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第六章「帰省」
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しおりを挟む青々と生い茂る緑の山々。橋を渡れば下を流れる河が、日に照らされて水面がキラキラと瞬く。長閑な田園風景が眼下に広がると、都会の無機質なビル群に比べて落ち着いた雰囲気が漂っている。気休め程度だけど、気持ちが落ち着いていくように感じた。
「田舎に住みたいって人の気持ちが、少し分かる気がする」
都会生まれ都会育ちの僕は、親戚の家も都内から少ししか離れていない。そのせいか、田舎の自然に溢れている光景をあまり目にすることがなかった。こんな風に新幹線に乗って、どこかに遠出するのも中学生ぐらいの時以来かもしれない。
「呑気なもんですね。田舎なんて何も良いことないんですよ」
「そうなの?」
「住んでた人間が言うんだから、間違いないです」
確かに住心地抜群だったら、神近くんも地元の学校に進学していただろう。でも原因は田舎どうこうよりも、家族間の問題のように思えてならない。
「ふーん。じゃあ地元に戻る気はないの?」
何気ない風を装いつつも、僕の心臓は変にバクバクと激しく鳴っていた。
「……それはまだ分かりません。大学はこっちの予定ですが」
「そっか……将来の夢とかあるの?」
「……先輩と一緒にいれれば何だって良いです」
僕は驚いて神近くんを穴が空くほど見つめる。冗談ですといつもみたいに揶揄ってくるかと思いきや、憮然とした表情で椅子の肘に頬杖を付き、どこか遠くを見つめているだけだった。
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