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隣人が犯人の場合
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原因は些細な隣人トラブルだった。
些細な事ではあったが、隣人は殺したいほど憎んでいた。
憎くて憎くてたまらなくて、気付いた時には隣の家に住む主婦を殺害していた。
我に返った隣人は後悔した。
殺すにしても、もっと計画を練って殺すべきだった。
こんなんじゃ警察にバレるのも時間の問題だ。
隣人が慌てふためいていると、母親の悲鳴を聞いた長男が二階にある自分の部屋から降りてきた。
隣人は一階の台所に降りてきた長男を見て、「そうだ、こいつを犯人にしよう」と思った。
母親が日常的に彼に暴力を振るっていたことは隣人も気付いていた。
虐待に耐えかねた息子が母親を殺害した。
殺害の動機としては十分すぎるだろう。
あとはどうやって彼に罪をかぶせるかだ。
何か彼の弱みになるようなものはないだろうか。
罪を被ってでも守りたいものが彼にはないだろうか。
・・・ああ、そうだ、あいつを利用しよう。
「母親を殺したのはお前だ。息子であるお前が母親を殺したんだ。いいな、警察にはそう証言しろ。もし警察に本当のことを話したら、その時はお前の弟も殺す」
長男は弟のことを大層可愛がっていた。
母親が弟に暴力を振るおうとすると、長男は弟を庇い弟の分まで母親から暴力を受けた。
自分が身代わりになることで、長男は弟を何度も母親の虐待から守ってきた。
弟に対する優しさと愛を利用することで、隣人は長男に殺人の罪をかぶせることにした。
「虐待のことは自分から警察に話す必要は無い。お前は余計なことを喋らず、何も知らないフリをしていればいい。だがお前が母親から虐待を受けていたことは、いずれ警察も気付くだろう。それでもお前は何も喋るな。全てを忘れたフリをして、一言も喋るな。もし精神疾患と判断されて虐待の事も世間に公表されれば、世間はお前に同情の目を向けるはずだ。そうなれば弟と再会できる日もすぐだろう」
長男は弟を守るために、隣人の言う通りにした。
そして長男に精神障害があると診断された頃には、隣人は遠くの街へと引っ越していた。
些細な事ではあったが、隣人は殺したいほど憎んでいた。
憎くて憎くてたまらなくて、気付いた時には隣の家に住む主婦を殺害していた。
我に返った隣人は後悔した。
殺すにしても、もっと計画を練って殺すべきだった。
こんなんじゃ警察にバレるのも時間の問題だ。
隣人が慌てふためいていると、母親の悲鳴を聞いた長男が二階にある自分の部屋から降りてきた。
隣人は一階の台所に降りてきた長男を見て、「そうだ、こいつを犯人にしよう」と思った。
母親が日常的に彼に暴力を振るっていたことは隣人も気付いていた。
虐待に耐えかねた息子が母親を殺害した。
殺害の動機としては十分すぎるだろう。
あとはどうやって彼に罪をかぶせるかだ。
何か彼の弱みになるようなものはないだろうか。
罪を被ってでも守りたいものが彼にはないだろうか。
・・・ああ、そうだ、あいつを利用しよう。
「母親を殺したのはお前だ。息子であるお前が母親を殺したんだ。いいな、警察にはそう証言しろ。もし警察に本当のことを話したら、その時はお前の弟も殺す」
長男は弟のことを大層可愛がっていた。
母親が弟に暴力を振るおうとすると、長男は弟を庇い弟の分まで母親から暴力を受けた。
自分が身代わりになることで、長男は弟を何度も母親の虐待から守ってきた。
弟に対する優しさと愛を利用することで、隣人は長男に殺人の罪をかぶせることにした。
「虐待のことは自分から警察に話す必要は無い。お前は余計なことを喋らず、何も知らないフリをしていればいい。だがお前が母親から虐待を受けていたことは、いずれ警察も気付くだろう。それでもお前は何も喋るな。全てを忘れたフリをして、一言も喋るな。もし精神疾患と判断されて虐待の事も世間に公表されれば、世間はお前に同情の目を向けるはずだ。そうなれば弟と再会できる日もすぐだろう」
長男は弟を守るために、隣人の言う通りにした。
そして長男に精神障害があると診断された頃には、隣人は遠くの街へと引っ越していた。
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