17 / 247
推し活満喫編
怒りのままに グラナダ視点
しおりを挟む
アデルがやってきてすでに4か月目だ。あいつはどういう神経してるんだ。相も変わらず私の周りをチョロチョロと。私のストレスはすでに限界だ!。
付与の護符とやらはすべてトマスに始末させている。魔力レベルが高いとはいえなんの肩書も認可ももたない子供の作った護符なぞ使えるわけがない。討伐は遊びではないのだぞ!
それともその行動すらなにかの意図があるのか?ではあの護符にはいったいどんな策略が隠されているのだ!
カマーフィールド家に伝言を送っている様子はない。王宮にもだ。一体どんな手段で連絡をとっている?
イライラと室内を歩きまわる私に誰も声をかけようとしない。私を落ち着かせようとトマスが濃い目のお茶を淹れた。
大隊長のグレゴリーがその大きな体を居心地悪そうに揺らしながら口を開いた。
「閣下、奥方様が王宮の間者というのは間違いのない事実なのでしょうか?」
「何故だ?何故そのようなことを?」
「いくら探しても王宮とのつながりを示すものは発見できてはおりませぬ。」
「証拠がなければそうではないと言い切れるわけではない。実際あの者はわが兄ドノヴァンの強い勧めがあってここに来たのだ。よくよく考えてみれば、あの欲深い兄がカマーフィールドの何年も積み上げられた税をすべて免除してまでアデルを送って寄こしたことが不自然に思える。そうではないというのならばグレゴリーよ、お前はアデルのあの行動にどのような正当性を見いだせると言うのだ」
「いえそういう訳では。ただ我がバーガンディの閉ざされた領土のなかでこの頑強な我ら討伐軍の目を、生え抜きの魔術師たちの目をかいくぐって王宮と接触しているというのはなかなかに考えづらいと思ったまでにございます。申し訳ございません。引き続き調べを続けます故」
「少しばかり容姿の整った子供だからといって目をくらまされぬよう気をつけよ」
私から発せられる瘴気を含んだ張り詰めた空気を払拭するため少し早いが部屋を出た。
するとそこには今日もまた、私の神経を逆なでる元凶アデルの姿が。
いつものように私の姿に慄きながら、それでも声をかけてこようとする。手にはポーションを持っている。しかし、その手はやはり小刻みに震えている。それほどの恐怖を隠してまでここに居続けるとは一体どのような密約を結んでいるのだ⁉
アデルの眼前を素通りし廊下を進むと私の背後でいつものようにトマスに話しかけている。先ほどのポーションを渡しているではないか?
それを見た瞬間訳もなく、この数か月抑え込んできた怒りが不快感が一気に噴き出した。
私はトマスの手にあるポーションを乱暴に奪い取りそのまま廊下に投げつけた。
粉々に割れるガラス瓶。アデルは恐怖に目を見開いている。
「ポーションだと⁉お前のような不審な人間の作った得体のしれないポーションなど飲めようはずもないだろう!もうよい!茶番はここで終わりだ!言え!一体お前は王に何を言い含められて来たのだ?そしてお前は何を得る?どれほどの見返りがあれば死ぬほど嫌な相手のもとに嫁いでこれるのだ!大した神経だ。儚げな顔をしてみせておきながらとんだ狐だな。良いか王都へ戻り兄ドノヴァンに伝えよ!これ以上の干渉は許容できぬ!しつこく私の力に執着するのであれば近く迫りくるスタンピートに私も私の軍も出兵することは出来ぬと!さあ行け!出ていけ!これ以上私の前に姿を現すな!お前の顔を見るだけで私は死にも劣る存在なのだと思い知らされるのだ!」
いつも共にいる部下ですらめまいを感じるほどの威圧をまき散らしながら私は感情のままに声を荒げた。
表情を失ったアデルはただただ立ちすくんでいる。
私は踵を返しその場を後にした。
付与の護符とやらはすべてトマスに始末させている。魔力レベルが高いとはいえなんの肩書も認可ももたない子供の作った護符なぞ使えるわけがない。討伐は遊びではないのだぞ!
それともその行動すらなにかの意図があるのか?ではあの護符にはいったいどんな策略が隠されているのだ!
カマーフィールド家に伝言を送っている様子はない。王宮にもだ。一体どんな手段で連絡をとっている?
イライラと室内を歩きまわる私に誰も声をかけようとしない。私を落ち着かせようとトマスが濃い目のお茶を淹れた。
大隊長のグレゴリーがその大きな体を居心地悪そうに揺らしながら口を開いた。
「閣下、奥方様が王宮の間者というのは間違いのない事実なのでしょうか?」
「何故だ?何故そのようなことを?」
「いくら探しても王宮とのつながりを示すものは発見できてはおりませぬ。」
「証拠がなければそうではないと言い切れるわけではない。実際あの者はわが兄ドノヴァンの強い勧めがあってここに来たのだ。よくよく考えてみれば、あの欲深い兄がカマーフィールドの何年も積み上げられた税をすべて免除してまでアデルを送って寄こしたことが不自然に思える。そうではないというのならばグレゴリーよ、お前はアデルのあの行動にどのような正当性を見いだせると言うのだ」
「いえそういう訳では。ただ我がバーガンディの閉ざされた領土のなかでこの頑強な我ら討伐軍の目を、生え抜きの魔術師たちの目をかいくぐって王宮と接触しているというのはなかなかに考えづらいと思ったまでにございます。申し訳ございません。引き続き調べを続けます故」
「少しばかり容姿の整った子供だからといって目をくらまされぬよう気をつけよ」
私から発せられる瘴気を含んだ張り詰めた空気を払拭するため少し早いが部屋を出た。
するとそこには今日もまた、私の神経を逆なでる元凶アデルの姿が。
いつものように私の姿に慄きながら、それでも声をかけてこようとする。手にはポーションを持っている。しかし、その手はやはり小刻みに震えている。それほどの恐怖を隠してまでここに居続けるとは一体どのような密約を結んでいるのだ⁉
アデルの眼前を素通りし廊下を進むと私の背後でいつものようにトマスに話しかけている。先ほどのポーションを渡しているではないか?
それを見た瞬間訳もなく、この数か月抑え込んできた怒りが不快感が一気に噴き出した。
私はトマスの手にあるポーションを乱暴に奪い取りそのまま廊下に投げつけた。
粉々に割れるガラス瓶。アデルは恐怖に目を見開いている。
「ポーションだと⁉お前のような不審な人間の作った得体のしれないポーションなど飲めようはずもないだろう!もうよい!茶番はここで終わりだ!言え!一体お前は王に何を言い含められて来たのだ?そしてお前は何を得る?どれほどの見返りがあれば死ぬほど嫌な相手のもとに嫁いでこれるのだ!大した神経だ。儚げな顔をしてみせておきながらとんだ狐だな。良いか王都へ戻り兄ドノヴァンに伝えよ!これ以上の干渉は許容できぬ!しつこく私の力に執着するのであれば近く迫りくるスタンピートに私も私の軍も出兵することは出来ぬと!さあ行け!出ていけ!これ以上私の前に姿を現すな!お前の顔を見るだけで私は死にも劣る存在なのだと思い知らされるのだ!」
いつも共にいる部下ですらめまいを感じるほどの威圧をまき散らしながら私は感情のままに声を荒げた。
表情を失ったアデルはただただ立ちすくんでいる。
私は踵を返しその場を後にした。
357
お気に入りに追加
3,259
あなたにおすすめの小説
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?
み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました!
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜
7ズ
BL
異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。
攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。
そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。
しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。
彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。
どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。
ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。
異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。
果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──?
ーーーーーーーーーーーー
狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛
【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。
天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します
バナナ男さん
BL
享年59歳、ハッピーエンドで人生の幕を閉じた大樹は、生前の善行から神様の幹部候補に選ばれたがそれを断りあの世に行く事を望んだ。
しかし自分の人生を変えてくれた「アルバード英雄記」がこれから起こる未来を綴った予言書であった事を知り、その本の主人公である呪われた英雄<レオンハルト>を助けたいと望むも、運命を変えることはできないときっぱり告げられてしまう。
しかしそれでも自分なりのハッピーエンドを目指すと誓い転生ーーーしかし平凡の代名詞である大樹が転生したのは平凡な平民ではなく・・?
少年マンガとBLの半々の作品が読みたくてコツコツ書いていたら物凄い量になってしまったため投稿してみることにしました。
(後に)美形の英雄 ✕ (中身おじいちゃん)平凡、攻ヤンデレ注意です。
文章を書くことに関して素人ですので、変な言い回しや文章はソッと目を滑らして頂けると幸いです。
また歴史的な知識や出てくる施設などの設定も作者の無知ゆえの全てファンタジーのものだと思って下さい。
悪役令息に憑依したけど、別に処刑されても構いません
ちあ
BL
元受験生の俺は、「愛と光の魔法」というBLゲームの悪役令息シアン・シュドレーに憑依(?)してしまう。彼は、主人公殺人未遂で処刑される運命。
俺はそんな運命に立ち向かうでもなく、なるようになる精神で死を待つことを決める。
舞台は、魔法学園。
悪役としての務めを放棄し静かに余生を過ごしたい俺だが、謎の隣国の特待生イブリン・ヴァレントに気に入られる。
なんだかんだでゲームのシナリオに巻き込まれる俺は何度もイブリンに救われ…?
※旧タイトル『愛と死ね』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる