59 / 229
36 断罪を見守る者
しおりを挟む
冬期休暇から春季休暇まではあっという間だ。
その頃僕は、アシュリーの屋敷で打ち合わせをした、北部へ送る娯楽のネタ帳を必死で作成していた。
これは間違っても国教に逆らう行為ではない。
そもそも参照の別紙によれば、シッタカブッタとは厳密に言ったら神ではない。正確に言うと、彼は神の教えを伝える人である。
そして彼の指す神様は前世で言う八十とか、八百、とか八千、とかいう神様のことで、要するに、なんにでも敬意をもち、感謝して大切になさい、という、エコな庶民が馴染みやすい教えである。
そこで、修行生活に根差した道徳の本を作るという…と言う名目で、そこかしこにシッタカブッタとナンダカンダの絡み(うひょー!)をコソッと入れ込み、後日僕が楽しむというやましい企み。
あとは北部に最高の絵師さんがいることを願うばかりだ。
それにしてもジェロームの言う僕の『夢』とは何ぞ?
僕の夢は終始一貫、前世で失われた何十年かを取り戻す、断罪後の自由で気ままな生活である。
手紙の最後には琥珀を見つけたと書かれていたが…
あれは確か小4の時、夏休みの温泉旅行でおじいちゃんにみやげ売り場で買ってもらったのが二千円ぐらいの虫入り琥珀だったはず…。
ぷっ!ジェロームってば琥珀ぐらいで大喜びして…カワイイなぁ。少年の心を忘れない大人か…。ますます美味しい…
捕らわれた虫…、はっ!もしかしてジェロームは「かかあ天下でいい!」そう言ってるんじゃなかろうか。
かかあ天下を僕の夢とは失礼な。こう見えて僕はリードされたい派である。ここは一筆書いておかねばなるまい。
さて、そうこうして過ごす冬の終わり、予定よりも早くニコールさんが産気づいた。
これは一か月と少しくらい早いお産となる。そのため産婆さんもお医者さんも集まり、屋敷の中は昨日から騒然としている。
「眠れない…カイル…、ニコールさんのところに行っちゃダメ?」
「今あの部屋は男子禁制です」
「うぅ…、じゃあせめて控えの間まで。落ち着かない…」
「そうなさいませ。今あの部屋には旦那様もお出でになります」
控えの間、それは主寝室に入る手前にある、主に侍女などが待機するための部屋である。待機の小部屋、…と言っても、そこは侯爵家。庶民なら住めそうな広さがある。
ここで少し説明しておこう。この王都のプリチャード邸はかなり贅沢な作りになっている。
王都とは言ってもそこは現代ヨーロッパとは違う壮大さの世界観。貴族街の中でも屋敷が集まるエリアは、少し高台にある王城を下ったところに広がる広大なエリアで、一区画ごとが既に一町内並みである。
そんな中にあってこのプリチャード邸も、領地の半分以下に部屋数は抑えられているが、それでも三階建てで左右にドーンと広がった広大な敷地を持つお屋敷だ。当然裏庭も中庭も温室も完備の緑あふれた贅沢さだ。
春から秋はほぼ領地に居る父親も、タイミングよく丁度王都に滞在中でラッキーだった。ここ数日間は出仕も控え、プリチャード侯爵家の後継者(勝手に決めてる)を今か今かと待ちわびている。
「ニコールは無事だろうか」
「お父様…」
「ようやく今回ここまでこぎつけたのだ。今度こそあれに小さな我が子を抱かせてやりたい…」
「きっと大丈夫です!三度目の正直って言いますし」
二度あることは三d…知らん!そんな言葉は!
