君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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最終章「久遠」

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 生徒会室にいつまでもいるわけにはいかず、僕たちは部室に場所を移した。

 泰明も心配だからと一緒に来たけれど、神近くんは何も言わない。もっと何やかんや噛みつきそうだったけれど、さすがにさっきの流れからきまりが悪いのかもしれなかった。

 「これからどうするかだな」

 泰明が腕を組んで椅子にもたれかかる。

「一先ず、俺の家に泊まりますか?」

 神近くんの言葉に僕は一瞬迷うも、首を横に振る。

「母さんたちが心配だから、とりあえず家に帰るよ。犯人は捕まってるみたいだから、大丈夫だと思うし」

 いくらなんでも、僕一人だけ無関係というわけにはいかない。不安げな表情で俯いた神近くんに、僕は胸が詰まる思いがした。

 不意にスマホが震えだし、母からの電話だと分かり慌てて出る。どうやら僕にも事情を聞きたいということで、警察署に来て欲しいとのことだった。

「今から警察署に行ってくる」

 そう言って僕が立ち上がると、二人も送って行くと言って立ち上がった。

 学校を出て警察署に向かう最中、神近くんが神妙な面持ちで口を開く。

「先輩。いいですか、生霊云々の話はしないでくださいね」

「どうして?」

 僕は全てを話すつもりだったから、驚いて神近くんを見つめる。

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