど、出来たら今のうちに行使したい。
何故なら今の僕にはお腹の中に生誕珠がある。
この子がここに居る限り僕は絶対にあちらの世界には飛ばされないはず。
こちらのものは何一つ持ち込めないんだから。

ちょっと覗き見るだけって決めてるけど万が一があったら困るから…
これは僕の心の保険。



けっしてあちらに帰りたいなんて思わないよう…




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