「父様、兄さん。状況は…」
「まだまだみたい」
同じく眠れないのだろう。控えの間にはブラッドまでもが集まって、役立たずな男三人がオロオロウロウロし続けている。
もうすぐ夜明けになる頃だろうか。ようやくその禁断の扉が開かれたのは。
ーーホエ…ーー
聞こえてきたのは決して力強いとは言えない、けれど確かな赤ちゃんの声。
「お生まれになりました。侯爵様どうぞこちらへ。双子のお子でございます」
「双子…、おお!」
「双子!」
「双子…」
ライブラリの書物で知った事だが、この世界では国によって多胎児は不吉の象徴と言われることもあるらしい。そこへいくとこのルテティア国では逆に幸運の象徴と言われている。
ほー…、ルテティア国で良かった…。
「それで性別は…」
真っ先に性別を聞く父を「おい…」と思いそうになるが、如何せん。ここはそういう価値観の世界。仕方ない。
「ご子息とご令嬢でございます」
「わあ…!」
「…ふぅ…」
隣でブラッドが息を吐いたのが分かった。これ以上邸内に揉め事の種はゴメンなのだろう。っていうか、結婚の性別がフリーなら跡取りもフリーにしろよっ!気の利かないシナリオライターだな…
「ニコール、よくやってくれた」
お父様がニコールさんに優しく声をかけ感謝をささげている。いい光景だ。これを機に少しは夫婦仲に情が通うといい、そんなことを考えながら僕はそっと双子を覗き込んだ。
小さい…
双子の、それも早産の赤ちゃんはとても小さい。保育器とかないこの時代ではまだまだ予断を許さない。それでも差し出した僕の指を、赤ちゃんたちは、キュ、と握った。
「シャノン…」
「兄さん…」
「シャノン様、ハンカチを」
「えっ?あ、ああ…」
なんという事だろう。僕の目からはいつの間にか知らず知らずのうちに涙が流れていたのだ…。
自分自身にも止められない涙。生命の神秘とは感動的なモノだ…
「シャノン様、これほど感激していただけるとは…わたくしも嬉しゅうございます」
「ニコールさん…、本当にありがとう。ありがとう!」
我に返った僕は本日の最功労者にねぎらいの言葉を忘れない。
無理しないで双子は乳母と医者に任せて当分ゆっくり休むように声をかけると、ニコールさんに負担をかけないよう、早々に部屋を出た。
この医療レベルでは、産後のケア次第で母体も命の危機にさらされる。何も大袈裟じゃない。無理は禁物。もと病人だった僕は身に染みている。
時刻は早朝。因みに僕たちは一睡もしていない。
今日は学院を休め、というお父様の配慮に甘えて、僕もブラッドもその後すぐに寝室へと戻った。
ベッドに潜り込んだ後も興奮の余波か、なかなか寝付けない。僕の胸に去来した不思議な感覚…。そうか…僕がお兄ちゃんで居られるのも…、あと二ね…ん…zzz…
目が覚めたのはお昼過ぎ。う~ん、夕方まで寝る気満々だったのに。
「ふわ~あ…、カイルー!」
「シャノン様、昼食はどちらで?」
「ここで。その後双子ちゃんを見に行きます」
「かしこまりました」
改めて眺める小さな命。男の子はダニエル・アノン、通称ダニー。女の子はシェイナ、と名付けられた。
「シェイナ…」
「『美しい』という意味の女児名ですよ」
そう教えてくれたのはルーシー。
「ニコール様が、アノン様とシェイナ様でシャノンになるようにお付けになられたのですって」
「…そうなんだ。美しい、か。シェイナにピッタリ」
「良いお名前です」
何故ニコールさんが名前にそんな意味を持たせたのかは分からない。
だけどその日から僕は、朝の登校前と帰宅後の双子詣でが日課になった。
その頃僕は、アシュリーの屋敷で打ち合わせをした、北部へ送る娯楽のネタ帳を必死で作成していた。
これは間違っても国教に逆らう行為ではない。
そもそも参照の別紙によれば、シッタカブッタとは厳密に言ったら神ではない。正確に言うと、彼は神の教えを伝える人である。
そして彼の指す神様は前世で言う八十とか、八百、とか八千、とかいう神様のことで、要するに、なんにでも敬意をもち、感謝して大切になさい、という、エコな庶民が馴染みやすい教えである。
そこで、修行生活に根差した道徳の本を作るという…と言う名目で、そこかしこにシッタカブッタとナンダカンダの絡み(うひょー!)をコソッと入れ込み、後日僕が楽しむというやましい企み。
あとは北部に最高の絵師さんがいることを願うばかりだ。
それにしてもジェロームの言う僕の『夢』とは何ぞ?
僕の夢は終始一貫、前世で失われた何十年かを取り戻す、断罪後の自由で気ままな生活である。
手紙の最後には琥珀を見つけたと書かれていたが…
あれは確か小4の時、夏休みの温泉旅行でおじいちゃんにみやげ売り場で買ってもらったのが二千円ぐらいの虫入り琥珀だったはず…。
ぷっ!ジェロームってば琥珀ぐらいで大喜びして…カワイイなぁ。少年の心を忘れない大人か…。ますます美味しい…
捕らわれた虫…、はっ!もしかしてジェロームは「かかあ天下でいい!」そう言ってるんじゃなかろうか。
かかあ天下を僕の夢とは失礼な。こう見えて僕はリードされたい派である。ここは一筆書いておかねばなるまい。
さて、そうこうして過ごす冬の終わり、予定よりも早くニコールさんが産気づいた。
これは一か月と少しくらい早いお産となる。そのため産婆さんもお医者さんも集まり、屋敷の中は昨日から騒然としている。
「眠れない…カイル…、ニコールさんのところに行っちゃダメ?」
「今あの部屋は男子禁制です」
「うぅ…、じゃあせめて控えの間まで。落ち着かない…」
「そうなさいませ。今あの部屋には旦那様もお出でになります」
控えの間、それは主寝室に入る手前にある、主に侍女などが待機するための部屋である。待機の小部屋、…と言っても、そこは侯爵家。庶民なら住めそうな広さがある。
ここで少し説明しておこう。この王都のプリチャード邸はかなり贅沢な作りになっている。
王都とは言ってもそこは現代ヨーロッパとは違う壮大さの世界観。貴族街の中でも屋敷が集まるエリアは、少し高台にある王城を下ったところに広がる広大なエリアで、一区画ごとが既に一町内並みである。
そんな中にあってこのプリチャード邸も、領地の半分以下に部屋数は抑えられているが、それでも三階建てで左右にドーンと広がった広大な敷地を持つお屋敷だ。当然裏庭も中庭も温室も完備の緑あふれた贅沢さだ。
春から秋はほぼ領地に居る父親も、タイミングよく丁度王都に滞在中でラッキーだった。ここ数日間は出仕も控え、プリチャード侯爵家の後継者(勝手に決めてる)を今か今かと待ちわびている。
「ニコールは無事だろうか」
「お父様…」
「ようやく今回ここまでこぎつけたのだ。今度こそあれに小さな我が子を抱かせてやりたい…」
「きっと大丈夫です!三度目の正直って言いますし」
二度あることは三d…知らん!そんな言葉は!
「父様、兄さん。状況は…」
「まだまだみたい」
同じく眠れないのだろう。控えの間にはブラッドまでもが集まって、役立たずな男三人がオロオロウロウロし続けている。
もうすぐ夜明けになる頃だろうか。ようやくその禁断の扉が開かれたのは。
ーーホエ…ーー
聞こえてきたのは決して力強いとは言えない、けれど確かな赤ちゃんの声。
「お生まれになりました。侯爵様どうぞこちらへ。双子のお子でございます」
「双子…、おお!」
「双子!」
「双子…」
ライブラリの書物で知った事だが、この世界では国によって多胎児は不吉の象徴と言われることもあるらしい。そこへいくとこのルテティア国では逆に幸運の象徴と言われている。
ほー…、ルテティア国で良かった…。
「それで性別は…」
真っ先に性別を聞く父を「おい…」と思いそうになるが、如何せん。ここはそういう価値観の世界。仕方ない。
「ご子息とご令嬢でございます」
「わあ…!」
「…ふぅ…」
隣でブラッドが息を吐いたのが分かった。これ以上邸内に揉め事の種はゴメンなのだろう。っていうか、結婚の性別がフリーなら跡取りもフリーにしろよっ!気の利かないシナリオライターだな…
「ニコール、よくやってくれた」
お父様がニコールさんに優しく声をかけ感謝をささげている。いい光景だ。これを機に少しは夫婦仲に情が通うといい、そんなことを考えながら僕はそっと双子を覗き込んだ。
小さい…
双子の、それも早産の赤ちゃんはとても小さい。保育器とかないこの時代ではまだまだ予断を許さない。それでも差し出した僕の指を、赤ちゃんたちは、キュ、と握った。
「シャノン…」
「兄さん…」
「シャノン様、ハンカチを」
「えっ?あ、ああ…」
なんという事だろう。僕の目からはいつの間にか知らず知らずのうちに涙が流れていたのだ…。
自分自身にも止められない涙。生命の神秘とは感動的なモノだ…
「シャノン様、これほど感激していただけるとは…わたくしも嬉しゅうございます」
「ニコールさん…、本当にありがとう。ありがとう!」
我に返った僕は本日の最功労者にねぎらいの言葉を忘れない。
無理しないで双子は乳母と医者に任せて当分ゆっくり休むように声をかけると、ニコールさんに負担をかけないよう、早々に部屋を出た。
この医療レベルでは、産後のケア次第で母体も命の危機にさらされる。何も大袈裟じゃない。無理は禁物。もと病人だった僕は身に染みている。
時刻は早朝。因みに僕たちは一睡もしていない。
今日は学院を休め、というお父様の配慮に甘えて、僕もブラッドもその後すぐに寝室へと戻った。
ベッドに潜り込んだ後も興奮の余波か、なかなか寝付けない。僕の胸に去来した不思議な感覚…。そうか…僕がお兄ちゃんで居られるのも…、あと二ね…ん…zzz…
目が覚めたのはお昼過ぎ。う~ん、夕方まで寝る気満々だったのに。
「ふわ~あ…、カイルー!」
「シャノン様、昼食はどちらで?」
「ここで。その後双子ちゃんを見に行きます」
「かしこまりました」
改めて眺める小さな命。男の子はダニエル・アノン、通称ダニー。女の子はシェイナ、と名付けられた。
「シェイナ…」
