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第四章「嫉妬」
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しおりを挟む目が覚めると蝉の鳴き声が喧しいぐらいに聞こえ、僕はゆっくりと瞬きをする。
周囲は白いカーテンにぐるりと覆われていた。どうやら気を失っていたらしく、僕は保健室に運び込まれたらしい。
重だるい体を起こして恐る恐るカーテンを開けると、養護担当らしきお爺ちゃんが僕の方に振り返る。
「やぁやぁ、目覚めたかい?」
机に向けていた体を、椅子ごと回転させて僕の方に向けた。
「部活中に倒れただってね。神近くん……だったかな。彼が運んでくれたんだよ。あの子見た目は細身なのに、結構力あるね。君を軽々持ち上げてたよ」
そう言ってお爺ちゃん先生は、目元の皺をより一層深くした。保健室にお世話になったのは初めてで、僕は「はぁ……すみません」と言って僅かに緊張してしまう。
「熱中症だと思うから、気持ち悪くなったり頭が痛いようであれば、病院に行った方がいいよ」
お爺ちゃん先生は「親御さん呼ぶ?」と付け足した。
「……大丈夫です」
「顔色真っ青だけど、本当に大丈夫かい?」
「えぇ……一旦部室に戻ります。無理そうなら自分で連絡しますので……」
さっきまでの生き霊云々の話がまだ終わってはいない。このまま真っ直ぐに家に帰るなんて、僕には出来そうになかった。
もう一度お礼を言った僕は、急いで上履きを履くと保健室を後にする。神近くんはもう帰ってしまったんじゃないかと不安が過って、急いで部室へと向かった。
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