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推し活満喫編
アデルの真実②グラナダ視点
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トマスが持ってきた何枚もの護符を並べる。
描かれた紋様は何種かあり紋様ごとに効果が違うのだろうと思われた。
しまった、どういった効果のあるものなのかさっぱりわからない。かといってむやみに試す気にはならない。
「旦那様、この護符は疲れをとると言っていたのを覚えております。紋様が牛にみえておかしかったものですからよく覚えております。旦那様の命に背いた罰としてこれは私が試すことにいたしましょう」
そう言うとトマスは1枚の護符を手に取った。そしてそれに魔力を流すと
「!」
トマスの肩や腰の周りを青い光が包んだ。
「こ、これは」
「どうした、どうなのだ?身体に異常はないか?」
「なんとも清涼感のある…おぉ、光の部分がスーっとしますな。なんと!重かった肩と腰が軽くなりましたぞ」
おなじ紋様の護符を興味深く手に取りごく微量の魔力を流す。
「これはっ!背中の痛みが消えていく…ふむ、スースーした清涼感は決まった現象なのだな。だがなかなか気持ちが良い」
こうなってくると他の護符の効果が気になる…かといって訳も分からす使うことは出来ない。
製作者に聞くしかないだろうか…いや、どの面下げて聞こうと言うのだ…どうする…
「こんなことならアデル様がいらっしゃるうちに詳しく伺っておくべきでしたな、考えが足りず情けないことです」
「アデル?まさかもう離宮には居ないと申すか。」
「旦那様が出ていくようにお申し付けになったではございませんか」
「いや、だが、カマーフィールド家からの迎えはおろか手紙すらきてはおらぬぞ、邸どころか領内にもだ、関所をくぐっておらぬ」
「トランクと手荷物を持ち歩いて邸をでたようで「いつだ⁉」」
「……旦那様に暇をつげられた翌朝に」
歩いて出て行っただと?馬鹿な!ありえない!いくら魔力レベルが高いといってもあの華奢な体では有事の際にはなにも出来ないだろう。一角兎ですら倒せるとは思えない…何を考えているのだ。うかつにもほどがある。
「何故そのような!誰か止めるものは居なかったのか!」
「皆、旦那様のお言いつけを守って黙って見送ったのでございますよ」
「離宮はどうなっている!」
「それがアデル様がお持ちになったのは手に持てるお荷物のみ。追って運び出されるかと思いそのままにしてございます」
私は部屋を飛び出した。
護衛のマカフィーは私とトマスのあまりの剣幕にうろたえながらも急いで後に続く。
いくらアデルへの不信が払拭されないとはいえ、死なせたいと思っているわけではないのだ。
あの細くて小さな体を演習場の壁に預け瞬きすらせず私を見つめていたアデルの姿を思い出し、どうか無事であってほしいとその身を案じた。
描かれた紋様は何種かあり紋様ごとに効果が違うのだろうと思われた。
しまった、どういった効果のあるものなのかさっぱりわからない。かといってむやみに試す気にはならない。
「旦那様、この護符は疲れをとると言っていたのを覚えております。紋様が牛にみえておかしかったものですからよく覚えております。旦那様の命に背いた罰としてこれは私が試すことにいたしましょう」
そう言うとトマスは1枚の護符を手に取った。そしてそれに魔力を流すと
「!」
トマスの肩や腰の周りを青い光が包んだ。
「こ、これは」
「どうした、どうなのだ?身体に異常はないか?」
「なんとも清涼感のある…おぉ、光の部分がスーっとしますな。なんと!重かった肩と腰が軽くなりましたぞ」
おなじ紋様の護符を興味深く手に取りごく微量の魔力を流す。
「これはっ!背中の痛みが消えていく…ふむ、スースーした清涼感は決まった現象なのだな。だがなかなか気持ちが良い」
こうなってくると他の護符の効果が気になる…かといって訳も分からす使うことは出来ない。
製作者に聞くしかないだろうか…いや、どの面下げて聞こうと言うのだ…どうする…
「こんなことならアデル様がいらっしゃるうちに詳しく伺っておくべきでしたな、考えが足りず情けないことです」
「アデル?まさかもう離宮には居ないと申すか。」
「旦那様が出ていくようにお申し付けになったではございませんか」
「いや、だが、カマーフィールド家からの迎えはおろか手紙すらきてはおらぬぞ、邸どころか領内にもだ、関所をくぐっておらぬ」
「トランクと手荷物を持ち歩いて邸をでたようで「いつだ⁉」」
「……旦那様に暇をつげられた翌朝に」
歩いて出て行っただと?馬鹿な!ありえない!いくら魔力レベルが高いといってもあの華奢な体では有事の際にはなにも出来ないだろう。一角兎ですら倒せるとは思えない…何を考えているのだ。うかつにもほどがある。
「何故そのような!誰か止めるものは居なかったのか!」
「皆、旦那様のお言いつけを守って黙って見送ったのでございますよ」
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「それがアデル様がお持ちになったのは手に持てるお荷物のみ。追って運び出されるかと思いそのままにしてございます」
私は部屋を飛び出した。
護衛のマカフィーは私とトマスのあまりの剣幕にうろたえながらも急いで後に続く。
いくらアデルへの不信が払拭されないとはいえ、死なせたいと思っているわけではないのだ。
あの細くて小さな体を演習場の壁に預け瞬きすらせず私を見つめていたアデルの姿を思い出し、どうか無事であってほしいとその身を案じた。
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