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決断の時編

はじめての夜遊び

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王宮に戻り、荷をまとめるともうそんなに時間も残ってない。

「あ~あ、もっとゆっくりしたたかったのに。」
「これから合唱団の計画を詰めるのであろう?向こうでゆったり過ごせばよい」

「こら、アデル、そんな顔しないで閣下のいう事をよく聞くんだよ。アベニアにもっと毅然とした姿を見せないと」
「昔からお前はデラの小言からも逃げ出してばかりいたが…変わらぬのだな、そういう所は。」

アデルは何故だか魔法のレベル上げたく無かったみたい。

そんな軽い感じであっという間にバーガンディへと戻ってきた。
陸路で帰ってくる皆は必然的に今回も休暇のようなものだ。道中の小領地もちょっとした盛り場が出来つつある。
西回りでバーガンディを目指す訪問者たちが立ち寄るので、おまけの経済効果になってるんだって。
ジョッシュさんには悪い遊びをしないよう、よく言い聞かせておいた。多分マカフィーさんが見張るだろう。


「トマスさ~ん。会いたかった~」
「アデル様。聞きましたぞ、魔力枯渇で倒れられたと。全く…母たるアデル様に何かあればアベニア様がお嘆きになること、決してお忘れになられてはいけませぬぞ」
「は、はい…。ここでもかっ。そっ、それよりアベニアに軽い食事をお願いしてもいい?」

アベニアは近々ミルクを卒業予定。ちゃんとしたものを食べたがる。いまからやんちゃの気配がする…




翌日は屋敷の中で誰を合唱団の責任者にするのだとか、どこに宿舎を立てるのかだとか、隊長たちにも相談に乗ってもらってバタバタと過ごす。
そうしたらその晩、グラナダ様から夜のお誘いが。
夜のお誘いって言っても…そういうんじゃないよ。言葉通り夜のバーガンディを出歩かないかって。

「ええっ!いいんですか?今まで暗くなってからの外出なんて護衛連れでもダメだって言ってたのに!」
「…少しお前の様子が気になってな。隊長連中も一緒であれば問題なかろう。気が晴れると良いのだが」
「…すごく嬉しい…大好きグラナダ様♡」

アラタとして町に住んでた時でも、さすがに夜は出歩かなかったから…こっちに来てから初めての夜遊びかもしれない…気分爆上がりー!







「どこ行くんですか?新しくできたとこ?楽しみ~」
「うむ、今までと違い冒険者以外の訪問者も入ってきておるからな。小奇麗な食堂や茶房も出来てきておる。」
「小奇麗な食堂…レストランですね。うわぁ、何食べさせてくれるんだろう?ほかには?ほかには?」

新しく整備した旅行者向けの通り道は今までのバーガンディでは考えられないほど賑やかだ。
また瘴気が町に溜まってこないよう、森全体をを封じ込める強力な結界を、セイラム師団長を筆頭に急ピッチで開発中だ。


久しぶりの夜の街にかなり気分が高揚する。魔法石を灯した街灯がかなりそれっぽい。
通りの途中でオカリナを吹く吟遊詩人を発見!こ、この異世界に来てから初めてみたーーー!
グラナダ様と並んで聴き入ると、どうもスタンピードのお話みたい。
ひぇぇっ!グラナダ様の英雄譚だ!
人が集まってくる前にこそこそとその場を離れたけど…最後まで聴きたかったな…残念。


きちんとした男の人たちが集まるお酒とちょとしたカードゲームを楽しむお店や、美人なおねぇさんが給仕をするお店など、今までのバーガンディにはなかったお店が増えている!えっ⁉楽しい!
だけど、おねぇさんのいるお店はグラナダ様からNGが出て覗かせてもらえなかった。

「お昼間なら来てもいいんですか?別にえっちなお店じゃないんでしょう?」
「えっちとは…?普通の酒場だが…お前を酒場に入れたくはないし、少々あの衣装は刺激が強い」

僕の好きな女性アイドルグループなんてこんなもんどころじゃないのに…

「あっ、そうだ。メイドさんの服着た女性が給仕する茶房とかって……どうですか?」





めっちゃ険しい顔された…







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