73 / 90
73
しおりを挟む
「それに涼華も賛成したんだよ。家に帰ってこないのは他でもない、睦紀が私や春馬にちゃんと心を開かないからだ」
「えっ?」
訳がわからず、睦紀は目を見開く。
「睦紀は一向に、他人行儀のままじゃないか。別荘に行っていた時の方がまだ素直だった。だから家族会議をして、夫婦仲が拗れた睦紀が私たちに頼ってくるように仕向けたんだ」
「騙していたってことですか?」
愕然として、声が掠れていた。ずっと真剣に悩んでいた自分が馬鹿みたいだった。
「ごめん、睦紀……本当はこんなやり方は正当じゃない。怒るのも無理はないな」
やっと春馬が口を開き、眉尻を下げた。みんなグルで、自分だけが踊らされていたのかと思うと怒りと悲しみがこみ上げてくる。
「でも睦紀はこうまでしないと、何も頼ってはくれないじゃないか。甘えてもこない。昔からそうだったけど、結婚して篠山家に入ったら酷くなってしまった。家族になったんだから、もっと甘えて欲しいんだよ」
諭すような優しい口調の俊政に、睦紀は黙り込む。まるで自分が全て悪いようにも思えてしまう。望んでいたことを与えたはずが、全く響かない睦紀がいけないのだと。
「俺はずっと睦紀が好きだった。頼むから、ここにいて欲しい」
苦しげな声で春馬が間に入る。
「春馬は出会った当初から睦紀のことを気に入っていてね。あまり喋らないタイプなのに、睦紀の事になると嬉しそうに話をするんだ。私が一方的に話をするばかりだったから、あの時は睦紀に感謝したよ」
俊政がさらに追い打ちをかけるように告げる。
「えっ?」
訳がわからず、睦紀は目を見開く。
「睦紀は一向に、他人行儀のままじゃないか。別荘に行っていた時の方がまだ素直だった。だから家族会議をして、夫婦仲が拗れた睦紀が私たちに頼ってくるように仕向けたんだ」
「騙していたってことですか?」
愕然として、声が掠れていた。ずっと真剣に悩んでいた自分が馬鹿みたいだった。
「ごめん、睦紀……本当はこんなやり方は正当じゃない。怒るのも無理はないな」
やっと春馬が口を開き、眉尻を下げた。みんなグルで、自分だけが踊らされていたのかと思うと怒りと悲しみがこみ上げてくる。
「でも睦紀はこうまでしないと、何も頼ってはくれないじゃないか。甘えてもこない。昔からそうだったけど、結婚して篠山家に入ったら酷くなってしまった。家族になったんだから、もっと甘えて欲しいんだよ」
諭すような優しい口調の俊政に、睦紀は黙り込む。まるで自分が全て悪いようにも思えてしまう。望んでいたことを与えたはずが、全く響かない睦紀がいけないのだと。
「俺はずっと睦紀が好きだった。頼むから、ここにいて欲しい」
苦しげな声で春馬が間に入る。
「春馬は出会った当初から睦紀のことを気に入っていてね。あまり喋らないタイプなのに、睦紀の事になると嬉しそうに話をするんだ。私が一方的に話をするばかりだったから、あの時は睦紀に感謝したよ」
俊政がさらに追い打ちをかけるように告げる。
1
お気に入りに追加
314
あなたにおすすめの小説
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる