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しおりを挟む「あなたは二人のことが好きじゃないの?」
好きか嫌いかと聞かれれば好きだ。ただ、それが恋愛感情かと聞かれれば違うようにも思える。でもあの時――二人に抱かれて嫌悪どころか、求めてしまう自分もいた。
「少なくとも抱かれてる時点で、二人のことを嫌ってはないんでしょうけど」
黙り込む睦紀に、涼華は淡々とした口調で告げる。
「私は今のままでも良いと思っているわ。でもあなたが逃げ出したいって、言うならば止めないけど」
ワイングラスを回しながら、涼華が目を細めて切り出す。
「ここに呼び出したのは話を聞きたいだけって、わけじゃないんでしょ」
涼華の指摘に睦紀は忍ばせていた紙を取り出す。このままで良いはずがないのは確かだった。いくら涼華が公認した関係だとはいえ、義父と義兄に抱かれ続けるのは死んだ両親にも顔向けができない。
「……出すのはいつでもいいから。サインはしてある」
こんな場所で離婚届を渡すのはどう考えても場違いだ。それでも涼華がなかなか帰ってこない以上は、この機会を逃すわけにはいかなかった。
涼華は躊躇うことなく睦紀から受け取るも、どこか哀れむような目を向けた。
「一つだけ言っておくわ。二人なら地の果てまででも追いかけてくると思う」
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