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エンタメ充実編

助けてっ!

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迷彩の石碑を何度も経てようやくその場所に到着した。厳重に隠せば隠すほど悪いことしてるって宣言してるみたい。

細い洞窟のような道を進み灯りのともる部屋へ足を踏み入れると、そこには…たくさんのビスクドールが飾られた薄気味悪い空間が広がっていた…

僕は頭を抱えてうずくまった。昔の人形って…どうしてこう…こ、怖いよ……動いたりしないよね…?

「さぁこの椅子にかけて?君のためにあの時特注した記念の椅子だよ。出来上がりを待たず君を奪われてしまったけど…まぁいい、こうして14年間の悲願を叶えられた」

言われたままに椅子に腰かけるけど…怨念こもってそうでちょっと嫌だ。僕が座ったのを確認すると奴は何も無いかに思われた岩肌から、溶け込んだ隠し扉を出現させどこからか一人の子供を連れてきた。
「…何する気…?」

「君が素直な良い子になるように今からこの子供を鞭打つからね。その目でよ~く見ておくんだよ。君が反抗的な態度をとればとるほど君の代わりに誰かが傷つく…フハハ…思い出したかい?あの時もこうやって君に見せてあげただろう?ちょっとしたショーさ。泣き叫ぶ君はほんとうに可愛かった…」

「し、ショーとか……ふ、ふっざけんな!エンタメは人を楽しませてなんぼなんだよっ!もういい!これで十分だ!マカフィーさんっ!!」

僕の言葉で扉を蹴破って押し入った御者に扮したマカフィーさん。少しの格闘のすえ後ろからパーバートを羽交い絞めにする。拘束の魔法を発動して身動き一つとらせない。
捕まったはずがにニヤニヤとするパーバートに嫌な気配を感じ、隠し扉のあった場所へ視線を向ける。
…扉が消えている!ジョッシュさんが子供を救助に向かったはずの場所には岩肌しか見えない⁉

「ジョッシュさん!どうしたの⁉なんで出てこないの⁉返事をしてよ、どこ?ジョッシュさん!」
「馬鹿め!その部屋は私以外の者が入れば密閉されるようになっているんだ。どうあがいてもそこからは出れないのさ。そのうち息も出来なくなるだろう。フハハハハ、子供共々ここで死ぬがいい!それが嫌ならこの手を放せ!」
「こっ、この…うぅ…離してマカフィーさん…」
「なりません!ジョッシュは土魔法の使い手……きっと大丈「子供たちもいるんだよっ!離してっ!」」


「わかったかい。君は私の生き人形になると決まっているんだよ。さぁ行こう、なに、ラクンの屋敷に帰らずとも私にはいざという時のために持たされた、この呼び戻しの転移陣がある。合図を送れば、向こう、マイストリー側から呼び戻してもらえるのさ。そして合図は…とらえた君の姿を見せることさ」

パーバートが僕の腕をとろうと手を伸ばす。捕まったら終わりだ。一瞬で連れていかれる…。だけどいざという時の備えなら僕にだってある。

カチリとブレスレットの石をずらし、小さな魔石に込めた付与を発動させる。アンチマジックの魔具は着用者の魔力を発動させないもの。なら魔石から発動される魔力には関係ないよね。
お母様からのアンティークな装飾品はリメイクしてグラナダ様とペアのブレスレットにしたんだけど…その時思い付きで、僕はアラタに、グラナダ様は茶髪の黒目になるよう…ちっちゃなメタモルを付与しておいたんだ。たまには気分を変えてデートしようねって。これにはグラナダ様も大喜びだった…。




パーバートが呼び戻しの陣を展開するよりも先に僕の姿が変わる。

「な、なんだその姿は!く、黒く重い髪…そのあっさりした顔…黒い瞳…闇のようだ…私の可憐なアデル君はどこだ!どこへやった!私の生き人形はどこだー!」

半狂乱でパーバートが叫ぶ…だいぶん失礼なことを言われた気がする…あっさりした顔って…

「お前のものになった覚えはないけどねっ…アデルが欲しけりゃ先に扉を開けろ!このままならマイストリーにだって呼び戻してはもらえないね?残念でした。さあ早く…その岩を開けろっ!」

「そうか…どうしても私の物にはならないか…ククク…ならばこうだ!皆死ね!死んでしまえ!手に入らないのならいっそ無かった事にしてしまおうか?クハハハハハ…」

狂ったようにパーバートが土魔法を暴走させる。マカフィーさんが身を挺して僕と子供をかばってくれる。ジョッシュさん達がどこにいるかわからないから思い切り魔法を使えない。だけど僕と子供たちの周囲に小さな風を起こして空間を作ってくれている。
「アデル様…今度こそは絶対にお助けします。この命に代えても必ず」

マカフィーさんの背中に土が積もっていく…いやだいやだ…他の子どもは?ジョッシュさんはどうなった?





「いや、嫌だ…だめぇ!助けてっ!グラナダ様ーー!」









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