73 / 247
王位交代開始編
カウントダウンフェス ー王宮①ー 番外
しおりを挟む
王宮では思いもよらぬ事態に多くの官吏が慌てふためいていた。突如起こった王国内各地からの同時多発的な叛乱。そして王都内で次から次へと起こる市民の暴動。
絶対君主であるこの我にたてつくとは、どいつもこいつも一体なんと身の程知らずな。
「陛下!お早く安全な場所までお退きください!この場は私めが指揮をとりますゆえ」
「宰相、城の守りはどうなっておる!」
「王宮の守りは近衛隊と精鋭の聖騎士団によって固められております。」
「足りぬ、足りぬわ」
「第一第二の騎士団は王都で起きた暴動の鎮圧へ。第三から第六までの騎士団はここ両三日より発生しておる各地の叛乱を制圧するため既に都を出発しております。」
「ええい、もうよい!我の守りに近衛隊を!居室に術師を集めよ。聖騎士団はここで反逆者共を捕らえるのだ。死んでも構わん!鼠一匹通すでないぞ!」
街並みからは立ち上がったいくつもの黒煙がうかがえる。いったいどれほどの規模の暴動が起こっているのか。
たった一、二部隊の導入でこの騒動を鎮められるのか。
一体仕掛け人は誰なのか。
王都が手薄になっているこの状況下で暴動が起きたのは偶然なのか?
「大変です陛下!宰相殿!たった今この叛乱を先導している者の正体が!」
「誰であった!もしや王弟グラナダ様か⁉」
「それが…ク、クリフト殿下でございます…」
「馬鹿なっ!あの軟弱なクリフトだと!」
階上から臨む開け放たれたホール。その真正面中央に武具に身を固めた未だ大人になりきらぬ皇太子の姿があった。
「我らはこれ以上の弾圧を良しとしない!王による暴挙!利己的な方策や徴兵、その側近による身勝手な徴税と着服、いずれも許しはしない!全ての責は王に有り!未だ王としての誇りあらば潔く譲位なされよ!」
魔法により拡大された成人したての高い声。
このような青二才にこれだけの大それたことなど出来ようはずもない。そそのかした者が必ず居る。
狙うは皇太子ではない。その者だ。
皇太子率いる軍勢が一気に王城内へ雪崩れ込んでくる。
「殿下の近くに裏で操るものが必ず居るはずだ!その者を探すのだ!そして殺せ!」
宰相の焦りを含んだ叫び。争いは拮抗する。何故だ!十分な数でないとはいえ精鋭の聖騎士団。対して奴らは寄せ集めの急増部隊のはず。それがまるで歴戦の戦士のようではないか。
だがその時、軍勢に紛れ皇太子を守り攻撃を交しながらシールドをかけ続ける一人の男の姿が見えた。
あれはカマーフィールドが連れて参った息子ではないか!ぐうう…魔法の才以外なんの役にも立たぬ愚鈍な男だと思っておったが手計おったか!
「奴だ!指揮者は奴だ!奴をやれ!」
死角から放たれるファイアーアロー。殺気を察し直ぐに詠唱を唱えようとするが、直前までシールドをかけ続けていた奴の身体は一瞬反応が遅れた。
直にケリをつけてくれるわ!
絶対君主であるこの我にたてつくとは、どいつもこいつも一体なんと身の程知らずな。
「陛下!お早く安全な場所までお退きください!この場は私めが指揮をとりますゆえ」
「宰相、城の守りはどうなっておる!」
「王宮の守りは近衛隊と精鋭の聖騎士団によって固められております。」
「足りぬ、足りぬわ」
「第一第二の騎士団は王都で起きた暴動の鎮圧へ。第三から第六までの騎士団はここ両三日より発生しておる各地の叛乱を制圧するため既に都を出発しております。」
「ええい、もうよい!我の守りに近衛隊を!居室に術師を集めよ。聖騎士団はここで反逆者共を捕らえるのだ。死んでも構わん!鼠一匹通すでないぞ!」
街並みからは立ち上がったいくつもの黒煙がうかがえる。いったいどれほどの規模の暴動が起こっているのか。
たった一、二部隊の導入でこの騒動を鎮められるのか。
一体仕掛け人は誰なのか。
王都が手薄になっているこの状況下で暴動が起きたのは偶然なのか?
「大変です陛下!宰相殿!たった今この叛乱を先導している者の正体が!」
「誰であった!もしや王弟グラナダ様か⁉」
「それが…ク、クリフト殿下でございます…」
「馬鹿なっ!あの軟弱なクリフトだと!」
階上から臨む開け放たれたホール。その真正面中央に武具に身を固めた未だ大人になりきらぬ皇太子の姿があった。
「我らはこれ以上の弾圧を良しとしない!王による暴挙!利己的な方策や徴兵、その側近による身勝手な徴税と着服、いずれも許しはしない!全ての責は王に有り!未だ王としての誇りあらば潔く譲位なされよ!」
魔法により拡大された成人したての高い声。
このような青二才にこれだけの大それたことなど出来ようはずもない。そそのかした者が必ず居る。
狙うは皇太子ではない。その者だ。
皇太子率いる軍勢が一気に王城内へ雪崩れ込んでくる。
「殿下の近くに裏で操るものが必ず居るはずだ!その者を探すのだ!そして殺せ!」
宰相の焦りを含んだ叫び。争いは拮抗する。何故だ!十分な数でないとはいえ精鋭の聖騎士団。対して奴らは寄せ集めの急増部隊のはず。それがまるで歴戦の戦士のようではないか。
だがその時、軍勢に紛れ皇太子を守り攻撃を交しながらシールドをかけ続ける一人の男の姿が見えた。
あれはカマーフィールドが連れて参った息子ではないか!ぐうう…魔法の才以外なんの役にも立たぬ愚鈍な男だと思っておったが手計おったか!
「奴だ!指揮者は奴だ!奴をやれ!」
死角から放たれるファイアーアロー。殺気を察し直ぐに詠唱を唱えようとするが、直前までシールドをかけ続けていた奴の身体は一瞬反応が遅れた。
直にケリをつけてくれるわ!
242
お気に入りに追加
3,259
あなたにおすすめの小説
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?
み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました!
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜
7ズ
BL
異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。
攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。
そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。
しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。
彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。
どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。
ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。
異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。
果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──?
ーーーーーーーーーーーー
狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛
悪役令息に憑依したけど、別に処刑されても構いません
ちあ
BL
元受験生の俺は、「愛と光の魔法」というBLゲームの悪役令息シアン・シュドレーに憑依(?)してしまう。彼は、主人公殺人未遂で処刑される運命。
俺はそんな運命に立ち向かうでもなく、なるようになる精神で死を待つことを決める。
舞台は、魔法学園。
悪役としての務めを放棄し静かに余生を過ごしたい俺だが、謎の隣国の特待生イブリン・ヴァレントに気に入られる。
なんだかんだでゲームのシナリオに巻き込まれる俺は何度もイブリンに救われ…?
※旧タイトル『愛と死ね』
天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します
バナナ男さん
BL
享年59歳、ハッピーエンドで人生の幕を閉じた大樹は、生前の善行から神様の幹部候補に選ばれたがそれを断りあの世に行く事を望んだ。
しかし自分の人生を変えてくれた「アルバード英雄記」がこれから起こる未来を綴った予言書であった事を知り、その本の主人公である呪われた英雄<レオンハルト>を助けたいと望むも、運命を変えることはできないときっぱり告げられてしまう。
しかしそれでも自分なりのハッピーエンドを目指すと誓い転生ーーーしかし平凡の代名詞である大樹が転生したのは平凡な平民ではなく・・?
少年マンガとBLの半々の作品が読みたくてコツコツ書いていたら物凄い量になってしまったため投稿してみることにしました。
(後に)美形の英雄 ✕ (中身おじいちゃん)平凡、攻ヤンデレ注意です。
文章を書くことに関して素人ですので、変な言い回しや文章はソッと目を滑らして頂けると幸いです。
また歴史的な知識や出てくる施設などの設定も作者の無知ゆえの全てファンタジーのものだと思って下さい。
【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる