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第五章「計画」
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「……本当なのか?」
泰明の戸惑うような問いかけに、僕は小さく頷く。
「……そうか」
ちらりと泰明を見やると、腕を組んで険しい顔で目を閉じている。
「急でごめん。昨日、言っておけば良かったんだけど……言えなくて」
「お前が言えないのも無理はない」
泰明が深い溜め息を吐くと、「正直、戸惑っている」と言って黙り込んでしまう。
「だよね……ごめん……」
僕は謝ることしか出来ず、かと言って神近くんの手前で迂闊な事は口には出来なかった。
二人の沈黙にしびれを切らしたのか神近くんが「もう良いですか?」と言って腰を上げる。
「いつまでもそうしてたって、無駄に時間が過ぎるだけですから」
神近くんが扉に向かって歩くと、僕達に早く出るような視線を向けてきた。
「……なんでコイツなんだ?」
「えっ?」
「コイツなんかの何処が良いのか……やっぱり俺には納得が出来ない」
泰明が本人を前に、そんな事を切り出すなんて異例の事態だった。驚きのあまり僕は唖然として、泰明を見上げる。
「そんなこと、鐘島先輩が知ったところでどうするんですか?」
神近くんの呆れたような物言いに、泰明が眉根を寄せて奥歯を噛み締めた。
泰明の戸惑うような問いかけに、僕は小さく頷く。
「……そうか」
ちらりと泰明を見やると、腕を組んで険しい顔で目を閉じている。
「急でごめん。昨日、言っておけば良かったんだけど……言えなくて」
「お前が言えないのも無理はない」
泰明が深い溜め息を吐くと、「正直、戸惑っている」と言って黙り込んでしまう。
「だよね……ごめん……」
僕は謝ることしか出来ず、かと言って神近くんの手前で迂闊な事は口には出来なかった。
二人の沈黙にしびれを切らしたのか神近くんが「もう良いですか?」と言って腰を上げる。
「いつまでもそうしてたって、無駄に時間が過ぎるだけですから」
神近くんが扉に向かって歩くと、僕達に早く出るような視線を向けてきた。
「……なんでコイツなんだ?」
「えっ?」
「コイツなんかの何処が良いのか……やっぱり俺には納得が出来ない」
泰明が本人を前に、そんな事を切り出すなんて異例の事態だった。驚きのあまり僕は唖然として、泰明を見上げる。
「そんなこと、鐘島先輩が知ったところでどうするんですか?」
神近くんの呆れたような物言いに、泰明が眉根を寄せて奥歯を噛み締めた。
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