180 / 247
決断の時編
この面子
しおりを挟む
通信用の魔石がチカチカ光る。このきれいな藍色はお父様の魔力だ。
「どうされたカマーフィールド卿。」
「これはこれは辺境伯閣下、少々話がありまして今からそちらへ向かってもかまいませぬか?」
「お父様、こんな時間にどうされたんですか?執務の時間は過ぎてますよ?」
「おお、アデルや。今日は仕事の話では無いのだ。丁度良い、お前も一緒にそこに居なさい」
転移陣の前まで来ると既に発動中になってた。どうしたんだろう?お父様がこんなにあわてるなんて。
カッと青い光の柱がたち、その中にはお父様と…トールキンお兄様⁉ あ、ローランさんも一緒に来てる。
「ほう?親子で来訪とは。なるほど、こうして並ぶと良く似ている」
「ホントだ。でもお兄様は全体の雰囲気がこう…お母様っぽい…」
「アデルまで何を…ああ、まぁ、こうして父上と共にお前の前に立つのは何年振りか…」
「アデルや、それよりアベニアはどこだね」
「お父様ったら、それが要件ですか?いいですよ、今呼んできますね」
「父上…」「お義父様っ」
僕とグラナダ様は思わず顔を見合わせた。今お義父様って言ったよねーーー!
トールキンお兄様とローランさんは無事結婚が決まったそうだ。いや、実にめでたい。
ローランさんは悪い先輩たちに冷やかされている。
ローランさんは最後まで自分が平民であることを理由に正妻の座はいらないと言い張ったらしい。
そこでお父様に最後の決定権を託したところ、反対どころか大歓迎で話がまとまった。
「何しろ我が家には不本意ながら権威が集中しておりますのでな。平民からの嫁…やっと、やっと…均衡が…うう…どれほど待ち望んだことか、王族でない…普通の相手を…うう…待ちに待った普通の…」
「父上…おいたわしい…ワイアットが王妃になるなんて事、誰にも予測つきませんでしたからね…」
「そうですよ!あの日神殿でお兄様と陛下を見つけた僕とグラナダ様がどれほど驚いたことか」
「父上、これで多少は口さがない貴族連中の溜飲も下がりましょうか?」
「そうあってほしいものだ」
「これ以上胃薬頼みじゃぁ体に良くないですからね」
「ふっ、仲の良い家族だ」
目を細めてグラナダ様が僕たちをみていた。
「グラナダ様とアベニアも、いつかこんなふうになるんですよ。愚痴を聞いたりこぼしたり。」
今気づいた。みたいな顔しないで欲しいな。仲の良い家族…グラナダ様にとって家族自体が他人事だったんだろうけど…今は当事者ですからね。
「そうか。ならば一人数が足りぬな。父と兄と弟と。」
すごく優しく言ったけど、これは二人目の催促ですね。グラナダ様は僕に似た子をあきらめてはいないらしい。
「言いましたね?望むところですよ。」
「どうされたカマーフィールド卿。」
「これはこれは辺境伯閣下、少々話がありまして今からそちらへ向かってもかまいませぬか?」
「お父様、こんな時間にどうされたんですか?執務の時間は過ぎてますよ?」
「おお、アデルや。今日は仕事の話では無いのだ。丁度良い、お前も一緒にそこに居なさい」
転移陣の前まで来ると既に発動中になってた。どうしたんだろう?お父様がこんなにあわてるなんて。
カッと青い光の柱がたち、その中にはお父様と…トールキンお兄様⁉ あ、ローランさんも一緒に来てる。
「ほう?親子で来訪とは。なるほど、こうして並ぶと良く似ている」
「ホントだ。でもお兄様は全体の雰囲気がこう…お母様っぽい…」
「アデルまで何を…ああ、まぁ、こうして父上と共にお前の前に立つのは何年振りか…」
「アデルや、それよりアベニアはどこだね」
「お父様ったら、それが要件ですか?いいですよ、今呼んできますね」
「父上…」「お義父様っ」
僕とグラナダ様は思わず顔を見合わせた。今お義父様って言ったよねーーー!
トールキンお兄様とローランさんは無事結婚が決まったそうだ。いや、実にめでたい。
ローランさんは悪い先輩たちに冷やかされている。
ローランさんは最後まで自分が平民であることを理由に正妻の座はいらないと言い張ったらしい。
そこでお父様に最後の決定権を託したところ、反対どころか大歓迎で話がまとまった。
「何しろ我が家には不本意ながら権威が集中しておりますのでな。平民からの嫁…やっと、やっと…均衡が…うう…どれほど待ち望んだことか、王族でない…普通の相手を…うう…待ちに待った普通の…」
「父上…おいたわしい…ワイアットが王妃になるなんて事、誰にも予測つきませんでしたからね…」
「そうですよ!あの日神殿でお兄様と陛下を見つけた僕とグラナダ様がどれほど驚いたことか」
「父上、これで多少は口さがない貴族連中の溜飲も下がりましょうか?」
「そうあってほしいものだ」
「これ以上胃薬頼みじゃぁ体に良くないですからね」
「ふっ、仲の良い家族だ」
目を細めてグラナダ様が僕たちをみていた。
「グラナダ様とアベニアも、いつかこんなふうになるんですよ。愚痴を聞いたりこぼしたり。」
今気づいた。みたいな顔しないで欲しいな。仲の良い家族…グラナダ様にとって家族自体が他人事だったんだろうけど…今は当事者ですからね。
「そうか。ならば一人数が足りぬな。父と兄と弟と。」
すごく優しく言ったけど、これは二人目の催促ですね。グラナダ様は僕に似た子をあきらめてはいないらしい。
「言いましたね?望むところですよ。」
184
お気に入りに追加
3,259
あなたにおすすめの小説
【BL】こんな恋、したくなかった
のらねことすていぬ
BL
【貴族×貴族。明るい人気者×暗め引っ込み思案。】
人付き合いの苦手なルース(受け)は、貴族学校に居た頃からずっと人気者のギルバート(攻め)に恋をしていた。だけど彼はきらきらと輝く人気者で、この恋心はそっと己の中で葬り去るつもりだった。
ある日、彼が成り上がりの令嬢に恋をしていると聞く。苦しい気持ちを抑えつつ、二人の恋を応援しようとするルースだが……。
※ご都合主義、ハッピーエンド
悪役令息に憑依したけど、別に処刑されても構いません
ちあ
BL
元受験生の俺は、「愛と光の魔法」というBLゲームの悪役令息シアン・シュドレーに憑依(?)してしまう。彼は、主人公殺人未遂で処刑される運命。
俺はそんな運命に立ち向かうでもなく、なるようになる精神で死を待つことを決める。
舞台は、魔法学園。
悪役としての務めを放棄し静かに余生を過ごしたい俺だが、謎の隣国の特待生イブリン・ヴァレントに気に入られる。
なんだかんだでゲームのシナリオに巻き込まれる俺は何度もイブリンに救われ…?
※旧タイトル『愛と死ね』
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
ある日、人気俳優の弟になりました。
樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる