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王位交代開始編

沼にどっぷり

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「殿下にこれだけは聞きたかったんです。殿下の生誕珠ってどうやって賜ったんですか?あれって本当は夫夫で祈りをささげるんでしょ?殿下の正妃は女性でしたよね?」
「ああ、あれは、その、わからぬ、のだ…陛下に命を受け神殿には行ったが無駄な事だと思っていた…だが、神官長は私の生誕珠としてあれを奥からお持ちになられた。仕組みはわからぬが…深く考えることを私はやめていたのでね…」

お父様が難しい顔をしている…はっ!もしや陰謀の匂いが!

「ではっ、あのっ、その…」
「ふふっ、もうなんでも聞けば良いよ。アラタになら答えよう」

ぐっふ!メガヒット!よ、良かった~グラナダ様がここに居なくて~。

「妃殿下が愛人の子を孕もうとしたこと、ほんとになんとも思わなかったんですか?そもそも妃殿下は僕とグラナダ様の子を実子とすること賛成なんですか?」

「エネミアは…、あれは愛人と言う訳でも無かったと思うが…相手は…デボン侯爵家の遠縁にあたる者だよ。侯爵は王家に今以上の介入がしたいのだろうね。だが、侯爵は典範の内容をすべて知っているわけではない。いろいろと、そう思い違いをしていたのだろう。」

「王家の魔力に関してですな…」
「元老院ですぐに却下されると分かっていたから何も言わなかったのだ。面倒だからね。院に断りなく子を生せば陛下の意向の元すぐに排斥されることも分かっていた。初めから選択肢にすらなっていなかったのだよ。」

「で、殿下は…」
「私とエネミアは…私に生殖機能の問題が発覚してから一切睦合うこともなくなってしまった。エネミアはまだ年若く…ある意味気の毒だからね。慰めにでもなればいいとも思ったのだよ」

「…っすが殿下…なんてお優しい…でもその優しさはダメなやつです」
「そうだね今ならそう思うよ……連れて来られる子に対しては…陛下が後継としてお連れになればどのみち従うよりほかはない。もとより生育には携わらぬのだエネミアは。腹を痛めた子であっても乳母に引き渡してしまいなのだ。だが力の子は殊更大切にされるだろう。なにしろ陛下のお墨付きだ。私など眼中にない陛下は力の子が成人すればきっとすぐにでも譲位される…私を廃嫡してでもね。ならば気に入られておくに越したことはない、そう考えるだろうエネミアなら」

こわっ!王家こわ~!貴族こわ~!グラナダ様には絶対絶対王位には近づかないでもらおう…そう胸に誓いながら目の前の美麗な人身御供に心から詫びた。

「ハラスメント体質の王様に振り回されるグラナダ様と殿下がかわいそうです。グラナダ様と僕の赤ちゃんは渡さないことに決まってますけど、どっちみち王様をなんとかしないと犠牲者が増える一方です。ね、殿下、王国の明るい未来のためにあと少し踏ん張りましょうね。殿下の治世できっとすべてが好転します。王国を平和に導けるのは殿ですよ」

大事な事なので…めっちゃ強調しておいた。




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