「『美しい』という意味の女児名ですよ」
そう教えてくれたのはルーシー。
「ニコール様が、アノン様とシェイナ様でシャノンになるようにお付けになられたのですって」
「…そうなんだ。美しい、か。シェイナにピッタリ」
「良いお名前です」
何故ニコールさんが名前にそんな意味を持たせたのかは分からない。
だけどその日から僕は、朝の登校前と帰宅後の双子詣でが日課になった。
3,740
お気に入りに追加
5,680
あなたにおすすめの小説
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】
佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。
異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。
幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。
その事実を1番隣でいつも見ていた。
一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。
25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。
これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。
何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは…
完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。
【完結】婚約者と幼馴染があまりにも仲良しなので喜んで身を引きます。
天歌
恋愛
「あーーん!ダンテェ!ちょっと聞いてよっ!」
甘えた声でそう言いながら来たかと思えば、私の婚約者ダンテに寄り添うこの女性は、ダンテの幼馴染アリエラ様。
「ちょ、ちょっとアリエラ…。シャティアが見ているぞ」
ダンテはアリエラ様を軽く手で制止しつつも、私の方をチラチラと見ながら満更でも無いようだ。
「あ、シャティア様もいたんですね〜。そんな事よりもダンテッ…あのね…」
この距離で私が見えなければ医者を全力でお勧めしたい。
そして完全に2人の世界に入っていく婚約者とその幼馴染…。
いつもこうなのだ。
いつも私がダンテと過ごしていると必ずと言って良いほどアリエラ様が現れ2人の世界へ旅立たれる。
私も想い合う2人を引き離すような悪女ではありませんよ?
喜んで、身を引かせていただきます!
短編予定です。
設定緩いかもしれません。お許しください。
感想欄、返す自信が無く閉じています
完結・私と王太子の婚約を知った元婚約者が王太子との婚約発表前日にやって来て『俺の気を引きたいのは分かるがやりすぎだ!』と復縁を迫ってきた
まほりろ
恋愛
元婚約者は男爵令嬢のフリーダ・ザックスと浮気をしていた。
その上、
「お前がフリーダをいじめているのは分かっている!
お前が俺に惚れているのは分かるが、いくら俺に相手にされないからといって、か弱いフリーダをいじめるなんて最低だ!
お前のような非道な女との婚約は破棄する!」
私に冤罪をかけ、私との婚約を破棄すると言ってきた。
両家での話し合いの結果、「婚約破棄」ではなく双方合意のもとでの「婚約解消」という形になった。
それから半年後、私は幼馴染の王太子と再会し恋に落ちた。
私と王太子の婚約を世間に公表する前日、元婚約者が我が家に押しかけて来て、
「俺の気を引きたいのは分かるがこれはやりすぎだ!」
「俺は充分嫉妬したぞ。もういいだろう? 愛人ではなく正妻にしてやるから俺のところに戻ってこい!」
と言って復縁を迫ってきた。
この身の程をわきまえない勘違いナルシストを、どうやって黙らせようかしら?
※ざまぁ有り
※ハッピーエンド
※他サイトにも投稿してます。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
小説家になろうで、日間総合3位になった作品です。
小説家になろう版のタイトルとは、少し違います。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
王妃だって有休が欲しい!~夫の浮気が発覚したので休暇申請させていただきます~
ぽんぽこ@書籍発売中!!
恋愛
【書籍発売記念!】
1/7の書籍化デビューを記念いたしまして、新作を投稿いたします。
全9話 完結まで一挙公開!
「――そう、夫は浮気をしていたのね」
マーガレットは夫に長年尽くし、国を発展させてきた真の功労者だった。
その報いがまさかの“夫の浮気疑惑”ですって!?貞淑な王妃として我慢を重ねてきた彼女も、今回ばかりはブチ切れた。
――愛されたかったけど、無理なら距離を置きましょう。
「わたくし、実家に帰らせていただきます」
何事かと驚く夫を尻目に、マーガレットは侍女のエメルダだけを連れて王城を出た。
だが目指すは実家ではなく、温泉地で有名な田舎町だった。
慰安旅行を楽しむマーガレットたちだったが、彼女らに忍び寄る影が現れて――。
1/6中に完結まで公開予定です。
小説家になろう様でも投稿済み。
表紙はノーコピーライトガール様より
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる