淫愛家族

箕田 はる

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「肩が張っているね。緊張しているのかい?」
「そんなこと……ないです」
「昨日のがまだ後を引いているのかな。でも、お湯に浸かれば楽になるはずだ」

 シャワーのお湯が肩に触れる。丁度いい圧と熱が心地いい。ざっと身体を流され、今度はスポンジが身体に当てられる。一瞬、身体が硬直する。それでもゆったりとした動きで背中を擦られ、睦紀は少しずつ力を抜いた。

「もうすぐ両親の命日だね。約束通り、休暇は取ってある。ワインを持って、墓参りに行こう」

 手の動きのように、俊政がのんびりとした口調で言った。

「ありがとうございます。でも……忙しいと思いますし、無理しなくても大丈夫ですので……」

 約束を守ろうとしてくれる俊政の気持ちは嬉しい。それでも会社を休ませてまでとなると、普段の忙しさから考えても気が引けてしまう。それに不純な関係に陥ってしまったこともあり、両親を前にして二人並ぶのは後ろめたさがあった。

「私が来ると迷惑なのか?」

 沈んだような低い声音に、睦紀は慌てて首を横に振る。

「そんなことはないです。ただ――お気持ちはありがたいのですが、俊政さんに迷惑をかけるのが気がかりで」
「迷惑なんかじゃないと、何度も言っているだろう。睦紀を産んでくれたご両親には感謝しているんだ」

 背を擦っていたスポンジが、腹部に移動する。それに気づき、睦紀は自分で洗うと申し出る。

「脱ぐのですら、動きづらそうだったんだ。今日は全部させてくれ」

 それは腕が痛かったからではなく、羞恥で動きが緩慢になっただけのことだ。そうとは言えず、睦紀は大丈夫ですからと言って俊政の腕を掴む。昨日と同じ流れに、心臓が痛いぐらい打つ。

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