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決断の時編

この面子

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通信用の魔石がチカチカ光る。このきれいな藍色はお父様の魔力だ。


「どうされたカマーフィールド卿。」
「これはこれは辺境伯閣下、少々話がありまして今からそちらへ向かってもかまいませぬか?」
「お父様、こんな時間にどうされたんですか?執務の時間は過ぎてますよ?」
「おお、アデルや。今日は仕事の話では無いのだ。丁度良い、お前も一緒にそこに居なさい」


転移陣の前まで来ると既に発動中になってた。どうしたんだろう?お父様がこんなにあわてるなんて。
カッと青い光の柱がたち、その中にはお父様と…トールキンお兄様⁉ あ、ローランさんも一緒に来てる。

「ほう?親子で来訪とは。なるほど、こうして並ぶと良く似ている」
「ホントだ。でもお兄様は全体の雰囲気がこう…お母様っぽい…」
「アデルまで何を…ああ、まぁ、こうして父上と共にお前の前に立つのは何年振りか…」

「アデルや、それよりアベニアはどこだね」
「お父様ったら、それが要件ですか?いいですよ、今呼んできますね」
「父上…」「お義父様っ」

僕とグラナダ様は思わず顔を見合わせた。今お義父様って言ったよねーーー!

トールキンお兄様とローランさんは無事結婚が決まったそうだ。いや、実にめでたい。
ローランさんは悪い先輩たちに冷やかされている。
ローランさんは最後まで自分が平民であることを理由に正妻の座はいらないと言い張ったらしい。
そこでお父様に最後の決定権を託したところ、反対どころか大歓迎で話がまとまった。

「何しろ我が家には不本意ながら権威が集中しておりますのでな。平民からの嫁…やっと、やっと…均衡が…うう…どれほど待ち望んだことか、王族でない…普通の相手を…うう…待ちに待った普通の…」

「父上…おいたわしい…ワイアットが王妃になるなんて事、誰にも予測つきませんでしたからね…」
「そうですよ!あの日神殿でお兄様と陛下を見つけた僕とグラナダ様がどれほど驚いたことか」
「父上、これで多少は口さがない貴族連中の溜飲も下がりましょうか?」
「そうあってほしいものだ」
「これ以上胃薬ポーション頼みじゃぁ体に良くないですからね」



「ふっ、仲の良い家族だ」

目を細めてグラナダ様が僕たちをみていた。

「グラナダ様とアベニアも、いつかこんなふうになるんですよ。愚痴を聞いたりこぼしたり。」

今気づいた。みたいな顔しないで欲しいな。仲の良い家族…グラナダ様にとって家族自体が他人事だったんだろうけど…今は当事者ですからね。

「そうか。ならば一人数が足りぬな。父と兄と弟と。」

すごく優しく言ったけど、これは二人目の催促ですね。グラナダ様は僕に似た子をあきらめてはいないらしい。




「言いましたね?望むところですよ。」





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