大正BL三部作

箕田 悠

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交陰遊戯―こういんゆうぎ―

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「あっ、あっ、い、いやぁ……」

 天宮くんは嬌声を上げながら身を捩ろうとするも、両腕を縛られていては思うように身動きが取れないようだった。

「そんなに暴れると、手首に濃く痕が残ってしまうよ」

 僕は顔を上げて囁くと、天宮くんは荒い息遣いで「でも……」と言葉を零す。

「でもなんだい? もうこんなに昂ぶらせて、糸まで引いているじゃないか。さっきまで、あんなに隠れていたのに」

 天宮くんの雄はすっかり隆起し、先端をヒク付かせていた。指先で撫でれば透明の液体が蜘蛛の糸の如く、細い糸を作る。

「あっ……」
「こっちも、いつものように縛ってあげよう」

 僕は懐から麻紐を取り出し、すっかり濡れている雄の根本を縛り上げる。

「ああああっ――」

 少し強かったのか、天宮くんが背を反らせ藻掻く。それでも雄は一向に衰える様子もなく、それどころか興奮を示すかの如く、赤みが増していた。

「最近は一人での遊戯はしていなかったのかい?」

 ヒクヒクと震える雄を優しく擦りながら問いかける。

「はぁ、あっ……し、してないっ……です」

 天宮くんは、震える声音で否定を述べた。 その唇の端からは唾液を零し、荒い息遣いで胸を上下させていた。

「なるほど。だからこんなにも、歓喜しているのだね。君の体は実に素直だ」
「あっ……ち、ちがいます……」
「天宮くんも見習って、少しは口述も素直になり給え」

 呆れたように僕が言葉を吐き出すと、背後から光が差し込み外からの空気が、蝋燭の火を揺らす。
 来客に気づいた僕は顔だけ振り返ると唇に人差し指を当て、立ち尽くす間抜け面の男を牽制した。
 牽制の必要はなかったのか、異様な物でも見たという顔で鎌頼かまらいは呆然として微動だにしない。
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